表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/170

128.パイプの端

 魔巌洞(ダンジョン)魑魅(ちみ)領域、その第四階層。


 そこに(あらた)たち戦闘組四人と、調理師の陽菜(ひな)、裁縫師の亜紗(あさ)、合わせて六人がやって来ていた。


 この第四階層は真っ暗闇、直径五メートルほどのパイプのような円柱状の洞窟だ。ヘッドランプの明かりが無いと、どっちが上だか下だか、それすらわからない。


「あれ? なんだかうっすらと光ってない?」

「本当、光ってるわね」


 前回は水たまりだった前方が、今は半周廻って上り坂になっている。その上り坂の向こうが、何やら薄っすらと光って見えるのだ。


 周囲の安全を確保した後、ヘッドランプの明かりを消してもう一度前方を確認してみる。


 間違いない。やっぱり薄っすら光ってる。


「もしかしたらゴールかもしれないですね」

「早く行ってみようよ!」


 何匹かたむろしている妖獣ワニーを片付けながら、六人は道を急ぐ。そして上り坂を越えると、前方に円形をした光、明らかに洞窟の出口が見えた。


「……出口だ」

「やっとパイプの端っこに到着ね」



 パイプ洞窟の出口近くまで行ってみる。


 魔巌洞(ダンジョン)の中だというのに、そこから見えるのはなぜか青い空、広い湖、そして数メートル下には地面。


「飛び降りてみようか」

「ええ、行ってみましょう」


 (あらた)を先頭にして、音羽(おとは)、そして都久詩(つくし)が相次いで地面へと飛び降りる。


 振り返って見上げると、空中に大きくて長い土管が浮かんでいた。向こう側の端は遠すぎて、どうなっているのかよく見えない。


「あんなところを通って来たんだね」

「道理で時間がかかるはずだよ」


 木綿花(ゆうか)陽菜(ひな)亜紗(あさ)にもこちら側に降りてくるように促す。



 全員揃ったところでもう一度、周囲を見回してみる。どうやらここは大きな湖の岸辺にあたるらしい。目の前の湖は静かに透きとおって見える。だけどおそらく、妖獣や何かの危険が潜んでいるだろう。


 空は真っ青で雲ひとつ見えない。本当の空ではないんだろうけど、ちゃんと太陽まである。でもおそらく魔巌洞(ダンジョン)が見せる幻だ。


 そう、ここは外に見えて外じゃない。間違いなく魔巌洞(ダンジョン)の中なのだ。あの太陽だって、実は妖獣で襲い掛かってくる、そんなことがあっても不思議じゃない。


「どういう構造になってんだろうね」

「特別講習の時の草原とか森とかと同じだけど、謎だね」


 考えちゃ駄目な気がする。でも魔巌洞(ダンジョン)は幻覚で騙してくるから、ちゃんと考えないと駄目な気もする。



 空の彼方から土管が伸びてきていることを除けば、いま立っている地面は特に変わったところは見受けられない。周囲を大きな湖に囲まれた、一辺の長さが百メートル足らずのごく普通の小さな島だ。


「周りが全部湖なんですが……」

「うん」


「湖を越えていかないと進めないんですが……」

「うん」


 島の周りを取り囲んでいるのは、特に何の変哲も無さそうな普通の湖だ。聖者の瞳で鑑定しても、特別な危険は見当たらない。


 恐らく妖獣ワニーや怪魚、下手したら恐竜のようなヤツが潜んでいるだろうことは間違いない。だけど表面上は平和にひっそりとたたずんでいる。


「この湖、泳いでいくのかな?」

「中に水着を着こんでいますから、泳げなくはないですね」


 たしかに女子勢は全員、制服の下にビキニアーマーを着ているはず。つまり制服を脱いでビキニになってしまえば水の中でもそこそこ動き回れるってことになる。


 (あらた)は海パンなんて持ってないし、ただのパンイチになる必要があるけれど。


 それだけじゃない。泳ぎながら戦えるかっていう問題がある。


 木綿花(ゆうか)の槍、それに都久詩(つくし)の日本刀はもしかしたら何とかなるかもしれない。だけど(あらた)の巨大棍棒は水中では振り回せないし、音羽(おとは)なんか素手だ。まともに戦えるはずがない。



「もしかしたら、湖の上を歩けるのかも!」


 ばっしゃーん!


 都久詩(つくし)が飛び込んで水浸しになった。チャレンジ精神は認めるけど、もうちょっと考えてから行動しようね。


由樹(ゆき)に船を作って貰えば……」


 確かに。木工師の由樹(ゆき)なら船ぐらい簡単に作ってくれるはずだ。妖獣やら魔物やらに襲われた時に大丈夫か、と言う話はあるけれど、とりあえず候補に入れておこう。


「もしかしたら、この土管の上を歩いて……」


 数メートル上に浮いているパイプ洞窟の出口を見上げる。そこには何やらモゾモゾと動く影、そして暗がりに光る双眸……。


「わ、ワニーだ! ワニーがいる!」


 声を上げるのとほぼ同時に、妖獣ワニーが数匹、空中に浮いた洞窟出口から躍りかかって来る。


 もちろん音羽(おとは)都久詩(つくし)の手によって、簡単に退治された。早めに気づいたから良かったものの、そうじゃなかったら大怪我をしていたかもしれない。



「全く油断も隙もならないね」


 妖獣ワニーが残したビー玉を拾う。


「他に何か、この島から抜け出す方法ってないんでしょうか」

「方法ねえ、あればいいんだけど……」


 もう一度、湖を鑑定してみる。特に何ということはない、ぐるり三百六十度、どっちを見ても普通の湖だ。


 あとは空中を浮いてる土管。結構太いのでその上を歩けなくはないだろう。回転しているのは確かだけど、それほど危険ということはない。


 う~ん、他には何かないかな……。


 やっぱり船を持ち込むべきなのか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ