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37.第二階層?

(あらた)、あなたって本当に変な子なのね」

「職業・中級見習い……聞いたことはありませんが」


 聞いたことがないと言われても、そうなんだからしょうがない。自分でもちゃんとした職業に就きたいと思っているんだけど。


 そう思いながら自分で自分を鑑定してみる。


――若草(わかくさ)(あらた) 中級見習いレベル十

 装備: 簡易防具、巨大棍棒、聖者の瞳


「ぶっ!」


 びっくりして思わず吹き出してしまった。


「何よ、汚いわねえ。一体どうしたの?」

「いや、レベルが上がってる」


「え? 何ですって?」

「鑑定してみたら、ダンジョンに潜ってないのにレベルが上がってるんだ。中級見習いレベル二だったのが、レベル十になってる……」


 魔巌洞(ダンジョン)でゴブリンを倒していないのは間違いない。決闘場は魔巌洞(ダンジョン)っぽい場所で、そこで勝利はしたけれど、決闘相手の息の根は止めてない。だから経験値になったとは思えない。


 あとはこの二人、朝霞(あさか)姉妹がステディとやらになっただけだ。もちろんそんなのはレベルとは関係ないだろうし。



「ちょっとどういうことなの? 鑑定って何? 詳しく話してよ」


 (あらた)は聖者の瞳という名前の眼鏡と同化して、鑑定能力が得られたことを正直に話しておくことにした。


「鑑定、ちょっと信じられませんが」


 朝霞(あさか)姉妹は全く信じていない様子。


「そんな力があるなら、私たちのことを鑑定してみなさいよ」

「そういうことなら、少し失礼して」


――朝霞(あさか)春陽(はるひ) 騎士レベル三。二年子組、双子の姉。黒ぶちの伊達眼鏡。大きな胸をサラシで巻いて隠している。おそらく処女。白馬に乗った王子様が自分を奪いに来てくれることを夢見ている。


――朝霞(あさか)穂乃香(ほのか) 聖魔法士レベル三。二年子組、双子の妹。赤ぶちの伊達眼鏡。姉より大きな胸をサラシで巻いて隠している。たぶん処女。大富豪が高級リムジンに乗って迎えに……


「ぶっ!」


 なんだかすごいものが見えた気がするぞ。


「伊達メガネ、胸にサラシ……」

「ちょ、ちょ、ちょっと、ちょっと待ちなさいっ」


「他にも見えますよ……白馬の王子様、大富豪がリムジン……」

「わかった、わかったからっ、信じるからっ」


 少しは信じていただけたようだ。


「それじゃもう少しだけ。二人の職業だけど、春陽(はるひ)は戦士じゃなくて騎士レベル三、穂乃香(ほのか)は回復士じゃなくて聖魔法士レベル三になってる」


「え? 何それ? 私たちは知らないわよ?」

「中央奥ノ宮で転職した時は、間違いなく戦士と回復士でしたよ?」


「それってつまり……(あらた)の鑑定が間違っているとでも?」


 どうどう。そんな喧嘩腰にならないで。この聖者の瞳の鑑定って、自分でもあんまり信用ならないのだ。鑑定なのに、おそらくとか、たぶんとか、そんなこと言ってるぐらいだからね。


「ちなみに私たちって二次職だけど、中央奥ノ宮ってところに行ったことが無いのよ」

「それって奥ノ宮なしで転職したってこと? 私たちもいつの間にか転職してるって言いたいの? 冗談言わないでよ」


 話をしていても、らちがあかない。(あらた)たちの常識と朝霞(あさか)姉妹の常識が食い違いすぎているのだ。



「少し敵と戦ってみましょう。それで見えてくるものもあるはずです」

「……ええ、そうね」


 眉を寄せて考えこもうとする朝霞(あさか)姉妹を急き立てるようにして、次の部屋へ向かう。


「えっと、次は私からだったかな? うわっ、ゴブリンが溢れてるっ!」

「おお? いきなり大群のお出ましか」


 音羽(おとは)が開けた扉からゴブリンの群れが湧き出てくる。前からだけじゃない。ゴブリンの群れは後ろからも襲い掛かってくる。


「え? なにこれ? 第二階層? 嘘? こんなの嘘っ!」

「う、硬いっ。駄目、こんなのゴブリンじゃないっ」


 朝霞(あさか)姉妹は何だかパニックになっている模様。このゴブリンたち、この階層に来た時は強敵に感じたけれど、今ではただのゴブリンなんだが。


 二人は充分にレベルが高いし放っておいても大丈夫かと思ったけれど、このままだと飲み込まれてしまいそうだ。しょうがないので二人の周りのゴブリンたちをポコポコと倒していく。


 グループの人数が増えたからなのか、かなりの数のゴブリンラッシュだったけれど、それほど時間をかけずに片づけることができた。


「何なの…これは」

「キミたち、ちょっと強すぎない?」


 強すぎと言われても、比較対象がいないので判断できない。


「私たち、これでも二年生のトップクラスなのよ? 第六階層を抜けて第七階層に入ってるのよ?」

「そんなこと言われても……」


 (あらた)たちからすれば、それがどれくらいの強さなのか分からないんだからどうしようもない。



「もう少し戦ってみればわかるんじゃないかな」


 ビー玉を拾い終わり、頭を突き出してきた音羽(おとは)を撫でてから次の扉へ向かう。


「次は私ですね……また大群です」

「れ、連続?」


 こんなことは初めてだ。


 嬉しそうにゴブリンを斬り飛ばしながら走り回る都久詩(つくし)。雄たけびを上げながらゴブリンを蹴り飛ばす音羽(おとは)。そして二人の陰からチマチマと槍で突っつく木綿花(ゆうか)


「なに、なに、やめて、無理、ごめん、悪かったから、謝るからぁっ」

「こんなの、こんなの駄目です、嫌、来ないで、来ないで~~っ」


 楽しそうな三人に対して、朝霞(あさか)姉妹はもう泣きそうだ。いや、泣いてる。


「ほら、ちゃんと敵を倒さないと終わらないってば」


「無理、無理よ、こんなのっ!」

「嫌、嫌、もう嫌~~っ!」


 駄目だ、現実逃避しておられる。


 それでもなんとか退治し終わった。


 音羽(おとは)たち三人には怪我はない。パニックを起こしていたとはいえ、フルプレートの春陽(はるひ)は大丈夫。だけどローブ姿だった妹の穂乃香(ほのか)の方は、かなりボロボロになっていた。


 さすが元?回復士だけあって、怪我自体は魔法でなんとかなったようだけど、敗れたローブまではダンジョンから出るまでは元に戻らない。破れた隙間から見えてはいけないモノが見えてるような気もする。


「そのローブって安物の布? ほとんど防御力はない感じ?」

「ち、違うわよ! ゴブリンごときに切られるような、そんなやわなモノじゃないはずなのよ! ホントよっ」


 パンツ丸出しでそんなことを言われても、まったく説得力がないんだけど。



――――――――――



若草(わかくさ)(あらた) 中級見習い二→中級見習い十

 装備: 簡易防具、巨大棍棒、聖者の瞳


鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 拳闘士四

 装備: 簡易防具、頑丈な篭手、頑丈な脛当、棍棒、ビキニアーマー(黄)


坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 巫子四

 装備: 簡易防具、無骨な槍、ビキニアーマー(白)


不知火(しらぬい)都久詩(つくし) 剣豪四

 装備: 簡易防具、無骨な刀、ビキニアーマー(水色)


朝霞(あさか)春陽(はるひ) 戦士三→騎士三

 装備: フルプレート、剛腕の大剣


朝霞(あさか)穂乃香(ほのか) 回復士三→聖魔法士三

 装備: 僧侶のローブ、水晶の杖



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