表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

120/148

119.正式なクラブへ

 (あらた)たちの毎日は、少しづつ落ち着きを見せ始めていた。


 魔巌洞(ダンジョン)の攻略も、やっぱり少しづつだけど確実に、(とどこお)りなく進んでいる。クラブの拠点建設はまだまだだけど、それでも日々、ただの荒れ地だった場所が形を整えつつある。


 思えば入学初日からいきなり、魔巌洞(ダンジョン)十人以上の行方不明者が出たり、訳の分からない魑魅(ちみ)領域なんてところに迷い込んだり。上級生から因縁をつけられて決闘騒ぎになったり、特別講習に送り込まれたり。


 この学校、真神原塾社に慣れるのにはとっても役に立ったけど、せわしなさすぎたんだよ。それも、とんでもなく。



「みんな、聞いて~! 『たかはし』がクラブとして正式に学校に受理されたよ~!」


 杭打ち作業の手を止めて、陽菜(ひな)の声がした方に顔を向ける。彼女は一枚の紙きれをヒラヒラ振りながら、こちらに向かって駆けてきた。


「この場所も正式に『たかはし』の拠点になったよ!」

「やったね!」


「そうか、もう五月だもんね」

「やっとクラブ解禁かぁ」


 みんなもそれぞれの作業の手を止めて、陽菜(ひな)の所に集まってくる。その手にした紙には、確かに『許可』と書かれた大きな赤いハンコが押してある。



クラブ名称: たかはし

部長: 若草(わかくさ)(あらた)(一年辰組)

副部長: 天坂(あまさか)陽菜(ひな)(三年未組)、坂江(さかえ)木綿花(ゆうか)(一年辰組)



「えええ? 僕が部長なの? いつの間にそんなことが!」

「なに? 今頃になってソコなの?」


 そんなことを話し合った覚えはなかったんだけど、みんなの中ではそういうことになっていたらしい。


 そう言えば、どうせ意見しても通らないからと思って、全部任せてたような。そんな覚えがあるような、無いような。


 なんにしろ、これで『たかはし』も正式クラブになったってわけだ。うん、おめでたいね。


「というわけで、クラブ対抗戦のメンバーを五人、決めなきゃいけないんだけど!」


 え? クラブ対抗戦? それってなに?


 そんな話、今まで聞いたことないんだけど?



「もう、(あらた)って、なにも話を聞いてなかったでしょ!」

「あ、はい……、ごめんなさい」


「それじゃ、もしかしたらクラブ解禁日のことも知らなかったのかな?」

「……恥ずかしながら」


 (あらた)はちっとも覚えていなかったけれど、新一年生は五月の解禁日までクラブに参加できないルールがあるらしい。その解禁日が今日だった模様。


 それで、その解禁日とクラブ対抗戦って、何の関係があるんだろうか。


「これから一年生たちがクラブを作ることになるでしょ? だから新しいクラブがいっぱい生まれてくるのよ」

「なるほど。でも何で戦う必要が……」


「学校の予算には限りがあるじゃないの。戦って上位に入ったクラブだけ予算を貰えるってこと。それを決めるのがクラブ対抗戦だよ!」

「あの……もしかしてこの拠点も……」


「うん、そうだね。戦って負けたら、他のクラブのモノになるかもね! だから対抗戦で頑張らないとね」


 な、なんと! 奪われてしまうこともあるなんて!


 これは何としても死守しなければなるまい!



 クラブのランクはその強さによって、甲、乙、丙、丁の四つに分かれている。別に難しく考えなくてもいい。上位ランクのクラブは強くて、下に行くほど弱いってだけのこと。


 新設されたクラブは全部一番下、丁種にランクされている。この丙種の中で予選をして、勝ち上がったクラブが丙種と戦う。さらに勝ち上がれたら乙種、甲種と戦う。そうやってランキングを駆けあがるのだ。


武士(たけし)、お前の言いたいことは分かった。つまり、全部勝てばいいってことだね!」

(あらた)、お前はアホか!」


 え? 何か違ってた?


「俺が言ってるのは、どのあたりのランクを狙うかってこった」

「そりゃ一番上じゃないの?」


 戦う以上、普通なら狙うのは一番上、優勝だよね?


「もうちょっと真面目に考えろよ。下手にランクが上に上がりすぎたら、他のクラブから嫉妬されたり、狙われたりするだろうが」


 ああ、そういう政治的な奴ね。それなら理解できなくはない。


「そっち系を気にするんなら、中堅(乙種)の一番下か、下位(丙種)の一番上あたりを狙うのがいいかもね」

「おお、(あらた)のくせに理解が早いじゃないか。最低でも新設(丁種)は抜け出ないと駄目だぞ」


 一応、学校からは全てのクラブが認可される。だけどすべてのクラブが平等ってワケじゃない。クラブ予算だってランクによって全然違うし、クラブ同士で力づくでの奪い合いも、かなり頻繁に発生するらしい。


 そしてこの学校は、自治というよりもただの放任なんだけど、生徒同士の揉め事にはほぼ口出ししてこない。争いごとは全て暴力で、つまり生徒同士の決闘で解決していくことになるのだ。


 簡単に言うと、クラブのランクが低すぎれば舐められるし、高すぎれば嫌がらせやチョッカイをかけられる。


 何にしても、クラブ対抗戦で『あいつらはヤバい』と見せつける必要があるってこと。


「だからって、やりすぎるんじゃないぞ?」

「何言ってるんだよ、武士(たけし)。僕みたいな温厚な人間が、やりすぎたりするわけないじゃないか」


 やりすぎどころかその反対、途中でやる気を失って手を抜きすぎるんじゃないか。自分ではそっちの方が心配なくらいだよ……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ