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転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
12章 魔界大戦編~開戦~

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第12章ー11

 「え?」


 思わず、間の抜けた声が漏れた。


 「俺を……ですか?」


 「うん」


 リーフさんは、何でもないことのように、にこやかに頷いた。


 いやいや。


 ちょっと待ってほしい。


 騎士団が朝早くから学園へやって来て。


 先生とリーフさんが何やら話をしていて。


 そのうえ今度は、自分を「借りる」?


 一体、何がどうなってるんだ。


 頭の中で情報を整理しようとしてみるものの、どうにも話が繋がらない。


 そもそも、自分に何の用がある?


 魔闘祭なら、もう終わった。


 アラガとの試合についても、決着はついている。


 学園祭だって無事に終わったし、昨日は後夜祭まであった。


 特に問題を起こした覚えもない。


 ……いや。


 思い返してみれば、心当たりがまったくないとは言い切れない。


 魔闘祭では派手に暴れたし、試合中に学園の闘技場を壊しかけたこともある。


 アラガとの戦いでは、先生の制止を振り切って無茶もした。


 もしかしてその件でか? だとしたらアラガも呼ばれるべき対象だから、違うのか?


 「……ハア。人にもの頼んどいて、いきなりどこに持ってくつもりっすか?」


 先生が呆れたように口を挟む。


 「二人だけで話せる所かな。大事な話があるもんでね。すぐに済ませるから、先にアラガ君の方を頼むよ」


 「けっ。ほんっと自分勝手な野郎だな」


 「ははは。ごめんよ。ちゃんと後で礼はするから」


 ……なんだ、この会話。


 まるで自分の意思なんて最初から確認する必要がないみたいに、二人の間で話がどんどん進んでいく。


 いや、まあ。


 先生とリーフさんが昔からこういう関係なのは知っている。


 だからこそ、余計に気になる。


 「大事な話」って何だ?


 自分と二人きりで話さなきゃならないほどのことなのか?


 「……」


 思わずリーフさんの顔を見る。


 いつもと変わらない、穏やかな笑み。


 それが逆に怖い。


 何かを隠しているようにも見えるし、本当に何も気にしていないようにも見える。


 少なくとも、自分にはその笑顔の奥にあるものがまったく読めなかった。


 「……あの」


 「ん?」


 「俺、何かしました?」


 率直に聞いてみる。


 すると、リーフさんは一瞬だけ目を丸くした。


 「どうしてそう思うんだい?」


 「いや、だって……」


 騎士団まで来ていて。


 そのうえ自分だけ呼び出される。


 これで何も考えるなという方が無理だろ。


 「心当たりがないんですけど」


 「そうだね」


 あっさり肯定された。


 ……え?


 「なら、別に怒られるような話じゃないと思ってくれていいよ」


 「……それ、余計に怖いんですけど」


 「ははは」


 笑って誤魔化された。


 やっぱり何かある。


 そう確信したものの、これ以上聞いても今は教えてくれそうにない。


 だったら、大人しくついていくしかないのかもしれない。


 そう考え、二人の会話が終わるのを待とうとした、その時だった。


 「……ちょっと待てよ」


 低い声が、唐突に割り込んできた。


 「ん?」


 リーフさんが振り返る。


 「ッ!? アラガ」


 思わず声が漏れた。


 いつの間にか、アラガがこちらへ視線を向けていた。

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