表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/110

95.試練

 キーホルダーの先についている、ちいさな土偶のマスコット。なんとなくだけど、勝手に動き回っているような気はしていたのだ。


 魔巌洞(ダンジョン)なんていう非科学的な場所にいるわけだし、まるでゲームのようにレベルを上げては強くなっている毎日だ。別に土偶のキーホルダーが動き出したぐらいで、そこまで大きな問題じゃないと思う。


 悪いことをするなら別だけど。大丈夫だよね?


 大きくウンウン(うなづ)いているので、このままでも大きな問題はないだろう。


 自分の性格ってこんなに大雑把だっただろうか? もう少し違ったような気がする。だけど面倒くさがりだったのは間違いないし、こんなものだったような気もしてくる。


 それに人って成長する物だしね。昔とは違うのなんて当然のことだよね、うん。そういうことにしておこう。



 水というか泥を流し込むのがダメなのか、それとも容量がいっぱいになってしまうのか。おそらく前者が問題なんだと思うけど、目の前の沼の水を魔法の鎧袋に流し込む作戦は使えないってことになった。


 ならばどうする? 壁のどこかに穴を開けて、そこから水を外に捨てるか?


 やるとしたら沼の底まで潜って行って、そこに穴を開けないと駄目なんじゃなかろうか?


「何か来るわ、水際から離れて!」


 音羽(おとは)の警告を聞いて、(あらた)はすぐに後ろに飛びのいた。


 バシャッ!


 大きな水音を響かせながら、沼の中から巨体が躍り出てくる。それも一匹じゃない、後から後から追いかけるようにして、何匹もの巨体が沼の中から飛び出してくる。


 後ろに飛びのくだけじゃ済まない、全力で疾走して逃げる。


「な、なんだ、こいつら!」

「ワニの大群だよっ!」


 さっき鑑定した時は何もいなかったはずなのに、振り返ると十メートル以上あろうかという巨大ワニが何匹も折り重なるようにしながら追いかけてくる。


 巨大ワニたちはあまりに数が多すぎて、上手く自由に動き回れない状態になっていた。もしもワニの数がもう少し少なかったら追いつかれて噛みつかれていたに違いない。


 何とか距離を取ることに成功したけれど、間一髪、かなり危ない所だった。



 少し距離を取るようにしながら、好戦的な個体だけを釣りだすように後ろに下がる。群れのままだと相手をするのは危険だけれど、数が減ってしまえばそこまで危険な相手じゃないはず。


「ワニなら鼻っ面を踏んづけてしまえば、口を開けなくなるはずだ!」


 確か昔テレビで見たことがある。ワニって奴は噛む力はすごく強いけど、それに比べて口を開ける力はとても弱いんだとか。だから上から口を押さえつけてしまえば、もう何もできなくなるのだ。


 (あらた)都久詩(つくし)、二人で前に出てワニの口を上に乗る。あとは頭に棍棒を振り下ろすなり、剣で突き刺すなりすれば勝負は決まる。


 そのはずだった。


「な、なんだとっ!」

「うわわっ!」


 しかしそうは行かなかった。口を開ける力が弱いというのは、普通の人食いワニの話。ここにいるのは普通じゃない、ワニ型の妖獣なのだ。この妖獣、口を開ける力だって非常に強かった。


 (あらた)都久詩(つくし)は軽く吹き飛ばされたかと思うと、さらなる噛みつきの嵐に襲われることになってしまう。


「こいつらただのワニじゃない、妖獣だ! 妖獣ワニーだっ!」

「無理! これ、無理だよっ!」


 かなりの巨体の上に、まるでヘビかと思うほどに小回りが利く。地上を走るのも速い。ただし持久力は低そうで、すぐに足が止まってしまう。それだけが唯一の弱点の様子。


 その後一匹だけ、どこまでもしつこく追って来た。だけどたった一匹ならそう大して問題はない。横に回り込めば頭を直接攻撃できるし、軽く仕留めることができた。


 しかし倒せたのはその一匹だけ。それ以外の妖獣ワニーにはほとんど何もできないまま、時間切れで撤退することになってしまった。



 今日初めて突入した新しい領域、第四階層。


 巨大ワニ型の妖獣、ワニーが大量に湧いていて倒せない。例え倒せたとしても、通路は行き止まりになっていて進めない。どうにかするにも何も手掛かりがない。どうにも突破口が見つからない。


 とはいえまだ挑戦を始めたばかり。


 妖獣ワニーだって一匹なら倒せるし、実際に倒せた。この先しっかり練習すれば、大群だって倒せるようになるに違いない。妖獣ワニーを倒せるようになれば、もっと時間をかけて丁寧に探索できるようになるし、そうすれば何か手掛かりなり突破口が見つかる可能性は高いのだ。


 つまり、まずは妖獣ワニー。あいつらに慣れないと話が始まりそうにない。それが第一だ。その上で、あの沼をどうやって渡るかを考えないと。


「どこかに横穴を掘って、別の場所を探すのがいいんじゃない?」

「抜け道か隠し扉、探せばきっとありそうですよね!」


 妖獣は放置して、別ルートを先に探すのもアリといえばアリだ。でも妖獣はどっから湧いて襲ってくるか分からない。別ルートを見つけたと思ったら、そこから襲い掛かって来ることだってあるわけで。やっぱり倒し方は確立させておかないと危ないと思うんだ。


 でも正直なところ、あんな危ないヤツらには近寄りたくない。もうレベル的にはしばらく大丈夫なわけだし。黙ってじっとしていると、どうしてもそんな気持ちが心に広がっていく。


 特別講習からずっと激戦続き、ギリギリの戦い続きで、ちょっと精神的な疲れが出てるのかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ