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10.ボスドロップ

 (あらた)の目の前で、都久詩(つくし)が土下座していた。二人の間には宝箱から出た鮮やかなスカイブルーのビキニアーマー、そしてボスが握っていた日本刀。


 音羽(おとは)はボスからドロップした篭手を抱きかかえながら、左横でニヤニヤ笑っているし、木綿花(ゆうか)は右横でうんうんと何かに頷いている。


「ボク、いえ、わたくし不知火(しらぬい)都久詩(つくし)は、生涯をかけ、乙女の誠のすべてを捧げて主様にお仕えいたします!」

「いやいや、ちょっと待ってて。そんな大した事じゃないってば」


 たかがザコボスのドロップアイテムだよ?


 ちょうど都合よく刀がドロップしただけで、乙女やら純潔やら、すべてを捧げられても困ってしまう。


 あとスカートがめくれてウサギのパンツが見えてるからちゃんと直してほしい。


 助けを求めて音羽(おとは)木綿花(ゆうか)の方を見ても、まったく助けてもらえない。これって立派なハラスメントじゃなかろうか。


「いや、ほんと、そんな大したことじゃないから。他に欲しい人がいないだけだから。ビキニの方はサイズ的に自動的に決まるだけだから……」


「……ボクなんか不要ですか?」

「いや、必要! 必要だからね! そんな泣きそうな顔しないで!」


「ほんと? やったぁ!」


 都久詩(つくし)がニコッと笑った。



「序列は木綿花(ゆうか)、私、その次が都久詩(つくし)で三番目だからね。それだけは守ってね」

「うん、ボク、ちゃんと守るよ!」


「ちょっと待って! いつ序列なんか決まったの!」

「ええっと、今、でしょうか?」


 今って、今? 何も話し合ってないのに、どうやって決まったというんだろうか。


「あんなに人のスカートの中を覗いておいて、いまさら嫌だなんて言わせないわよ?」

「そ、それは確かに悪かったけど……」


「大丈夫ですよ、もしも本気で嫌なら、私たちはちゃんと出ていきますから」


 出ていくって、それはそれで受け入れがたい。ボッチになってしまう。


 まったく良く分からないけれど、しばらくこの『ごっこ遊び』に付き合うしかなさそうだ。


「はあ、面倒だ……って、都久詩(つくし)、ちょっと待って! 何で服を脱ぎ出すの!」

「えっと、このビキニアーマーを着たいから……?」


「そういうのは男の人がいない所でやりなさいっ」

「大丈夫だよ、ボク、胸は小さいし! それに旦那様になら見られても平気だよ!」


「いや、そういうことじゃなくて……」

「そう思うなら、(あらた)が後ろを向いて見ないようにすれば良くないかしら?」


 何この世界。もうほんと、たすけて。



 音羽(おとは)木綿花(ゆうか)の二人は、実は昨日のうちに話し合いを済ませている。


 最初に組んだ三人だって、最期まで二人のことを守ろうとしてくれたし、悪くは無かった。でももしも生き残っていたとしても、彼らを選ぶことは無かっただろう。


 それぐらい(あらた)は圧倒的だ。何といっても強い。


 生死をかけた毎日が続くこんな学校で、強さというのは何にも増して重要な要素になる。だって死んだらそれまでなんだから。


 見た目は最高とは言えないけれど充分に許容範囲だし、強いからと言って暴力で無理強いしたりしない。


 そんな(あらた)を初日に見つけて仲間になれたのだから、しっかり掴んで手放さないようにすることには何の不思議もない。


 (あらた)よりも優れた相手はいるだろう。でもそんな相手を見つけられるかどうか、そして捕まえられるかと問われるとかなり疑問。そもそも見つけるまで生きていられるのかどうか。そっちの方が問題なのだから。



 ボスの間を抜けると下り階段があった。


「ここを降りると第一階層、でしょうか」

「そんな感じね」


 緊張した面持ちで降りていく(あらた)たち三人。その後ろをニコニコ笑いながら追いかける都久詩(つくし)


「ほら、ゴブリンが来るわ。気を抜かずに行くわよ」

「はーい!」


 返事を聞いても、やっぱり気が抜けている予感。


 そんな都久詩(つくし)がトコトコと前に出る。


 すぱぁんっ!


「え?」

「何ですか、今のは! 居合ですか?」


「はい! 日本刀って大好き! ラブラブだよ~」


 ちょっとこの娘、怖くない?


 刀を渡したのは失敗だったんじゃなかろうか。なんだかとんでもない化け物を起こしてしまったような気がするぞ。



 第一階層では天井に卵がへばりついている様子がない。それよりもゴブリンは数匹でグループを組んでさまよい歩いていることが多い模様だ。


 すぱぁんっ! すぱぁんっ!


 そして(あらた)には、ほとんど敵が回って来ない。その前に都久詩(つくし)に首をはねられてしまうからだ。


 (あらた)でもそんな状態だから、音羽(おとは)の分なんて全然いない。木綿花(ゆうか)なんて動こうとする前にすべてが終わっている、そんな状態だ。


「楽でいいけど、他の人にも敵を譲ろうね」

「はーい、でもあとちょっとだけ!」


 日本刀を手に入れたことが嬉しすぎるのだろう。完全に首狩り族になっておられる。


――不知火(しらぬい)都久詩(つくし) 見習い剣士(ノービス)

 装備: 簡易防具、無骨な刀、ビキニアーマー(水色)


 いくら早くビキニアーマーを身に着けたかったとしても、突然制服を脱ぎ出したのには困ってしまった。でもそれはまあ良いとしよう。


 ボスゴブリンで他の三人が上がったのは一レベルだけ。都久詩(つくし)だけが大幅レベルアップした。これもまあ良い。元々のレベルが低かっただけだ。


 でも、見習い剣士(ノービス)、これは何なのだろう? 最初は確かに初心者(ノービス)だったはず。


 この魔巌洞(ダンジョン)というヤツは、全く意味が分からない。先生の説明だって合っているのか違うのか。違うのは自分たちだけなのか。


 その答えがわかる時、それが遠くないことを願うしかない。



――――――――――



若草(わかくさ)(あらた) 見習い《ノービス》十四

 装備: 簡易防具、巨大棍棒、聖者の瞳


鳴神(なるかみ)音羽(おとは) 初心者(ノービス)十三

 装備: 簡易防具、頑丈な篭手、棍棒、ビキニアーマー(黄)


坂江(さかえ)木綿花(ゆうか) 初心者(ノービス)十三

 装備: 簡易防具、棍棒、ビキニアーマー(白)


不知火(しらぬい)都久詩(つくし) 見習い剣士(ノービス)

 装備: 簡易防具、無骨な刀、ビキニアーマー(水色)



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