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底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


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132.襲撃

 倒しても倒しても、ワニールは次々と襲い掛かってくる。倒したら倒しただけ新たな敵がやって来て、全く止まることがない。


 倒せばもちろんビー玉を落とすんだけど、それをゆっくり拾っている時間がない。戦いと戦いの合間のわずかな時間に、そこら中に散らばったビー玉を拾い集める。恐らく半分も拾えていないんじゃないだろうか。


 敵を倒す。レベルが上がる。ビー玉を拾う。


 時間切れで魔巌洞(ダンジョン)から排出され、もう一度、すぐさま魔巌洞(ダンジョン)へと突入する。


 そして入り直した後も、やはり途切れなく現れるワニールの大群。



「ふう、吸われるのにも、だいぶ慣れてきたよ」


 もう何度、魔巌洞(ダンジョン)に入り直したのか分からない。


 何度も何度も、繰り返し繰り返し、魔巌洞(ダンジョン)へと突入し続けて、ずっと何かを吸い取られ続けているうちに、(あらた)はその状況にほぼ適応していた。


〈ほほう、少しは気合が維持できるようになったようじゃのう〉


 気合が維持できるようになったというか、今でも気合は恐ろしい勢いで抜けていってるのは間違いない。ただ、気合が抜けていく速度よりも、はるかに素早くたくさん気合を入れられるようになっただけ。


 完全に印象だけの話だし、計ってみたわけでも何でもないけど、気合の全体量の桁が二つか三つぐらい上がった感じだ。



「そろそろ上がりにして、夕ご飯にしませんか?」

「賛成! もうずっと、休憩抜きで戦い続けだもんね」


 ちょうどいい具合に時間になって、魔巌洞(ダンジョン)から強制的に退出させられることになった。魔巌洞(ダンジョン)の中だと気づかなかったけれど、外はもう夕焼け空になっている。


「かなりガッツリ戦ったよね!」

「拾いきれなかったビー玉がもったいなかった、かな」


 ワニールは強いといえば強い敵だったけれど、素早さは低めでパワー重視の戦いやすい敵だった。そんな敵を大量に倒すことができたため、グループメンバーのレベルはかなり上がっている。


 音羽(おとは)都久詩(つくし)木綿花(ゆうか)の戦闘組は三人ともレベル二十からレベル二十四へと、四つもレベルを上げている。クラフター組だって負けてはいない。陽菜(ひな)はレベル十七から二十二、亜紗(あさ)はレベル十五から二十一へと、こちらも大きくレベルを上げていた。



 ただ問題は(あらた)だ。


――若草(わかくさ)(あらた) 職業:上級見習い レベル三


 いつの間にやら職業が、中級見習いから上級見習いに変わっている上に、レベルが二十から三へと、大きく下がってしまっている。


「もしかして三次職?」

「三次職ってレベル八十以上で転職、じゃなかったっけ?」


 転職するには、本来なら学校の奥にある専用施設『中央奥ノ宮』に行く必要がある。そこには行かずに、魔巌洞(ダンジョン)の中で職業が変わっちゃったんだけれど、もう誰もそんなことぐらいでは突っ込まない。


 そもそも中級見習いっていうのも何の見習いなのか分からなかったし、それが上級見習いになったところで何の見習いなのか分かんないのは変わりない。


 強いのか弱いのか、そんなことすら分からない。そもそもそんな職業、図書館で調べても本に載ってないし。



 何にしても今日はちょっと頑張りすぎたっぽい。


 クラブ対抗戦が終わったあたりでは、打ち上げもかねてバーベキューするのもいいかもね、なんて話をしていたんだけど、魔巌洞(ダンジョン)の戦闘に力を入れ過ぎて、そこまでの元気が残ってない。


 特にバーベキューのかなめ、調理師の陽菜(ひな)のスタミナ切れが著しい。彼女の状態を見て、それでもバーベキューを推すほど鬼畜なヤツは、もちろんこのグループにはいなかった。


由樹(ゆき)(みのり)も誘って、食堂に行こうよ」


 木工師の由樹(ゆき)と栽培師の(みのり)、この二人はあれからずっと拠点で洋館の建設に当たっているはず。


 もう空は真っ赤に染まり、日が沈もうとしている時間なんだから、さすがに作業は終わりにして片づけに入っているだろう。



 魔巌洞(ダンジョン)への入退場(ゲート)は学校の中心側に位置している。そこから普通科の学舎や学生食堂、一般寮を越えてさらにその先、学校の端っこのさらに隅っこ。そこに『たかはし』の拠点がある。


 拠点と言ってもまだまだ整備中。まだ骨組みだけの木造洋館が、整備中の広い畑の隅っこに立っている。今はまだそれだけの場所だ。


「あれ? なんだか煙が上がってない?」

「もしかして、待ちきれなくて二人だけでバーベキュー始めちゃったかな?」


「……それにしては煙が多くない? それに真っ黒だし」

「なんだか焦げ臭いよ?」


 うん、やっぱりなんだか様子がおかしい。


「ちょっと急ごうか」

「うん、それがいいよ!」



 拠点に近づくにつれて、焦げ臭い匂いがどんどん強くなってくる。


 早足で小さな林を抜けて拠点に到着した(あらた)たちの前に、眼を疑うような景色が現れた。


「な、なんだ、これ……」

「ひ、酷い……」


 そこには、真新しい木の香りをプンプンさせていたはずの、建築途中で骨組みだった洋館が、真っ黒な消し炭になって崩れ落ちていた。


 周囲の畑も掘り返され、思いっきり荒らされている。


 そして荒らされた畑の中には……


「みんな……ごめん……やられちゃった」

由樹(ゆき)! (みのり)! しっかりしてっ!」


 作業をしていたはずのクラフターの二人が血まみれになって倒れていた。



――――――――――



若草(わかくさ)(あらた) 中級見習い二十→上級見習い三

 装備: 全身鎧、巨大棍棒、聖者の瞳


鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 拳闘士二十→二十四

 装備: 簡易防具、頑丈な篭手、頑丈な脛当、棍棒、ビキニアーマー(黄)


坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 巫子二十→二十四

 装備: 簡易防具、無骨な槍、ビキニアーマー(白)、炎の杖(魔力向上小、炎魔法連射)、魔法のドレス(魔力向上小、炎耐性中)


不知火(しらぬい)都久詩(つくし) 剣豪二十→二十四

 装備: 簡易防具、無骨な刀、ビキニアーマー(水色)


天坂(あまさか)陽菜(ひな) 調理師十七→二十二

紅野(こうの)亜紗(あさ) 裁縫師十五→二十一

白妙(しろたえ)由樹(ゆき) 木工師十五

朝顔(あさがお)(みのり) 栽培師十七



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