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底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


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135.どこまで行くのか

 三回目の決闘には(あらた)が出る。職業は上級見習い、レベルはこの決闘でかなり上がって二十二になっている。


 それにしても、これの職業とレベルでは、自分が強いのか弱いのか全く判断がつかない。


 相手は五年生の騎士、レベル六十五。全身プレートで身を固め、左手には大盾、右手には片手半のブロードソードを持っている。今までの二人よりもレベルは高いし、かなり強そうな感じを受ける。


 この騎士がクラブ『筋肉(マッスル)ダイナマイツ』の第三席、そして『たかはし』の拠点襲撃を指揮した男だ。


「このクソガキが! ぶち殺してやるから覚悟しろよ!」

「う~ん、そんな出来もしないことを言うものじゃないと思うよ?」


 相手の騎士からすれば、すでに後輩が二人も砂にされて消されている。これ以上の暴挙が許されるはずがない。許すつもりもない。


 それだけじゃない。この後まだ十二回も決闘が残っているのだ。なんとしてもここで相手を仕留めない事には、残り十二人の後輩たちの命も危ない。


 たかが一年生の分際で生意気なヤツ、その思いはまだ残っている。しかし相手を舐めるのはもう終わり。確実に仕留めるべき強敵、そう考えて対峙すべきだ。



 対する(あらた)は、ただひたすら気合を練っていた。職業が中級見習いから上級見習いになってからは、気合が抜けていく感じがあまりなくなった。音羽(おとは)都久詩(つくし)の決闘の時も気合を入れ続けていたけれど、あまり負担にはなってない。


 負担どころか、(あらた)の気合で木綿花(ゆうか)が強化され、木綿花(ゆうか)の祈りで(あらた)が強化される。そのループによる共振作用が(あらた)たちを限界まで強化していく。


 音羽(おとは)都久詩(つくし)が、はるか格上の戦士を軽く仕留めることができたのも、実はこの強化ループの共振作用のお陰だった。



 決闘場の中央に進んで相手と向き合った。


 『筋肉(マッスル)ダイナマイツ』の騎士は左手の大きな盾を前に突き出し、右手の剣を後ろに下げるようにして、半身に構える。


 対する(あらた)は巨大な棍棒を振り上げて上段に構えた。全力で振り下ろして相手を叩き潰す、ただそれだけだ。


「始めっ!」


 大盾を前面に押し出すようにして、ジリッジリッと近寄ってくる騎士。


 こちらが大盾に棍棒を叩きつけて吹き飛ばしにかかれば、右足を大きく踏み出しつつ、剣で小手を狙ってくるだろう。


 見え見えの手だ。そんなことは(あらた)にだって考えなくても分かる。


 対抗する手はいくつもある。例えば上から振り下ろすと見せかけて右から左に大盾を吹き飛ばす。そうすれば相手は自分の大盾が邪魔になって、剣が振れなくなる。そしてその隙にもう一発、ぶち込めばいい。


 他にも、逆に左から右に大盾を吹き飛ばす手もある。そうすれば相手は体のバランスを取るために右から踏み込むしかなくなり、体勢が崩れてまともに剣が振れなくなるはずだ。


 だけど(あらた)は、そのどちらも選ばない。最初に決めた通り、上から下へ、ただ全力で振り下ろすのみ。



 巨大棍棒が振り下ろされると同時に目の前に火花が飛び散った。


 ズガーンッ!


 少し遅れて轟音が鳴り響く。


 巨大棍棒の衝撃で周囲に砂ぼこりが舞った。


 騎士が握っていた片手半のブロードソードが、握っていた腕ごとボトッと地面に落ちる。


 闘技場に立っているのは、しっかりとプレートで固められた両足だけ。大盾どころか騎士の頭も、体も、どこにも見当たらない。完全に跡形もなく消し飛んでしまっていた。


 この三回目の決闘で、(あらた)のレベルが三つ上がって二十五に、音羽(おとは)たち三人のレベルは五つ上がって五十七になっている。


 残る決闘は十二回。ただしもう襲撃者たちの中には、そこまでレベルの高い戦士は残っていない。


 次の対戦者たちが控えている場所に顔を向けると、彼らがピクッと震えて硬直したのがわかった。



「おい、もういいだろ? そいつらザコは許してやれよ」

「え? もちろんイヤだけど?」


 (あらた)たちに声をかけてきたのは、次の対戦者たちじゃなくて、『筋肉(マッスル)ダイナマイツ』の部長だった。鑑定してみると、三次職である大戦士に転職済みの模様。


 その横で苦虫をかみつぶしたような顔で座っている女性、それが副部長のようだ。副部長の職業は踊り子、レベル七十とかなりの強さといえる。


 どっちもクラブ『筋肉(マッスル)ダイナマイツ』の重要人物ではあるけれど、拠点襲撃には参加してないことは、鑑定で最初から分かってる。


 この決闘は所属クラブとは直接関係ない。ただ『たかはし』の拠点を襲撃したかどうか、それを決めるためだけの個人的な決闘なのだ。


 許すとか許さないとか、そんなことは、襲撃に参加したかどうか、それが決まってからの事なんだよね。



 これってどうするのが正解だろう?


 (あらた)はチラっと決闘の立会人の方に視線を向けた。


「ふむ、そうだな。気に入らないのならば決闘を申し込むのが筋ではないかな?」


 軽い感じで新しい決闘を提案してくる立会人さん。


 うん、やっぱりそうなるよね!



――――――――――



若草(わかくさ)(あらた) 上級見習い二十二→二十五

 装備: 全身鎧、巨大棍棒、聖者の瞳


鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 拳闘士五十二→五十七

 装備: 簡易防具、頑丈な篭手、頑丈な脛当、棍棒、ビキニアーマー(黄)


坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 巫子五十二→五十七

 装備: 簡易防具、無骨な槍、ビキニアーマー(白)、炎の杖(魔力向上小、炎魔法連射)、魔法のドレス(魔力向上小、炎耐性中)


不知火(しらぬい)都久詩(つくし) 剣豪五十二→五十七

 装備: 簡易防具、無骨な刀、ビキニアーマー(水色)



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