49話 出撃
レヴィリオン大陸 ライトガーデン
連盟軍駐屯地 管制室
先の通信を受け、男が一人。
<連盟軍兵>
「なんだ、こっちにいるのか神はよ」
<アンドロイド補佐>
「エーヤ殿、王から通信です」
<ルガル・ギ・メスフィア>
「エーヤ、話は聞いてるよな」
<連盟軍兵>
「ああ、またお前と共に戦えるとはな。気持ちが昂って仕方ねえぜ」
<ルガル・ギ・メスフィア>
「そう早るな。共に戦うのは氷の神以来か。久しく開いたな」
<連盟軍兵>
「そうか?俺は昨日の事のように思えるぜ。大丈夫かルガル?やる事が多いのは結構だが、息抜きも必要だぜ、この戦いが終わったら飯でも作ってやる」
<ルガル・ギ・メスフィア>
「お前が作れるのはドラゴンの丸焼きくらいなものだろうに」
<連盟軍兵>
「あれから頑張ったんだぜ、今なら魚も綺麗に焼ける」
<二人>
「アッハッハッハッハッハッハッハ」」
管制室を揺らすほどの二人の笑い声。
軍服を肩にかけ、銀色に光る肌、露出した筋骨隆々の肉体には幾何学模様の黄色い刺青が入っている。頭には牛のような角が生えている磊々落々を体現したような男がいた。
連盟軍 一番隊隊長
Sランク魔術師 エーヤ
<ルガル・ギ・メスフィア>
「所でだな」
<エーヤ>
「わあってるよ。神さんとやる前にこっちに来るんだろ?既に準備はしてる。大船に乗った気持ちで来い!」
王都アイシール 第四層 ビュイージ
連盟軍ラウンジ
紅茶を片手にテーブル上のパズルを眺める美女。
真剣な眼差しと冷徹な笑みが浮ばせている彼女をラウンジの柱からのぞいている少女が一人。
<少女>
「る、るのちゃん?」
連盟軍 九十三番隊隊長
Sランク魔術師 ハナセ
<美女>
「あらハナセじゃないの?どうかしたかしら?」
連盟軍 百六十一番隊隊長
Sランク魔術師 篝 瑠乃
<ハナセ>
「さっき、のやつ、みみた?」
<篝 瑠乃>
「ええ、さっき奈々見から連絡が来たわ。一緒に行かないかって。もしかしてあなたもお誘いかしら?」
<ハナセ>
「ち、違う、残るかなって、他のみんな行っちゃった、し」
<篝 瑠乃>
「そう、なら私と同じね。私もここに残る事にしたわ。数学パズルを解いてる途中だったし。貴方も暇なら一緒にどうかしら?」
<ハナセ>
「え、いいの?」
<篝 瑠乃>
「貴方もいつまでもそこにいないでこっちに来なさい。今お茶を淹れるから」
篝が呼びかけると、ハナセは柱からひょいと体を出して彼女の元に駆け寄った。
<ハナセ>
「だ、だったらこのお茶っ葉で、淹れて、みみて
わたし、が、調合したか、ら」
<篝 瑠乃>
「貴方の手作りなら問題ないわね。クッキーは残ってたかしら」
第二層 アーキー 工場長室内
iDeasから表示された王命をじっくり読むヨーシュ。
ケインはもう読み終わったのかコーヒーを啜りながら彼女を横目に見ている。
<ヨーシュ>
「ケインさんは行かないんですか?」
<ルリブル・ケイン>
「俺はここの守護を任されている。紙を置いて離れる訳にはいかない」
<ヨーシュ>
「あら真面目さんなのですね〜パンでも食べませんか、焼きますよ」
<ルリブル・ケイン>
「ありがたく頂戴しよう」
第四層 ビュイージ レストラン丸井
新鮮な海鮮が楽しめる店で大勢の客で賑わっている。その中にテーブルを囲む連盟軍兵が三人。
<オルフェイ・ヤーゴ>
「お」
<ジニス・ジーニアス>
「どうしたん?オル?」
<オルフェイ・ヤーゴ>
「隊長と副隊長は行くって。水系魔術師として見逃せないんだと。後を頼むってさ。お前はどうするんだよ、ジニス」
<ジニス・ジーニアス>
「俺かい?俺は演技してる方が楽しいし?俺っちは俺っちなりに忙しいのさ〜」
<店員>
「お待たせしました」
<ジニス・ジーニアス>
「来た来たた来た!早く食べようぜ!」
<シャトレ>
「ああ!」
第六層 王宮フィキット
<ミミナ・ギ・アキサユース>
「パレはどうするの?」
<パレ・リブッカー>
「今までの任務が長かったので、暇をもらおうかと総司令は行かれるのですか?」
<ミミナ・ギ・アキサユース>
「ううん、今回もお留守番かな。神を殺しに行く時は毎回ユキと王さまって決まってるんだ〜」
リブッカーはアキサユースの声がさっきよりも乾いているように感じた。
<ミミナ・ギ・アキサユース>
「私も本当は行きたいんだけど、アイシール守んなきゃだし、それに……」
<パレ・リブッカー>
「それに?」
<ミミナ・ギ・アキサユース>
「ユキは自分が神を殺す姿を私に見せたくないんだと思うんだ」
アキサユースに担がれるシリウスは未だ目覚めていない。
<ルガル・ギ・メスフィア>
「ホロノア出るぞ」
<ユキユキシカ・ホロノア>
「畏まりました王よ」
<ルガル・ギ・メスフィア>
「神の時代は余が終わらせてやる」
魔王大陸 魔王城 玉座
<魔王>
「奴らは、到着した所だろうか。ふあああ、しかし、あいつらがいねえと退屈だなぁ」
<女>
「魔王様、お許しを……」
エルフの女が磔専用の柱に拘束されている。
<魔王>
「はあふあああああ、眠っ」
そう言った直後、真っ二つになる女。
伸縮した左腕を戻し、血まみれの腕で頭を掻いている。
<魔王>
「女もあらかた抱いたし」
床には幾人もの裸の女が重なるように横たわっていた。
<魔王>
「部下もいろんな方法で殺したけど」
肉塊と化した生物の残骸がそこら中に散らばっている。
<魔王>
「もうつまんねえなああああああああああああああああ!」
彼の声は全生物の中で誰よりも喧しく、一度聴いてしまえば気が狂い、耐性のない者は脳髄を噴き出してしまう。
その声は大陸中に響くが故に彼が癇癪を起こした日には多くの死体の山が築かれるという。
癇癪が落ち着いたのか、城の窓を開ける魔王。
<魔王>
「ついに、か」
海を眺めて郷愁に浸るような素振りをしている彼の目には涙が浮かんでいる。
<魔王>
「お前を囮にしてすまなかった。だが、お前の命に代えて必ず成し遂げよう。俺達の世界を」
そう言い残し、海に背を向けて玉座へと戻っていく合間に彼は呟いた。
<魔王>
「なあ、我が同胞よ」
次回は7/22になります!




