イレギュラーモンスター
俺は、父と母と一緒に、妹の帰りを待つ。
やはり、10時ギリギリまで、かかるようで、食事は向こうで済ませることになったようだ。
帰ってきた妹は、とても疲れていた。
母は、洗濯などを手伝って、父は武器の手入れを手伝い、俺は、することもないので、リビングで待つ。
妹は、風呂から上がると、寝ぼけまなこで、イレギュラーモンスターについての話をした。
そして、話を終えると、机で眠ってしまいそうになっていた。
「悪いんだけど、部屋まで連れて行ってあげて。」
「わかった。」
俺は、妹の手を引き、2階の部屋まで連れて行く。
妹は、ベッドにたどり着くと倒れ込むように寝た。
俺は、布団を直して、電気を常夜灯に切り替え、妹の部屋を後にする。
モンスターについて。
モンスターは、マナだまりから、生まれる。
霞のような状態から、肉体が生まれ、世界に落とされるのだ。
マナだまりというのは、世界を流れるマナの脈の淀みで、マナは、世界自体の生命力、魔力、体力、精神力であるとされている。
マナだまりで、オーブができ、体ができた生物がモンスターなのである。
ちなみに、マナだまりごとに、生まれるモンスターは違う。
この理由は、まるで1人1人の人が、それぞれ遺伝子情報を持っているように、1つ1つのマナだまりもそれぞれモンスターの情報を持っているからであると考えられている。
イレギュラーモンスターは、マナだまりの情報異常で生まれる。
イレギュラーモンスターは、狩場の他のモンスターよりも強く生まれ、一度生まれてからは、そのマナだまりで、周期的に出現するようになる。
マナだまりはそのような調整を行うのだそうだ。
偉い人は、この調整現象をマナだまりの進化機能とも考えているのだとか。
まあ、モンスターと戦う側からしたら、特性も読めず、狩場に合っていない強さで生まれるイレギュラーモンスターたちは、ある種の災害や巻き込まれ事故のような不運なものとしか言えないのだが…。
…妹はよく帰ってこれたものだ。
助けになったのならば、武器をあげてよかった。
妹はよく頑張った。
そして、生きていてよかった。
…それは、間違いない。
…でも。
…こう、言っては悪いが、羨ましい。
俺も活躍して、報告とか求められたりとか経験したかった。
そんな非現実的な自己顕示欲が生まれてくる。
イレギュラーモンスターを倒したのが、妹じゃなければ気にしなかったと思う。
誰とも知らない同い年の学生が倒したとか聞いても感情は動かなかっただろう。
身近すぎる相手。
妹に出来るなら…俺でも。
そう考えてしまう醜い自分。
今すぐにでも、成果を出して、俺も称賛されたい…とか。
『変にやる気出して、死なないようにしてくださいね。』
「…わかってるよ。」
『わかってなさそうなんですよ。称賛を浴びる人は、地道に努力してるんです。それがわかるわけないですよ。』
「…わかんないかもしれないけど、それでもさ。」
『隣の青い芝を羨む前に、早く今日の身体強化の訓練をして、3力を少しでも上げましょう。睡眠学習も待ってますよ。』
「…わかったって。」
大人しく横になり、身体強化に集中する。
まだ、雑念はあったが、そんな状態でも意識はしっかり落ちるのだった。




