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48話 狼煙

<シリウス>

「あいつが、ファリアが”元魔法使い”というのはどういう事なんですか?」


<ルガル・ギ・メスフィア>

「…………」


先程までの苛烈な言葉とは一転、王は突然黙り込んだ。

その間数十秒。

異様な空気に誰もが話しかける事ができない。


<秘書>

「……王よ」


<ルガル>

「おっと。余としたことが少し瞑想に更けていた」


王は人差し指で自らの頭を小突いた後、僕に目を向けた


<ルガル>

「貴様のその質問だが、今は詳しくは答えぬ。が奴には”欠陥”がある、とだけ言っておこう」


欠陥?

魔法使いの力が無いって意味だと思うけど……

何かあいつに足らないものなんてあるのか?


<ルガル>

「これで終いだ。ひとまずは牢に連れて行け、奴の処遇は後で考える」


やっぱり捕まるの!?

処遇は考えるって言ってるけど絶対碌なことにならない!

どうしよう…どうする!


<ルガル>

「パレ・リブッカー。後の事は任せる」


<パレ・リブッカー>

「承知致しました」


あいつがこっちに近づいてくる。

まずい、まずい!

とりあえずこの拘束だけでも!


<シリウス>

「ぐっううううううううう」


<パレ・リブッカー>

「解くのは無理だと知ってるだろう」


ボタンを押されると、力が急速に抜けていく。

諦めるな、諦めるな!力を入れ続けろ!


<シリウス>

「ぐっああああああああああああああああ」


そうだ!変身できればその反動で!


<シリウス>

「Mind!On!」


思いっきり叫ぶと呼応するように

ソウルウォッチャーが起動した。

膨張する体。光と共に力がみなぎってくる。

変身に耐えられず拘束具は粉々に砕け散った。


<パレ・リブッカー>

「なに!」


刀がすぐ目の前に来ている。

すぐに赤い姿にならないと!


「Identi——」


その瞬間、パチンと指の音が聞こえた。

その時には既に雷が僕とソウルウォッチャーを貫通していた。

そこで僕の意識は途絶えた。







いつのまにかあいつは倒れていた。

目の前には指を鳴らしたであろう王がいる。

私の刀は空振りのまま力の行き先が行方不明になっていた。

そのまま納刀し、心を落ち着かせる。

今のは我が王の力だよな……


<シリウス>

「…….」


<ルガル>

「フットの拘束を抜けるとはな。アキサユース」


<階段に座る女>

「はいはーい」


軽い!あまりにも返事が軽すぎる!

王の御前でこの態度とは。

るんるんにこっちに来られて拘束具を着けている。

総隊長のこんな姿は初めて見た。


     連盟軍総隊長 戦乙女

   魔法使い ミミナ・ギ・アキサユース


<ミミナ・ギ・アキサユース>

「これで大丈夫!さっきのよりも丈夫なやつだから、パレ?どうかした?」


<パレ・リブッカー>

「いえ、なんでも」


<ミミナ>

「わたしパレと一緒に行くね!」


<ルガル>

「ああ、頼む」


<秘書>

「気をつけて」


<ミミナ>

「分かってるよ〜よいしょっと!」


総隊長はあいつを肩に担いで私の手を引いてきた。


<ミミナ>

「こっちきて!」


手を引かれるがまま扉の前に立つ。


<ミミナ>

「じゃ、後でね〜!」


総隊長が手を振りながら言うと、一瞬にして目の前が真っ暗になった。


<ルガル>

「ホロノア、奴に甘くはないか」


<秘書>

「そうですか?」


     魔術連盟事務総長 白夜姫

   魔法使い ユキユキシカ・ホロノア



<パレ・リブッカー>

「入り口まで来たのか」


<ミミナ>

「そうだよ〜便利でしょ?」


<パレ・リブッカー>

「失礼を承知でお聞きしますが、総司令ってそのような感じでしたっけ?」


<ミミナ>

「そんな感じって?」


<パレ・リブッカー>

「普段はもっと、こう、きっちりされてると、言いますか」


<ミミナ>

「あそっか!うっかりうっかり!パレいたもんね!」


いなかった事にされている。


<ミミナ>

「いつもはちゃんとやってるよ?ユキがいるとこうなっちゃうんだよね〜」


<パレ・リブッカー>

「ユキというのはホロノア様の事ですか?」


<ミミナ>

「そうだよ!昔からそう呼んでるの!なんかパレよそよそしくない?」


<パレ・リブッカー>

「こうやって面と向かって総司令と話すのは初めてでして」


<ミミナ>

「そうだっけ?パレと話すの初めてだったかー

この事はナイショにね?」


<パレ・リブッカー>

「はい」


この事とはチャランポランの所だろうか


<パレ・リブッカー>

「もう一つ質問をしてもよろしいでしょうか?」


<ミミナ>

「なに?なんでも話していいよ!」


<パレ・リブッカー>

「総隊長の名前にギの銘があると思うのですが、ここに来る前に、魔法使いの座?で我が王にも同じ銘があって、もしかして兄弟とか」


<ミミナ>

「兄弟じゃないけど親戚だよ!」


<パレ・リブッカー>

「そうなんですか?」


<ミミナ>

「あれ言ってなかったっけ?ルガルはねわたしの甥なの!」



王宮にて


<ルガル>

「全く、叔母の職務態度には頭を悩まされる」


<ユキユキシカ・ホロノア>

「こほん。王よ、先程連盟軍にて神の反応を探知、捕捉しております」


<ルガル>

「ん、ついにか!場所は!」


<ユキユキシカ・ホロノア>

「ライトガーデンより100キロの海中です」


<ルガル>

「……海の神か」


<ユキユキシカ・ホロノア>

「恐らくは」


<ルガル>

「死の神でないのは残念だが、いずれ奴とは決着をつける事にはなるだろう。回線を開け。王命を伝える」




総隊長と歓談しながらエレベーターの方へと向かう。

エレベーターのボタンに指をかそうになった時、iDeasからピロンと音が鳴った。



<パレ・リブッカー>

「これは、王からの強制通信」


<ルガル>

「連盟軍のAランク以上の隊員並びに隊長に告げる。ライトガーデンより百キロの海上にて海の神と思しきの反応が観測された。

明日十二時より海の神討伐作戦を開始する。それに伴い、お前達には余と戦いを共にする栄誉を与えよう。当番非番問わずこの作戦に参加する者には特別報酬と余の蔵より最上の魔導具を贈呈する。

今日の二十時を持って締め切り、零時より王都を出立する。厳しい戦いになるだろう。だが余の庇護の下であれば必ず勝利を掴む事が出来よう。詳細は追って配信する、各自よく読み考えて欲しい。諸君らの多くの参加に期待する。以上だ」

次回は7/15になります!

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