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底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


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94.第四階層へ

 逆刃の薙刀だと思っていたのが、まさか大(ガマ)だったとはね。


――大草刈りガマ 農具の一種。もちろん武器としても利用可能。農民や栽培師など、適正職業で使用した場合は攻撃力に大きなプラス補正。


 しかも鑑定してみると、栽培師専用武器だった。


「うわあ、これすごく振りやすいですよ!」


 (みのり)が大草刈りガマをヒュンヒュンと何度も素振りしている。どう見ても棍棒で素振りするよりも鋭く速い。大鎌なんて普通だと使いにくい武器だと思うんだけど、栽培師にとっては全然違うらしい。


 この階層みたいに狭い所だとかなり戦いにくいだろうけど、ある程度の広さがあればかなりの戦闘力を発揮できそうだ。



 嬉しそうにずっと素振りを続ける(みのり)をなだめるようにして、(あらた)たちは先へと進む。


 やっぱり栽培師ゴブリンは第三階層のボスだったようで、その先には次の階層に降りるための螺旋階段がつながっていた。


「とりあえず降りてみるよね?」

「「「当然!」」」


 みんなの意見を確認してから、いつものように(あらた)を先頭にして階段を降りていく。


「かなり高さがあるわね」

「この辺りちょっと滑るから気を付けてね」


 学校の校舎で言えば三階ぐらいから降りた感じだろうか、一番下まで降りると、そこは木造の古い民家のような造りの土間(どま)になっていた。


 螺旋階段で上から降りてきたはずなのに、なぜか上は見えずに天井板になっている。


「これって幻術……だよね?」

「幻なのか、瞬間移動なのか、良く分からない。でも変なことが起こってるのは確かだ」


 螺旋階段を数段登ってみると、天井が無くなって上まで続く階段が見える。螺旋階段を下まで降りると、天井が現れて、そこに階段がぶつかっているように見える。


 手品というかなんというか。幻術というより、これが魔巌洞(ダンジョン)だ、そう言ってくれた方が脳みそにとっては理解しやすい。



 部屋には扉が一つある。開けてみると、そこは完全に建物の外。


「真っ暗ですね……」


 ヘッドランプの明かりが洞窟の岩肌を照らしている。丸いというか真っ直じゃないというか、通路が微妙に上下左右に湾曲していてランプの光が遠くまで届かない。


 通路そのものも断面が丸いというか、完全な円ではないけれど、円に近い感じがする。どこからか(にじ)み出てきた地下水が、ところどころに細長い水たまりを作っている。


 古代の太い土管の中にいる、もしもそう言われれば信じてしまいそうになる。


「巨大なミミズが掘った跡みたいだね」


 そう、それが一番近い感じだ。


「怖いこと言わないでよ!」

「この洞窟の大きさのミミズ……、ちょっと想像したくないです」


 直径四メートルから五メートルくらいのミミズ。てことは、長さは軽く百メートルぐらいありそうだ。もしもそんなものが襲ってきたら、どうなってしまうんだろう。どうやって戦っていいのか、ちょっと想像がつかない。



 気味が悪いのは確かだけれど、こうして立ち止まっていたところで何が変わるわけでもない。覚悟を決めて、少しぬかるんだ洞窟の中を進み始める。


 この階層、実際に歩き始めてみると思った以上に不快な場所だった。洞窟の太さはほぼ固定、そこは特に問題はない。


 しかし壁も足元も濡れていて滑るうえ、洞窟の断面が円形、つまり通路の中央が凹んでいる形なので、中央はドロドロになっていたり、水たまりになっていたりするのだ。だから中央を避けないと歩きにくい。


 必然的に壁際を歩くことになるけれど、そうすると地面が中央に向かって傾いている形になってしまう。これが思ったよりも足首に負担がかかるのだ。


 アップダウンも思ったよりも激しい。かなり急な坂を登り切ると、次は少しづつ右に曲がっている下り坂を進んでいく。下るにつれて足元のぬかるみはどんどん広がり、壁際まで泥に(おお)われ始めた。


「これ、真ん中の方、沼になってない?」

「マズいかな?」

「もう少し進んでみないと何とも言えないですね」



 そこから少し進んだ先で、洞窟は行き止まりになってしまった。


「水で塞がってますね」

「湖というか、これ、沼ですよ。入ると危険です、危ないです」


 地下水が溜まっているだけなら、潜れば渡れるかもしれない。しかし沼となったらそうはいかない。沈んだら身動きがとれなくなるし、浮きあがってこられなくなるのだ。


 しかしここまで、分かれ道らしい分かれ道はなく、ほぼ一本道だったのだ。つまり、この沼を進むしか道はないんじゃないのか。


「戻りましょう」

「そうね、別の道を見逃したのかもしれないわ」


 どっちみち沼を越えるのは無理だ。けど、他に方法はないんだろうか?


(みのり)の栽培師で何とかならないかな?」


 例えばだけど、由樹(ゆき)は木工師のスキルで材木を乾燥させていたし、陽菜(ひな)は調理師のスキルで獲物の血抜きをしていた。同じような感じで目の前の沼を乾燥させて通れるようにできるんじゃないだろうか。


 さすがに無理かな。


「できなくはないけれど、水を別の場所に流す必要が……」


 田んぼに水を入れたり、水を抜いたりするのと同じような感じで、栽培師のスキルで水を動かすことはできるそうだ。でも動かす先が必要というか、抜いた水を入れる器というか、それがないと抜いても抜いても水が戻ってきてしまうので、どうにもならないらしい。


 もしかしたら、抜いた水を魔法の鎧袋に入れれば……そう思いついたけれど、袋の口(ひも)につけてある土偶人形が両手でバッテンを作っていた。


 魔法の鎧袋は駄目ってことかな?


 というか、この土偶、やっぱり動いてるよね?


 いや、あのね、口笛吹く真似したって騙されないよ?




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