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底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


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65.ゴブリンの砦

 (あらた)たちは、ここでゴブリンを狩りまくるべきだと、すぐに意見が一致した。


 しかし草原はだだっ広い。どっちに進むべきなのか。


「ここはやっぱり聖者の瞳かな」

「それしかないでしょ」


 周囲を鑑定してみるとすぐに答えが出た。


「北に進んでみよう。近いところに敵がいっぱいるらしいぞ」


 少し早足で草原を北に向かって進んでいく。道中はずっと鑑定しっぱなし。ゴブリンを見つけたら即殺してビー玉を拾う、そうしてどんどんレベルを上げていくのだ。


 個の草原のゴブリンたちはレベルが高いだけで、武技を身に着けた音羽(おとは)都久詩(つくし)の敵じゃない。力任せ攻撃をさばく技量もないので(あらた)もほぼ無傷で戦える。


 まだ武技を覚えていない木綿花(ゆうか)だけは倒すのがキツいみたいだけれど、それでも身を守ることだけはできている。ちょっと不満げな表情だが、草原が火事になったら大変なので、炎の魔法は遠慮してもらうしかないのだ。



 そうしてお昼休憩を取る頃には、音羽(おとは)たちのレベルも十に到達していた。


「この先にゴブリンたちの集落があるらしいぞ」

「行ってみるしかないわね」


 ゴブリンの集落は丸太で組まれた柵に囲まれた、軍事的な砦といってもいいものだった。丸太の先は鉛筆のように尖っていて、簡単に登って越えられないようにされている。


 入り口には槍を持った歩哨が立ち、砦の中には、これも丸太でできた小屋が立ち並んでいる。その中を剣や槍で武装したゴブリンたちが闊歩していく。


 小さな(やぐら)がいくつか立てられているけれど、その上にはゴブリンの姿は見えない。気を抜いているのか、それとも特別な場合にしか使わないのか。見張りがいないのは嬉しいけどね。


 また杖を盛ったゴブリンが見当たらない所を見ると、魔法を使うゴブリンはいないか、もしくはかなり数が少ないと思っていいだろう。


 レベルはやはり二十から三十を超えるぐらい。職業は戦士の他に、衛士や剣士、槍士といった感じ。


「中に五十匹ほど湧いてるみたいだ」


 草むらに隠れながらかなり近づいたというのに、(あらた)たち四人はまだ見つかっていないらしい。やはりかなり気を抜いているのか、それとも見張りという概念が無いのか、どちらにしても好都合。



「もう少し近づいてから一気に突っ込む?」

「うん、そうしよう!」


「ここは火を使ってもいいですよね?」

「もちろん! 全部焼いちゃいなさい!」


 門番のゴブリンの目を盗んでじわじわ砦に近づいていく。もう目と鼻の先なのに全くこちらに気付く様子がない。気づいているのに気づいていないフリをしてるんじゃないかとさえ疑ってしまいそうになる。


 ここまで来たら後は突入するだけだ。


 合図とともに都久詩(つくし)音羽(おとは)が草むらの陰から飛び出した。都久詩(つくし)の刀が一瞬で左のゴブリンの首を飛ばし、音羽(おとは)の膝蹴りが右のゴブリンの頭を叩き潰す。


「グゴッ!」


 さすがに砦の中のゴブリンに気づかれた。


「グガガッ!」「ゲグググッ!」


 一斉に騒ぎ出すゴブリンたちに(あらた)が中央から突進する。その後ろからは大量の炎の玉がまき散らされた。もちろん木綿花(ゆうか)の魔法だ。


 燃え上がる小屋の間を都久詩(つくし)が疾風のように駆け抜ける。その後には何も残らない。すべてが砂になって消えていくだけ。(あらた)の眼でも何が起こっているのか見極めることは不可能だ。それほどまでに都久詩(つくし)の斬撃は素早く鋭い。


 一方、音羽(おとは)はまるで竜巻のように暴れていた。近づくゴブリンたちを吹き飛ばし、ひたすらなぎ倒していく。その嵐は誰にも止められない。止めようとしたゴブリンは全て露のように消えていく、それが彼らの運命なのだ。


 周囲の小屋が黄色い炎で焼き尽くされていく。炎は建物だけでなくゴブリンたちにも燃え広がる。苦痛の叫び声を上げながら、炎の(かたまり)が地面を転げまわる。


 (あらた)は火の海の中で、力任せに巨大な棍棒を振り回していた。手当たり次第に、目につく者すべてに棍棒のフルスイングをぶちかます。この奥に何か強者の気配がある。おそらくはボス、それを止めることが(あらた)の役割でもある。



「グガガガァアッ!」


 突然、戦場に大きな叫び声が上がった。


 燃えさかる建物の中から現れたのは炎の巨人だ。


 その背丈は二メートル以上もあり、体と同じように燃えさかる巨大なハンマーを手にしている。


「ゴグワアアアアッ!」


 炎の巨人は再び叫んだ。


 こんな化け物、棍棒で叩き潰せるのだろうか。戸惑いはしたものの、(あらた)には止まることはできない。ここで自分が止めなければ、仲間たちが危険な目に会うことになる。


 炎の巨人が炎の巨大ハンマーを地面に叩きつけるたびに、轟音が響き、大地が揺れる。あんな一撃をもらったらただでは済まない。まるで相手の弱点を探るように、聖者の瞳で観察する。


――ゴブリン(炎上中)


 あれれ? こいつ、炎の化け物じゃなくて、ゴブリンなの?


 炎の巨人改め巨大ゴブリンは、もう一度大きな叫び声を上げると地面に倒れ伏し、炎に包まれながら消し炭のようになっていく。そして最後は砂のように崩れて消え散った。


 こうして(あらた)はほとんど活躍することなく、ゴブリンの砦は全滅した。生き残りは一匹もおらず、焼け残った建物もない。文字通りの全滅だ。



 この戦いで都久詩(つくし)はレベル十二に、音羽(おとは)木綿花(ゆうか)はレベル十一にそれぞれ上がっている。もうちょっと上がるかと思ったんだけど、かなりシブかった。それと(あらた)だけがレベル十一のまま……ちょっと辛い。


 職業によって上がりやすさが違うのか、それとも敵にとどめを与えた方がレベルが上がりやすいのか。その辺りはどうなっているんだろう?



――――――――――



若草(わかくさ)(あらた) 中級見習い十一

 装備: 全身鎧、巨大棍棒、聖者の瞳


鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 拳闘士七→拳闘士十一

 装備: 簡易防具、頑丈な篭手、頑丈な脛当、棍棒、ビキニアーマー(黄)


坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 巫子七→巫子十一

 装備: 簡易防具、無骨な槍、ビキニアーマー(白)、炎の杖(魔力向上小、炎魔法連射)、魔法のドレス(魔力向上小、炎耐性中)


不知火(しらぬい)都久詩(つくし) 剣豪八→剣豪十ニ

 装備: 簡易防具、無骨な刀、ビキニアーマー(水色)



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