表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底なしダンジョン学園にようこそ! なんて言われても困るんだけど(仮)  作者: 大沙かんな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/142

116.勘違いというか

 (あらた)武士(たけし)たちと同じ一年辰組の男子生徒、青雲(あおぐも)志郎(しろう)は、今日も朝から授業を休んで魔巌洞(ダンジョン)攻略に精を出していた。


 一年生のこの時期で、志郎(しろう)はすでに第三階層まで到達し、そこでしっかりとレベル六まで上げていた。仲間の女子たちの育成も順調で、この週末には彼女たちもレベル三になっている。


 一人授業を休んで先行して、週末に仲間のレベルを上げる。完全に作戦勝ち、知能の勝利だ。そう自画自賛していたとしても不思議じゃない。


 授業を全休している分、女子たちとのコミュニケーションが不足して、ラブラブ度はあんまり上がっていない気がしないでもない。でもそんなのは些細なこと。志郎(しろう)さえ強くなれば、おのずとラブラブ度は上がってくるはず。


 なんといってもここは真神原塾社。命がけの魔巌洞(ダンジョン)探索を基本とする弱肉強食の世界なのだから。



 早朝の魔巌洞(ダンジョン)攻略を終わり、朝食休憩を取ってからもう一度魔巌洞(ダンジョン)に戻る。その時、志郎(しろう)の眼に見たくもない人物の姿が映った。


 若草(わかくさ)(あらた)


 そして彼に従う音羽(おとは)木綿花(ゆうか)、そしてもう一人の女子生徒。


 音羽(おとは)、そして木綿花(ゆうか)は、本当だったら志郎(しろう)のものになるはずだった女子生徒だ。それをあの(あらた)が無理やり、それも詐欺のような卑怯な方法で奪い取り、まるで我が物のように扱っているのだ。


「姑息な野郎め」


 志郎(しろう)の強さはおそらくすでに(あらた)を追い抜いているだろう。しかし焦りは禁物。確実に勝てる、それも圧倒的な力でねじ伏せられるだけの力を身につける。今はそれが一番大切だ。


 鬼畜の(あらた)の後に続いて、可憐な音羽(おとは)木綿花(ゆうか)、さらにもう一人の女子生徒が魔巌洞(ダンジョン)の入場(ゲート)の中に消えていく。



 志郎(しろう)は頭が沸騰しそうになるほどの怒りを覚えながら、一つ大切なことに気づいた。


 待てよ、今は授業時間のはずだ。なぜあいつが魔巌洞(ダンジョン)にいる?


 そのことである。


 それはすなわち、あの鬼畜野郎もまた、授業を休んでレベルを上げることを選んだということ。


 このままでいいのか? いや、絶対に良くない。


「くそっ、階層を上げるか」


 さらにレベル上げの効率を上げ、あの鬼畜野郎を引き離すには、それしかない。


 志郎(しろう)は覚悟を決めるようにその眼鏡をクイッと上げて、入場(ゲート)へと進んでいった。



 ~~~~~



「授業を休んで自分たちだけで魔巌洞(ダンジョン)なんて、初めてよね。何だか新鮮だわ」

「このままずっと、授業休みでもいいよね!」


 音羽(おとは)都久詩(つくし)が朝っぱらから能天気なことを言っている。


 正確に言えば特別講習、あの時には正規の授業を休んで魔巌洞(ダンジョン)へと挑んでいた。でもあれはあれ。学校側からの指定による特別な授業だったわけで、今みたいに自分たちだけで決めたことじゃなかった。


 今、(あらた)たちが挑んでいるのは魑魅(ちみ)領域の第四階層。回転するパイプのような構造で、巨大な水たまりが動き回るという特殊領域だ。


 パイプの中を前後に動き回る水を避けるためには、どうしても魔巌洞(ダンジョン)攻略の時間を調整する必要がある。そしてそのためには授業を休まなければならないのだ。


「それじゃ行くぞ。準備はいいよね?」

「もちろんだよ!」


 魔巌洞(ダンジョン)への入場(ゲート)をくぐる。その先は真っ暗闇の第四階層、直径五メートルほどの円形洞窟だ。



「敵は?」

「後ろから四匹、妖獣ワニーよ」


 すぐに音羽(おとは)が走り出し、都久詩(つくし)が素早くそれに続く。


 今となっては妖獣ワニーが四匹程度なら、まず問題になることはない。だけど気を抜かないように、周囲への警戒も怠らないように。異変があったらすぐに飛び出せるように、その心構えだけは忘れてはいけない。


 舐めてかかると何が起こるか分からないからね。戦闘力なら申し分ないはずの朝霞(あさか)姉妹が、序盤も序盤の第零階層で遭難した事故だってあったばかりなのだ。


 しっかり警戒する中、何事もなかったように妖獣ワニーは砂になって魔巌洞(ダンジョン)の中に消えていく。


「楽勝だね!」

「いや、待って」


 確かに楽勝だった。でもなぜか違和感が消えない。


 なんだろうこれ。以前にもあったような気がする、でも思い出せない。


 都久詩(つくし)か? いや、違う。彼女じゃない。


 ふと木綿花(ゆうか)の方に振り返る。そこには強い違和感。



「そこだっ!」


 (あらた)は思いっきり手を伸ばして、その違和感の元をわしづかみにした


「きゃあぁっ! 何するんですかっ! もう、いきなり女の子の胸元に手を突っ込むなんて!」


「そうよ、いきなり乱暴はダメよ。触りたいなら、言ってくれればいくらでもって言ってあるでしょ?」


 そんな音羽(おとは)にも違和感が強い。


「そこにもっ!」


 今度は左腕を音羽(おとは)に向かって思いっきり伸ばした。


「何するのよ、変態っ!」


 音羽(おとは)はその手を軽く払いのける。


(あらた)、突然どうしちゃったのよ」


 いや、ちょっと待って、そうじゃないんだ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ