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底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


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66.特別講習という地獄

 それぞれの組が各々勝手に動き出す。


 その様子はまるでカオス。何が起きているのかなんて、その場にいても分からない。たとえしっかり見張っていても分かるわけがない。


 ただいつの間にか全員が一ヶ所に集まりつつある、そんな雰囲気だけがあった。



 ↓↓↓↓↓ 流れだけ読んでね ↓↓↓↓↓



 第肆拠点に集まった成績優秀な三年生の襲撃者四人組は、成績不良の者たちを荷物運びの奴隷にしながら、第伍拠点へとたどりついた。


「おい、誰もいないぞ?」

「マジかよ、俺たちクジ運なさすぎだろ」

「むしろ笑えるわ」


 そこには誰もいない。最初は成績優秀者が十人も集まっていたけれど、すでに彼らは二手に分かれて別拠点を襲撃に移動した後だ。


「だるいな、次どうするよ?」

「第壱、行ってみるか?」


 ちなみに第壱拠点には、二年生男子が六人いるだけで、女子生徒は一人もいない。どこまでも運がない襲撃者たちだった。



 第伍拠点から出発した襲撃者たち十人は五人づつに分かれて第壱、第肆の二拠点に現れた。


 第壱拠点にいたのは成績不良の二年生、男子六人だけ。女子はいなかった。


「なんだ、男だけかよ……ウザいな」

「役に立たん奴らだ、女ぐらい集めとけよ」


「そんなこと言われても……」

「馬鹿野郎、逆らうな! すみません、俺たちの不手際で迷惑かけてしまって」


 理不尽な話だけれど、二年生の、それも成績不良の者たちでは三年生の強者には逆らえない。下手に出ておかないと何をされるのか分からないのだ。


「ああ、仕方ないから許してやるか」

「分かったからお前ら全員、荷物全部持ってついてこいや。第弐拠点に移動するぞ!」


 二年生たちに自分たちの水と食糧を含めてすべての荷物を持たせると、五人の襲撃者たちは次の目的地、第弐拠点へと移動を開始した。



 第伍拠点から出発した襲撃者の内、半数の五人は第肆拠点に到着した。


 しかし中には誰もいない。元は四人の襲撃者と五人の三年生の成績不良者がいたけれど、彼らは第伍拠点に移動しており、どこかですれ違いになっていた。


「次だ、次に行くぞ」

「ああ、急ごうぜ」


 すぐに五人は次の目的地である第参拠点に移動する。到着してみると、そこでは六人の襲撃者たちが二人の女子生徒を相手にご機嫌だった。


「おう、兄弟! お楽しみだな」

「お前たち、あぶれたのか? ここに合流するか?」


 襲撃者同士は仲間割れせず協力し合う、それが特別講習の自分たちルール。男女のバランスが悪いのだから、ある程度は協力するようにしておかないと、殺し合いに発展してしまう可能性が高いのだ。


「どうする? ここにお邪魔させてもらう?」

「それより、他の様子を見に行こうぜ」


 たしか女子は十二人参加していたはず。ここに二人しかいないということは、第壱と第弐に残りの十人が集まっているはずだ。急げばまだ仲良くできそうな女子が残っているかもしれない。


「俺たちは他の様子を覗いてくるわ、また後でな!」

「どっかに女たち集めてみんなで仲よくしようぜ」


 ここで襲撃者が増えなかったことは女子生徒たちにとってはまだマシな事態と思えたかもしれない。しかし今この時、第肆拠点からの別の襲撃者たちがこの第参拠点に向かっているのだ。彼女たちが事態の真っただ中にいることは何も変わらない。



 この第参拠点に新たな襲撃者四人が六人の奴隷を引き連れて現れたのは、五人組が立ち去った後だった。彼らは第肆拠点を出発して第伍拠点で空振りした後、この第参拠点にたどり着いたのだ。


「ここに二人かよ、こりゃあ廻る順番間違えたな」


 彼らがまだ見ていない第壱と第弐拠点、そこには別の襲撃者たち十人が向かっているらしい。


「疲れただろ? ちょっと休んでいけよ」

「ちょうど俺たちは休憩中だからな。仲良くしてやれば彼女たちも喜ぶだろうからな」


「そうだな、お言葉に甘えさせてもらうぜ」


 十人の襲撃者がこの第参拠点に集結したことになる。それに対して女子生徒は二人、成績不良の三年男子が八人。


 人数の上では互角だけれど、レベル差が大きすぎて戦ったとしてもまったく勝ち目はない。全員が二次職に転職しているとはいえ、成績不良者のレベルは一桁前半に過ぎない。それに対して襲撃者たちはレベル二十を超えているのだ。


 もしもここで成績不良の男子生徒たちが命をかけて戦ったとしても、女子たちとラブラブ仲良しの関係になる可能性はほとんどない。


 それは女性たちが男性に対する強い嫌悪感を持っているからではない。強いものに(すが)らないと生き残れない環境、この学校『真神原塾社』はそういう場所なのだ。


 愛を得るためには戦うだけでは無理。戦って、その上で勝つしかない。それも一度だけではなく、何回でも、何十回でも、ずっと勝ち続けること。それが真神原塾社の真実だった。



 第弐拠点に五人の襲撃者が現れた。彼らは第伍拠点を出発したうちの半数。第壱拠点で六人の二年生を徴発して、ここまでやって来たのだ。


 襲撃者たちがロッジの扉を開けると、そこでは二年生の男女三人づつが武器を構えて相対峙していた。


「お前ら、何してるんだ!」

「女子に剣を向けるヤツがあるか! ぶち殺すぞ!」


 一瞬にして二年生の男子三人は半殺しの目に会い、拠点から叩き出された。


 もちろん襲撃者たちは女子生徒を助けた白馬の王子様ではない。目の前の狼藉者を叩きのめしたのは、それをはるかに超えた悪魔のような狼藉者。


「外で話をつけられりゃ、こんな揉め事は起こらないんだけどなぁ」

「まったくだぜ。お陰でわざわざ揉めるようになってるんだから、学校もタチが悪いよな」


 成績優良者、それも学年が違う者が、特別講習が始まる前に成績不良者と個別にヘルプ内容の話をすることは、学校から完全に禁止されている。成績不良者は上級生の誰かに頼るのではなく、自力でレベルを上げるべきというのが学校側の建前だ。


 しかし現実は全く違う。学内では風紀委員軍団や決闘管理軍団といった強者の眼が光っているので無理だけれど、魔巌洞(ダンジョン)に入ってしまえばそんなものはない。特に特別講習では力が全てを支配するのだ。


 同じ二年生が一瞬にしてボロ雑巾のように半殺しにされるのを目撃して、荷物運びのために連れ出された二年生たち六人は震えあがってしまった。


「お前ら、第参拠点まで行って、状況を連絡してこい。一番に帰ってきたヤツは仲間に入れてやる。急げっ!」

「「「は、はいぃっ!」」」


「女の子たちは安心していいぞ、俺たちがちゃんと守ってやるからな」


 野卑(やひ)な顔つきで女子生徒を抱き寄せる暴漢たち。


 守るって一体何から何を守るというんだろう。


 そんなことは口が裂けても言えない。彼女たちにはただ従うしか道は無いのだ。



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