100 夏休みと友人
ユウが静かに怒っていた。
それを感じ取った俺は、夏休み中の自分を振り返る。
『ほとんど、自分のことばかりでしたよ。ユウさんだって、色々したいこととか、話したいこととかあったんじゃないですか?』
「…。」
『それでも、我慢して、付き合ってくれていたのかもしれませんね。話を聞いた感じでは、ユウさんは、一定まで、耐えてすっぱり切るタイプみたいですね。どうします?』
「…俺、浮かれてたんだよ。」
『知っています。やっと普通の同学年くらいの3力まで、上がったのですから、浮かれるのは、当たり前だと思いますよ。』
「ユウにも嫌なら、手伝わなくていいとも言ったぜ。付き合うよって言ってくれてたからいいものかと思うだろ?」
『言い訳を並べても、行動してしまったことと結果は変わりませんよ。』
「ユウに武器を贈って、謝る…。いや、違うな。ぜんぜん違う。どうすればいいんだ?」
『あなたはどうしたいんですか?』
「そもそも謝るのも違う気はする。ただ、このまま喧嘩別れはしたくない。」
『しっかり考えて、立ち止まらず動いてください。』
「わかった。…お前がいなきゃ、1人で、ずっと落ち込んでたかも。ありがとう。」
『私は、能力ですから、あなたの友人の代わりは出来ませんからね。』
「わかってるよ。とりあえず、もう1回電話だな。」
三日月がきれいに見える夜の街外れ。
場所は、スケルトンの荒野の入り口。
俺は、ユウを呼び出した。
何もプランはない。
1人待つ夜7時。
俺は、色々思い出す。
ユウとの出会いは、唐突で、それから友人になって、気づけば悪友で、いるのが当たり前になって。
段々距離が近づいて、気づいたら何も見えなくなっていた。
ユウがやってくる。
「何?」
「おう。久しぶり。」
「…うん。」
「とりあえず、ラーメンでも食べ行かないか?」
「…わかんないよ。」
「じゃあ、行こうぜ。」
「はあ…。」
ユウはため息をつき、上を向く。
「…とりあえず、行く。全部のせ、おごりね。」
俺とユウは、2人で、ラーメン全部のせを無言で、食べる。
そうして、食べたら、2人、明日のことには、一切触れずにお互いの帰る場所に帰るのだった。




