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底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


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79.炎の海

音羽(おとは)は? 音羽(おとは)は大丈夫なのか?」

「気を失っているけど息はあるよ。万能包帯を巻いたけど、次の戦いがあったとしても戦えないと思う」


 とりあえず無事と聞いてホッとしたけれど、闘技場の出入り口はまだ開いていない。つまりまだ戦いが続くと考えるべきだ。


 音羽(おとは)はこれ以上もう戦えないだろう。そうなると戦力的にかなり厳しい。


 三匹のゴブリンとの闘いで、全員のレベルが大きく上がった。(あらた)都久詩(つくし)はレベル十六、音羽(おとは)木綿花(ゆうか)がレベル十五になっている。クラフター組、陽菜(ひな)亜紗(あさ)由樹(ゆき)(みのり)の四人はレベル十二まで上がっている。


 それでも音羽(おとは)の穴を埋めきれるかどうか。多分、いや確実に無理だ。


 クラフター組の四人はレベルも落ちるし戦闘力も落ちる。でもそれだけじゃない。音羽(おとは)は中にビキニアーマーを着こんでいたのだ。それなのに一撃で戦闘不能にされてしまったことになる。


 クラフター組の防御力はほぼ制服の状態。もしも敵の攻撃を受けたとしたら体ごと真っ二つにされてもおかしくないのだ。これでは危険すぎて前に出るのは自殺行為だ。


「そういえば、みんなビキニアーマーの着替えをたくさん持ってるよね?」

「ええ。それがどうしたの?」


「ちょっと思いついたんだけどね、サイズはぴったり合わないかもしれないけど、クラフター組にも着こんでもらえば生き残る率が上がるんじゃないかな? それと二枚三枚と重ね着したら、防御力は上がらないかな?」


 音羽(おとは)木綿花(ゆうか)都久詩(つくし)の三人は追加で八枚のビキニアーマーを取ったはず。だとすると、全部で二十七枚ある計算になる。女子は七人いるわけだから、一人当たり三枚か四枚の重ね着ができる計算だ。


「やってみる価値はありそうですね」


「待って、待ってよ! ビキニアーマーって何?」


 裁縫師だけあって、亜紗(あさ)が強い反応を見せたけれど、残念ながら、あんまり丁寧に説明している時間がない。


 こうなったら恥ずかしいなんて言ってもらっても困るし、クラフター魂に火をつけてもらっても困る。ただ急いで脱いで着替えてもらうしかないのだ。


 混乱したのも束の間、まだ意識が戻らない音羽(おとは)を除いて、残り全員が制服を脱いでビキニアーマーの重ね着を始めた。



 着替えを待っている間、(あらた)にはもう一つアイデアが浮かんできた。


「そう言えば装備には続きがあって……」


 急ぎのあまり、ついつい後ろを振り向く。


「キャーッ!」

「えっち! 痴漢!」


「うわ、ごめん、そう言うつもりじゃ……」


 ちょっと、いや大いに見えてしまったが、もちろん見たくて振り返ったわけじゃない。見たくなかったわけでもないけど。


「ドロップした武器もあるから、持ち替えてもいいんじゃないかと……」

「はいはい、分かりましたから。見たければ私でよければ後でいくらでも見せますから、今は後ろを見ないでくださいね?」


「私もちょっとびっくりしただけで、ダメってほどじゃないよ?」

「私は、ちゃんと『見たい』って言ってもらってからじゃないと……」


 これはどこかで読んだ覚えがある。見たいって言ってから振り向いたら、着替えが終わってるパターンだ。



 しっかりと戦力を整え終わった頃、鉄格子が開いて敵が現れた。巨大ゴブリン四匹。やっぱり一匹増えた。嫌な予想通りだ。


 相手の武装は、槍持ち、両手棍棒持ち、刀持ち、そして素手が一匹づつ。この構成は、そう、(あらた)たちグループの鏡写しになっている。


 (あらた)が右前に、都久詩(つくし)が左前に数歩出る。できれば二人で相手を止めたいけれど、おそらくそう簡単にはいかない。この戦い、そしてこれ以降はクラフター組も当てにしないといけないだろう。だとすれば前に出過ぎるのは悪手、壁を背負った方がいい。


「この魔巌洞(ダンジョン)っていうのは、どこまでも舐めたことをしてくれますよね……」


 ゆっくりと歩み寄ってくる四匹の巨大ゴブリン。その手にする武器は(あらた)たちと同じ。


 それを見た木綿花(ゆうか)が完全にお怒りモードだ。


 ロングヘアの黒髪が静電気を帯びたように浮き上がり、まるで周りがプラズマ化したとでもいうように、彼女の体全体を光の粒が覆い始める。


 そして(あらた)都久詩(つくし)の間を抜けて、敵のゴブリンたちと同じようにゆっくりと前に進む。


「滅びなさいっ!」


 木綿花(ゆうか)が杖を掲げた瞬間、(あらた)たちの視界が炎で真っ赤に染まった。



 目の前を飛ぶ大量の火の玉。そのあまりの量に視界を遮られて、(あらた)は、もちろん都久詩(つくし)も、敵が全く見えなくなってしまった。


 何も見えない。敵が炎をものともせずに突き進んでくるのか、それとも動けないでいるのかも分からない。火の玉の激しい爆裂音のおかげで敵の声すら聞こえない。


 音羽(おとは)が吹き飛ばされたことで、内心激しく怒りに燃えている(あらた)の気合は最高潮に達していた。体感では以前の十倍をはるかに超えているだろう。その気合がガンガン何かに吸い取られていく。


 この時初めて、(あらた)は自分の気合パワーが仲間の力を押し上げていることを自覚した。


 そういうことだったのか。ならば遠慮はいらない。もっとだ、もっと気合を入れろ!


 目の前の火の玉の壁がどんどん温度を上げ、赤から黄色へ、そして青へと変わっていく。



――――――――――



若草(わかくさ)(あらた) 中級見習い十三→十六

 装備: 全身鎧、巨大棍棒、聖者の瞳


鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 拳闘士十三→十五

 装備: 簡易防具、頑丈な篭手、頑丈な脛当、棍棒、ビキニアーマー(黄)


坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 巫子十三→十五

 装備: 簡易防具、無骨な槍、ビキニアーマー(白)、炎の杖(魔力向上小、炎魔法連射)、魔法のドレス(魔力向上小、炎耐性中)


不知火(しらぬい)都久詩(つくし) 剣豪十四→十六

 装備: 簡易防具、無骨な刀、ビキニアーマー(水色)


天坂(あまさか)陽菜(ひな) 調理師十→十二

紅野(こうの)亜紗(あさ) 裁縫師十→十二

白妙(しろたえ)由樹(ゆき) 木工師十→十二

朝顔(あさがお)(みのり) 栽培師十→十二




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