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36話 第三層

第三層、ガーリウェスト。


雲を突くほど高くそびえる超高層ビルが立ち並ぶ都市。

それらは碁盤の目のように均等に配置され一寸の狂いもないが、ビルの形状は現代芸術さながらの何とも特徴的な姿が多く、見ていて飽きない。


整然としていながらも、ビルの隙間を縫うように空には車がひっきりなしに走っているし、下にいる住民達の往来を見ると、どこか生活の温度を感じる。


<パレ・リブッカー>

「ここは住宅街だ。王都に住んでいる人達の大半はここに住んでいる」


説明を聞きながら窓の外を見ていると――

ドカン、と突如、爆音が空気を切り裂いた。


<パレ・リブッカー>

「何だ!?」


車が急停止する。

周囲の車も一斉に止まり、空気が一気に張り詰める。


<シリウス>

「左側!」


<女性>

「きゃああああ!!」


爆発した車。

そして――空中から落ちてくる女性の人影。


<シリウス>

「椅子が外れない!」


<パレ・リブッカー>

「ここにいろ、私が出る!」


奴が女性に向かって飛び降りた。


<近くにいた運転手>

「斥力魔術使える人は手伝って!」


車に乗っていた人々が一斉に杖を掲げ、落下している人を包み込むように魔術を放った。

彼女の落下速度が徐々に緩やかになっていく。


<シリウス>

「何あれ……蛇?」


直後、地上から伸びた巨大な蛇が空中の人物に巻き付いた。

そのままゆっくりと地面へ降ろしていく。


<連盟軍兵士>

「ふう、怪我はありませんか?」


<女性>

「ありがとうございます……!」


周囲は拍手に包まれる。

緊張が解け、空気が一気に緩む。


<パレ・リブッカー>

「ふう、よかった」


<シリウス>

「よかった……ってこの後どうしよう。僕これ運転できないんだけど 」


<社内アナウンス>

――周囲状況オールグリーン。 自動運転モードに切り替えます――


一足先に地上へ降りていた奴の方へ車が走り出した。


<パレ・リブッカー>

「お疲れ様、見ていたぞ」


そこに立っていたのは一人の男だった。

無駄のない立ち姿。視線は鋭く、しかし冷静に状況を見渡している。


<連盟軍兵士>

「お疲れ様です」


蛇を操っていた男が軽く頭を下げた。


     連盟軍 十一番隊 副隊長 

   Bランク魔術師 ハガ・サヴァータ


<パレ・リブッカー>

「この蛇は?」


<ハガ・サヴァータ>

「あれは僕の呪術で操っている蛇で、サイズや形状を自在に変化させられるんです」


淡々とした説明。

だがその一言一言に積み重ねてきた技量が滲み出ている。


<パレ・リブッカー>

「なるほどな。車の方はどうだった?」


<ハガ・サヴァータ>

「蛇達にも手伝ってもらって軽く調べたんですが……」


彼は一度視線を爆発した車へ向けた。

焼け焦げた車体。

周囲には、まだわずかに煙の匂いが残っていた。


<ハガ・サヴァータ>

「特に爆発物が積まれていた形跡はありません。ルーンショット社製ですし、製品不良の可能性も低いかと」


<パレ・リブッカー>

「運転者は?」


<ハガ・サヴァータ>

「現在、事情聴取中です。爆発箇所の損傷から見て、どちらかというと“内側から”ではなく、“外部からの衝突”に近い形跡でした」


<パレ・リブッカー>

「外部から……」


<ハガ・サヴァータ>

「はい。上から何かが落下してきて、それと衝突して爆発した可能性が高いです」


視線が自然と上へ向く。

高層ビル群。規則正しく並んだ街並み。

そのどこかから、“何か”が落ちてきた。――それだけの話のはずなのに。


胸の奥に、説明のつかない引っかかりが残る。


<パレ・リブッカー>

「建物の老朽化で術式が緩んでいた可能性もあるが」


<ハガ・サヴァータ>

「確かにその線も考えられます。警察とも連携して事件性がないか含めて調べてみます。ただ……」


彼は言葉を詰まらせた。そのほんのわずかな瞬間に空気が張り詰めたような気がした。


<ハガ・サヴァータ>

「モリタミや魔王軍の関与も考えなければならないかもしれません」


<パレ・リブッカー>

「……そうか」


パレリブッカーの表情は変わらない。

だが、その沈黙が重い。


<パレ・リブッカー>

「引き続き頼む」


<ハガ・サヴァータ>

「リブッカー殿もお気をつけて」


<パレ・リブッカー>

「行くぞ」


奴の声で、思考が現実に引き戻される。


<シリウス>

「あ、はい」


車に乗り込みながら、もう一度だけ外を見る。

さっきまで騒然としていた場所は、すでに片付けが進んでいた。人の流れも戻りつつある。まるで、最初から何もなかったかのように。


――でも、本当に何もなかったのだろうか。

車がゆっくりと走り出す。

窓の外には変わらない街の景色。

高層ビル、整った道路、行き交う人々。

日常の景色が広がっているはず、なのに。


さっきの出来事が薄い影を落としているように感じた。

そしてそれは、きっと――自分とも無関係じゃない気がする。


次回は4/22になります!

☆いっしょに!なになに~☆

レヴィリオン世界の車両

地上、空中問わず、車両は魔術で形成された青白い道の上を走行している。

道路には一定間隔で道路発生装置が置かれており、形成された道以外は基本的には走行できない。


レヴィリオン世界にある車両全て(魔王軍・モリタミは除く)がネットワークで繋がっており、車両の速度、車両感覚、ナビゲーションを相互に連携し合う事で事故と渋滞の発生を抑止を実現させた。

万が一、事故が発生した際は周囲の車両が自動的に全て止まる仕様になっており、事故が解決すると再び動かせるようになる。


連盟軍の車両は基本的に形成された道路を走行するが、戦闘行為が発生した時のみ制限が撤廃され、自由に陸・空を走行する事ができる。

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