↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
12章 魔界大戦編~開戦~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

793/829

第12章ー3

 「…………は?」


 一瞬、何を言われたのか理解できなかった。


 いや、言葉自体は分かる。


 「決闘せよ」という意味も、マヒロが本気で言っていることも理解できる。


 でも――。


 「いやいやいや!?」


 思わず声を上げてしまう。


 「なんでそうなるんだよ!?」


 俺が無事だと分かった。


 それなら普通は「よかった」と安心して、それで終わりじゃないのか?


 なのに、どうしてそこから決闘に発展するんだ!?


 「無事であると分かった以上、遠慮する理由はないでござる!」


 「いや、遠慮してくれよ!」


 何だその理屈!?


 心配してくれていたことには感謝する。


 それは本当にありがたい。


 でも、だからといって無事を確認した直後に刀へ手を掛ける奴がいるか!


 ……いたわ。


 目の前に。


 「昨日の試合、拙者は不完全燃焼のまま勝利を手にしたでござる。そのモヤモヤ、今ここで晴らさせてもらおうぞ!」


 「昨日の試合……?」


 その言葉を聞いた瞬間、俺の中で昨日の記憶が少しずつ繋がった。


 魔闘祭。


 準決勝。


 そして――決勝。


 「……あっ」


 そういうことか。


 ようやくマヒロが決闘を求めている理由が分かった。


 昨日の魔闘祭、俺はアラガとの試合で限界を迎え、そのまま医務室へ運ばれた。


 その後、どうやら俺は決勝戦に出場できなかったらしい。


 結果として――俺は不戦敗。


 そして、決勝の相手だったマヒロが優勝した。


 「……もしかして、昨日の決勝のこと?」


 「その通りでござる!」


 マヒロが即答する。


 やっぱりか。


 彼女にとっては、望んでいた勝利じゃなかったんだ。


 自分の力で俺と戦って、その上で勝ちたかった。


 それなのに、俺が倒れてしまったせいで戦うことすらできなかった。


 優勝という結果だけを見れば立派なものだけど――本人からすれば、到底納得できるものじゃないのだろう。


 「だから、その鬱憤を今ここで晴らそうってわけか……」


 「うむ!」


 満面の笑みで頷くマヒロ。


 ……なるほど。


 理由は分かった。


 分かったけど――。


 「いや、それでも駄目だろ」


 「なぜでござるか?」


 「なぜって……」


 俺は周囲を見回す。


 まだ朝早い。


 学園内にはほとんど人がいない。


 とはいえ、ここは寮の近くだ。


 こんな場所で魔法なんか使ったら、建物やら何やらを壊しかねない。


 何より――。


 「俺、起きたばっかりなんだけど?」


 「ならば身体を慣らすところから始めればよいでござる!」


 「いや、そういう問題じゃない!」


 頭痛だってまだ完全には治っていない。


 腹が減っていたところをミオのハンバーガーで救ってもらったばかり。


 そして何より、昨日あれだけの戦いをしたばかりだ。


 身体は動かせる。


 でも、だからといって全力で戦っていい理由にはならない。


 「マヒロ、頼むから今日はやめよう」


 「……」


 マヒロが黙り込む。


 少しは話を聞いてくれたか?


 そう思ったのも束の間――。


 彼女は腰に差した刀へ手を添えた。


 「……ならば」


 「え?」


 ゆっくりと、刀を抜く。


 「いざ尋常に――」


 「ちょっ!? 待てって!」


 話を聞けぇ!


 俺が必死になってマヒロを止めようとしていた――その時だった。


 「おい」


 「……え?」


 背後から、低い声が響いた。


 聞き覚えのある声。


 しかも、明らかに不機嫌そうな声だった。


 俺とマヒロは同時に動きを止める。


 「朝っぱらから何やってんだ。馬鹿野郎ども」


 「……」


 「……」


 恐る恐る振り返る。


 そこに立っていたのは――。


 「コールスタッシュ先生……」


 煙草を咥え、見るからに機嫌の悪そうな顔をした先生が、俺達を睨みつけていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。