↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
12章 魔界大戦編~開戦~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

807/821

第12章ー17

 「この話が真実なのであれば、彼にも情状酌量の余地はあるだろう」


 「ッ!? 本当ですか?!」


 思わず身を乗り出し、声を弾ませてしまった。


 情状酌量の余地がある。


 その言葉が、今の自分には何よりも救いだった。


 「確証はないけどね。でも、あの人たちも鬼じゃない。彼の話が真実であれば、ぞんざいに扱ったりはしないだろう」


 リーフさんは、少し困ったように微笑んだ。


 もちろん、ギリスケが本当に祖父の命令で動いていたのか、今の段階では分からない。本人がそう説明しただけで、それが事実だと決まったわけではないのだから。


 それでも、希望がまったくないわけではない。


 そうか……ギリスケが今回の事件の首謀者ではなく、やむを得ず指示に従っていたのだとすれば、少なくとも事情を考慮してもらえる可能性はある。


 無罪になるのは難しいかもしれない。けれど、犯行に至った経緯や、置かれていた家庭環境が考慮されれば、刑が軽くなることだって十分に考えられるはずだ。


 もちろん、そう簡単な話ではないだろう。


 それでも、最悪の結果しか想像できなかった今の自分にとって、その可能性があるというだけで随分と気持ちが楽になった。


 「恐らく、君にも近いうちに事情聴取のため、騎士団へ来るよう連絡があるだろう。その際に、彼と面会することもできるはずだ。これを機会に、きちんと彼と話し合ってみるといい」


 「は、はい!」


 騎士団で事情聴取か。


 どうやら、自分も今回の事件について話を聞かれることになるらしい。


 まあ、ギリスケとは半年以上も同じ学園で過ごしてきたんだ。何か知っていることがあるかもしれないと考えれば、当然のことなのだろう。


 もっとも、自分自身、あいつの隠された能力すら知らなかったのだ。今回の事件について、どれだけ役に立つ話ができるかは分からない。


 それでも――。


 ギリスケ本人と会えるのなら、話は別だ。


 今まで一緒に過ごしてきたなかで、自分が知らなかったことは山ほどあるのかもしれない。あいつがどんな家庭環境で育ってきたのかも、祖父からどんな扱いを受けていたのかも、自分は何一つ知らなかった。


 だからこそ、今度こそ本人の口から聞きたい。


 どうして、こんなことになったのか。


 本当に祖父の命令だったのか。


 そして、あいつ自身は何を思っていたのか。


 聞きたいことなら、いくらでもある。


 「私からの話は以上だ。何か聞きたいことはあるかい?」


 ふと、リーフさんがそう尋ねてきた。


 「……いえ。聞きたいことは、あいつから聞きます」


 自分は小さく首を横に振った。


 本当は、まだまだ疑問が残っている。


 反人類活動《アンヒューマビティ》とは、一体何を企んでいる組織なのか。ギリスケの祖父は、どうして学園に保管されている機密資料を必要としていたのか。そして、あいつは本当に自分の意思に反して従っていたのか。


 考え始めれば、きりがない。


 けれど、今ここでリーフさんに質問を重ねたところで、分からないことも多いだろう。


 それに、自分が本当に知りたいのは、事件の概要だけじゃない。


 ギリスケが何を考え、何を思い、どうしてあんな行動を取ることになったのか。


 それは、本人にしか話せないことだ。


 「ふっ。そうか」


 自分の返答を聞いたリーフさんは、どこか納得したように笑った。


 「忙しいなか、すまなかったね。補習、頑張って」


 「あ、いえ。こちらこそ、ありがとうございました。それじゃあ、失礼します」


 そう言って頭を下げ、自分は理事長室を後にした。


 扉が閉まると、廊下の静けさが戻ってくる。


 つい先ほどまで、リーフさんから聞かされた話が頭の中を駆け巡っていた。


 ギリスケが犯罪に関わっていたこと。


 その背後に、反人類活動《アンヒューマビティ》という組織が関わっていること。


 そして、あいつが祖父の命令に従っていた可能性があること。


 どれも、今までの学園生活からは想像もできなかった話ばかりだ。


 ……本当に、何がどうなっているんだよ。


 心の中でぼやきながらも、自分は足を止めなかった。


 今はまだ、何も分からない。


 けれど、いつまでもここで考え込んでいるわけにもいかない。コールスタッシュ先生とアラガが体育館で待っているはずだし、補習だって残っている。


 まずは、目の前のことを片づけよう。


 ギリスケの件については、騎士団から呼び出しがあったときに、改めて向き合えばいい。


 そう自分に言い聞かせ、自分は体育館へと続く廊下を歩き出した。


 ――あいつと、もう一度ちゃんと話すために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。