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08.聖者の瞳

「みなさんが今日から挑戦するダンジョン第一階層、そこではモンスターが出てくることになります。これを倒すと経験値が手に入って、集めるとレベルが上がって強くなれます」


 今は座学、基礎ダンジョン論の授業時間。


 黒板の前では、大きな胸でブラウスのボタンをはちきれんばかりにしながら、夏草(なつくさ)先生が授業を続けている。


 説明のほとんどは、ダンジョンの中でもう実際に経験したこと。もっと早く教えてくれればいいのに。今更感がぬぐえない。


 でも拾い集めたビー玉の使い道は分かった。


 ビー玉の本当の名前は夢の(しずく)。なんと購買で買い取ってもらえるそう。そうしてお金を貯めて、強い武器や防具を買い集めることになるらしい。


「最初はみんな、職業は初心者(ノービス)から始まります。そしてレベルが二十まで上がったら、中央奥ノ宮で転職できるようになります……」


 そうだ、レベルというものがあった。完全に忘れていた。


 (あらた)は聖者の瞳、見えないものを見る力を手に入れた。もしかしたら今ならレベルが見えるかもしれない。


 そう思って夏草(なつくさ)先生の方を見る。ブラウスの下に赤いブラジャー、さらにその下まで透けて……。


 えええっ、ちょっと待って! しっかり目をこすって良く見直すと、ちゃんと白いブラウスが見えた。下着の中なんてもちろん見えない。どうやら寝ぼけたか。


 見たいのはレベルだよ、レベル!



 そう念じてもう一度、夏草(なつくさ)先生の方に目を向ける。


――野島(のじま)夏草(なつくさ) 教師三。二十三歳、処女。


 おお、見えた! そう、これが見たかったのだ。いや、処女とかはどうでもいい。見たかったのはレベルだ。


 よし、次は自分の職業とレベルを見てみよう。


――若草(わかくさ)(あらた) 見習い(ノービス)十三。装備:聖者の瞳


 あれ? たった今、初心者(ノービス)から始まると聞いた気がするんだけど。何だかニュアンスが微妙に違っている気がする。


 昨日一緒にダンジョンに入った二人も見てみることにする。


――鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 初心者(ノービス)十二。装備:ビキニアーマー(黄)

――坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 初心者(ノービス)十二。装備:ビキニアーマー(白)


 制服の中にはしっかりビキニアーマーを着こんでおられるご様子。


 いやポイントはそこじゃない。二人はしっかり初心者(ノービス)になっている。レベルは(あらた)とほぼ同じだ。これはちゃんと見えている可能性が高いな。



 昼休みになって、購買まで昨日のビー玉を換金しにいった。この学校では学生証がICカードになっていて、個人ごとの口座に紐づけされている。お金のやり取りはすべて、このスマート学生証経由だ。現金は使えない。


 しばらくお小遣いには困らないぐらいの金額になったけれど、武器や防具を新調するにはまだまだ足りないようだ。しっかり三分割して音羽(おとは)木綿花(ゆうか)の口座にも振り込んでおく。


 待てよ、怪我した時の薬とか買えないかな? そう思って回復薬みたいなものはないか購買で聞いてみる。


 あるのはあったけど、バカ高くて買えそうになかった。その代わりに万能包帯というのが売ってたのでいくつか買ってみた。回復薬より効果は低いけれど、愛用者は結構多いらしい。こんなものでも無いよりマシだろう。



 少し遅れて食堂に行くと、横から声をかけられた。こいつは確か、磐瀬(いわせ)武士(たけし)。同じクラスの男子だ。


(あらた)、一人か? あの美少女二人はどうしたんだ?」


「ああ、ちょっと購買に行ってて遅れた。武士(たけし)は?」

「俺もちょっと野暮用でな。あとおまえに相談がある」


 二人で並んで料理を受け取り、空いてる席に座る。


「で、相談って何?」

「午後は魔巌洞(ダンジョン)実習だろ? たぶんグループに分かれることになるはずだ。そこで男子一人に女子三~四人のハーレムグループにしねえ? って話だ」


 この学校、真神原塾社の授業は、午前中は主に座学、午後は実習、こんな構成になっている。座学はダンジョン論など、この学校特有のものもあるけれど、半分くらいは国語や数学などの普通の授業だ。


 そして今日、午後の実習はグループに分かれてのダンジョン探索。


 武士(たけし)の持ってきたグループ分けの提案、話としては悪くない。女子に無理強いをしなければ自然な感じすらある、気がする。


「僕はそれでいいよ。ただうちは女子二人だから、一人か二人貰わないと駄目だね」

「分かってもらえると思ったぜ。誰がどの男子のとこに行くかは女子次第だけどな」


 完全にカヤの外で気づいたらボッチ、そんな生活を送ってきたので、こういう相談をするのは面倒くさいだけじゃなくて照れ臭い。でも何となく悪い気はしない。


 音羽(おとは)木綿花(ゆうか)の二人には感謝しないと。いや待て、彼女たち二人が今日一緒にダンジョンに行ってくれるとは限らないか。


 まあそうなったらそうなったで良いだろう。ボッチならボッチで構わないし、別の女子が来るなら来るでそれも構わない。一緒に組むのがごちゃごちゃうるさい人だと面倒だけど、それなら捨てていけばいいだけだ。


「で、誰を狙ってるとかあるの?」

「そりゃもちろん。(あらた)は?」


「あの二人とは、色々あるしまた一緒に行きたいかな」

「ぜいたくなヤツだな。俺の見たところ、学年でもトップクラスの二人だぞ?」


「無理に拘束したりしないって。あくまで二人がオッケーならね」

「なんだ、絶対受け入れてもらえるってか? 自信満々じゃないか」


 武士(たけし)の狙い目も教えてもらった。どうやら背が低くて可愛い系が趣味らしい。綺麗に住み分けできそうなのは素晴らしいことだと思うんだ。


 良い女の条件を議論したら恐らく激しい戦争になると思うけど。


 午後からの実習、男なんか不要だと、はじき出されてボッチにならないことを願うばかりだ。



――――――――――



若草(わかくさ)(あらた) 見習い《ノービス》十三

 装備: 簡易防具、巨大棍棒、聖者の瞳


鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 初心者(ノービス)十二

 装備: 簡易防具、棍棒、ビキニアーマー(黄)


坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 初心者(ノービス)十二

 装備: 簡易防具、棍棒、ビキニアーマー(白)



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