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底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


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82.最終戦のご案内

 長かった特別講習も今日が最終日、それももうお昼過ぎになっている。(あらた)たち八人は元気に森を切り株だらけにしながら、妖獣狩りを楽しんでいた。


「昨夜の妖獣シカーのバーベキューは美味しかったよね」

「私はお昼の妖獣ブターの方が好きかな」


 今いる場所は東の拠点からかなり離れている。火を焚いて煙を上げたとしても、向こうから見える心配はほとんどない。そこで妖獣肉のバーベキューを楽しみながら狩りを続けているのだ。


 そのおかげでみんなの士気は高い。


「さあ、あと三時間! 森の木を全部伐採しちゃうわよ!」


 特に木工師の由樹(ゆき)は気合が入っていた。


 クラフター系の職業は押しなべて戦闘力が低く、魔巌洞(ダンジョン)の階層を進めるにも、レベルを上げるにも、かなり不利だといえる。


 だからこそ成績不良でこの特別講習に参加したわけだ。そして(あらた)たちと共闘できたことで大きくレベルを上げることができたのだ。今日だってレベルが一つ上がって、四人全員がレベル十四になっている。


 学期ごとのノルマはレベルではなくて到達階層だけれど、レベルで換算すればもう成績不良とは言えない状態になっているのだ。これで元気が出ないわけがない。


 それだけでなく、クラフター系職業として必須の素材収集までできているのだから、こんなに心躍ることはそうそうなかった。特に由樹(ゆき)の職業・木工師にとっては木材が命。こうして森ごと採集できるチャンスなんてほとんどないのだ。



 森の木々をバリバリ伐採しては材木にして回収し、現れ出てくる妖獣をモリモリ倒してはこれも回収していく。


「そろそろレベルが上がってないかな?」

「お昼前に上がったばっかりなんだから、まだに決まってるでしょ?」


「そんなの分からないじゃないの」


 聖者の瞳で見たところ、由樹(ゆき)だけでなく、クラフター組のレベルは十四のまま変わってない。


「鑑定はいいわよ? 自分で学生証見て確認するから!」


 学生証に表示されるレベルは魔巌洞(ダンジョン)の領域と倒した敵の数から計算される概算値なので正確性には欠ける。だけど自分で簡単に確認できるので、多くの生徒たちが便利に使っているのだ。


 正確な値を知りたい場合は『中央奥ノ宮』という場所で鑑定してもらう必要がある。この鑑定値は正確で、その値は学生証にも書き込まれるのだけれど、料金が高いことが唯一の欠点になっていた。



「あれ? 何これ? 変なことが表示されてるんだけど?」


 由樹(ゆき)に言われてみんなが自分の学生証を取り出す。


――探求(クエスト)領域 地下闘技場 最終戦開始まで残り二十三分


 確かに良く分からない。何だ、これは?


 探求(クエスト)領域というのは何となく分かる。(あらた)たちがいつも探索しているところは魑魅(ちみ)領域、他の生徒たちが普段入っている所は管理領域という場所なので、おそらく今いるこの領域が探求(クエスト)領域ということだろう。


 地下闘技場、というのは、あの祭壇から続いている巨大ゴブリンボスと戦った闘技場のことだろうか。


 しかし最終戦開始というのは意味が分からない。あの闘技場で戦いがあるから見に来い、とでも言うのだろうか? でも祭壇ごと地下通路への入り口が消えてしまったので、行きたくても行けないんだけど。


 というか、なんでこんなものが学生証に表示されているんだろう? どういう理屈で動いているのか、その理由もあいまいだ。もしかしたらこれも学校が仕組んだ罠なんだろうか?



 眺めながら考え込んでいるうちに、時間が残り二十分に減っている。


 他のみんなも首を(かし)げている。なんでこんな表示がされているのか、何が言いたいのか、誰にも理由も対策も思いつかない。


「これ、やっぱりあの闘技場に行かないといけないってことかな?」

「行きたくても行けないんじゃない?」


 それもそうなんだよね。



――探求(クエスト)領域 地下闘技場 最終戦開始まで残り十分


 何をどうしていいのか分からず、手をこまねいているうちに、残り時間はどんどん短くなっていく。


 これってもう、何をするにも時間が足りない。せめて何をしたらいいのか説明ぐらいして欲しい。


 時間切れになったらどうなってしまうのか。爆発して即死とかじゃないことを祈るしかない。


魔巌洞(ダンジョン)の強制退出まで、あと二時間以上も残ってるよ……」

「そっちもダメかぁ」


「まだ森の木を全部伐採してないのに!」


 問題ってそこ?


 ある意味、由樹(ゆき)はブレないな。


「時間が来てもすぐに戦いになるとは思えないですけど、心の準備だけはしておきましょう」


 正直な所、不安しかない。もう一度あの闘技場で戦うことになるとすれば、おそらくだけど、次はボス級の巨大ゴブリン五匹ってことになるんじゃないだろうか。


 前回の最後は木綿花(ゆうか)の炎魔法のごり押しで乗り切った。でも炎魔法が効かない敵だったらどうすればいいのか。


 そこをなんとか乗り切ったとしても、さらに敵の数が増えていったとしたら?


 制限時間まであと二時間強。


 全滅するのが早いか、それとも制限時間まで粘ることができるのか。



「そろそろ時間だね」


 学生証を見る。


――探求(クエスト)領域 地下闘技場 最終戦開始


 残り時間表示が消えた。ついに謎の最終戦が開始されたのだ。


 それと同時に(あらた)たちの体が光の粒に包まれた。足元に魔法陣のようなものが現れて光り輝く。


「これって……魔巌洞(ダンジョン)を出る時と同じ……?」

「もしかして転移……」


 光の粒と魔法陣が消えさった後、(あらた)たち八人の姿は森の中から完全に消えていた。



――――――――――



若草(わかくさ)(あらた) 中級見習い十七

 装備: 全身鎧、巨大棍棒、聖者の瞳


鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 拳闘士十六

 装備: 簡易防具、頑丈な篭手、頑丈な脛当、棍棒、ビキニアーマー(黄)


坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 巫子十七

 装備: 簡易防具、無骨な槍、ビキニアーマー(白)、炎の杖(魔力向上小、炎魔法連射)、魔法のドレス(魔力向上小、炎耐性中)


不知火(しらぬい)都久詩(つくし) 剣豪十七

 装備: 簡易防具、無骨な刀、ビキニアーマー(水色)


天坂(あまさか)陽菜(ひな) 調理師十三→十四

紅野(こうの)亜紗(あさ) 裁縫師十三→十四

白妙(しろたえ)由樹(ゆき) 木工師十三→十四

朝顔(あさがお)(みのり) 栽培師十三→十四



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