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選択した道

成長したトレントの実を食べた俺は、3力平均15になった。

3力平均は、自然上限値が決まっていて、自然上限値の値も自然上昇値に達するまでの成長速度も人それぞれだ。

俺は、自然上限値の限界が平均1だったので、体が成長しても3力平均は変わらなかったのだろう。


自然上限値の限界を超えて3力平均を上げる方法もある。

俺が寝る前にやっている無理に上限値の限界を超えて3力を使い切ることで、無理に許容量を上げるという方法だ。


普通は、体が分解されるような恐ろしい感覚と、死に直結する肉体的負担に耐えられる者はいないらしい。

なぜ、俺は耐えられるのかというと、限界を超えることを前提とした睡眠学習空間での鍛錬が理由であるとのことだ。


『それに、1が1.3くらいに変化するのなんてほとんど誤差みたいなものですよ。それにあなたの場合は、肉体は、しっかりしてますから大丈夫です。』


「よくわからないけど。急に廃人になったりする危険はないんだな…?」


『今はそんなの気にしなくてもいいです。アリが自転車に乗れるようになるか気にするくらい無意味なことですよ。』


「…今、俺、かなり馬鹿にされた気がするんだけど。」




4月1日。

高校の入学式に急ぐ学生服の同学年の学生たちを横目に、マッドゴーレムの待つ狩場へ向かう俺。


なんというか、やはり、まわりと違う時間を過ごすのは、疎外感がある。

川の流れに逆らって進んでいる。

そんな感覚。


『自分で決めた道ですよ。』


「わかってるって。」


マナメタルフライパンを棒状に変形させて、マッドゴーレムをけずっていく。

体力が上がったおかげで、今日は50体倒すことができた。


ドロドロの服を着替えて、帰る帰り道。


たまたま、妹と出くわす。

妹は、友人たちと一緒のようだった。


俺は、無言で横を通り抜けようとした。

妹もこの年で、マッドゴーレムの泥集めなんかしているダサい兄など友人に見せたくないだろう。


そんな俺の自己肯定感の低い気遣いをどう思ったのか。

いや、どう思ったのかは、わからない。

考える暇もなかった。


「あ、兄貴。今日の晩ごはんは、絶対お肉にして!」


「お、う。」


「約束ね!」


「…わかったよ。」


「じゃあね。」


なんともあっさりとしたものだった。

今まで、何を気にしていたのだろうか。

世間体とか外聞とかそんなの気にしないでもいいのかもしれない。

少なくとも妹は気にしていないようだ。


「肉か…。とりあえず、買い物だな。」

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