表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/109

68.やっぱり面倒ごと

 ゴブリンのボスが砂になって崩れた後も、その巨大ハンマーは崩れることなく、その場に落ちて残っていた。


――巨大ハンマー 桁違いの威力がある鈍器


 (あらた)が持ち上げてみると、今まで使っていた巨大棍棒の数倍重たい上に、頑丈そうな作りをしている。


「こっちの方がいいかも、交換しようかな」


 そう口に出した途端に、なぜか巨大ハンマーは煙のようになって、巨大棍棒に吸い込まれるようにして消えてしまった。


 途端にグッと重たさを増す巨大棍棒。


「え? 今の何? どうしたの?」

「なんだかハンマーが棍棒に食べられちゃったみたい……」


 何が起こったのか意味不明だけど、巨大ハンマーと巨大棍棒が合体して一つになった模様。巨大棍棒の肌つやというかなんというか、少し黒光りが増して強さが増えたようにも見える。


「不思議だけど、まあ強くなったならそれでいいかなぁ」

(あらた)がそれでいいならいいけど、それ、大丈夫なの?」


 正直分からん。でも受け入れるしか無さげ。


 草むらでの戦いになったので、ビー玉がどこに落ちているのか探すのは一苦労だ。夕日が沈もうとしているので、どんどん周囲が暗くなってくる。砦がまだ燃え続けているので暗闇にはなっていないけれど、ビー玉を全部拾いきるのは難しそうだ。



 周囲が暗さを増していく中で、遠くの方で人影が動いているのが見えた。ゴブリンかな? いや、どうやら人間のようにも見える。こちらに近づいてくるような気がするけれどどうなんだろう?


「面倒くさいのが来たぞ」

「十人以上いるわね、いや、追われているのかな?」


 気のせいかもしれないけど、追いかけられて何人かがこちらに逃げてきている。


 いや気のせいじゃない。逃げてくるのは女子生徒、それが真っすぐこっちに走ってくる。鑑定によれば三年生の模様。それを追いかけているのは三年生と二年生の男子たちが十人以上だ。


 これって完全に(なす)り付けだよね。何があったのか、おおよそ見当がつくけれど、だからって一年生に向かって逃げて来るなんて。


 東の拠点近くに来ると何かあるとは思っていたけれど、やっぱり面倒臭いことに巻き込まれたみたいだ。


「これがゲームだったら、完全にトレインで迷惑プレイよね」

「どうしましょう? 今からでも走って逃げましょうか?」


「そうしたいところだけど、余計に面倒くさいことにならないかな」


 人間って自分勝手に恨んで、陰で姑息な嫌がらせをしてくるものだし。


 追って来る方だけでなく、逃げてくる方も、(あらた)にとってはどっちも敵だ。


 春陽(はるひ)穂乃香(ほのか)、あの双子が面倒を見ていた二年生の女子たちの姿が思い出される。自分勝手で厚かましく、他人に寄生する気満々の人々。その姿がどうしても、逃げてくる女子生徒たちと重なる。


 この学校がそうさせている部分はもちろんある。でもそれだけじゃない。彼女たち自身が自分で判断してそうしているのだから。



 音羽(おとは)木綿花(ゆうか)、そして都久詩(つくし)も、女子生徒たちを助けたいという思いはある。でも(あらた)がまったくそう思っていないことも同時に感じている。そしてその理由も理解できる。


 三人の中でも、特に音羽(おとは)木綿花(ゆうか)は、あの時(あらた)に助けられていなければ、今はもう生きてはいない。だから余計に、こういう時に(あらた)に意見するのは(はばか)られるのだ。


 都久詩(つくし)は二人とはちょっと違って命を助けられたわけではない。最初は日本刀を貰った、ただそれだけだった。幼いころから剣術を習っていた彼女にとってそれは極めて大きかった、でもそれは本当にそれだけのことだったのだ。


 後で話を聞いたところ、都久詩(つくし)が参加してすぐに日本刀、そして都久詩(つくし)サイズのビキニアーマーがドロップしたのだと言う。そんなことがあり得るのか。(あらた)魔巌洞(ダンジョン)のアイテムドロップを制御しているんじゃないのか。


 その疑いは春陽(はるひ)穂乃香(ほのか)朝霞(あさか)姉妹が参加した時にさらに大きくなった。この二人にもピッタリサイズのビキニアーマーがドロップしたのだ。


 疑い、いやもう確定と言っても良い。(あらた)には何か大きな力が宿っていて、それが彼女たち三人を守ってくれているのだ。


 武技を覚えた時もそう。体の奥から何か不思議な力が湧きだしてきた。その暖かさ、力強さはどこか彼の匂いがするような気がした。彼が力を分け与えてくれている、そう思って間違いない。


 (あらた)はなんだかんだ、面倒くさいと言いながらも逃げてくる四人を受け入れるだろう。問題は彼女たちの態度。それを当たり前だと感じているようならば、斬り捨てなければいけない。それが都久詩(つくし)の思い。


 そしてそれは、音羽(おとは)木綿花(ゆうか)にも共通する思いだった。



「た、たすけて! お願い!」


 ついに四人の三年女子生徒たちが、(あらた)たちのところにたどり着いた。ほぼ全力で走ってきたのだろう、四人とも激しく息を切らしている。


 そして彼女たちを追いかけてきた男子たち。


 とてもじゃないけど、無事にすむとは思えない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ