表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
11章 魔闘祭編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

741/752

第11章ー82

 『な、なんとなんとなんと―――!!! レールステン選手、先程まで一方的に追い詰められていたにもかかわらず、自爆覚悟で窮地を脱出! さらに己の肉体を炎で強化し、アラガ選手へ怒涛の猛攻を仕掛けています!! これは本当に、勝負の行方が分からなくなってきたぁぁぁぁ!!!』


 『ええ。アラガ選手も序盤ほどの余裕は見られません。レールステン選手が、このまま押し切る可能性も十分ありますね』


 「……」


 レールステンがあの戦法へ切り替えてから、およそ一分。


 未だ決着はついていない。


 実況席はすっかり向こうへ肩入れし始めている。


 そんなことはどうでもいい。


 観客が誰を応援しようが興味はない。


 だが――。


 **俺に余裕がない?**


 その一言だけは癪に障った。


 ふざけるな。


 魔力量も、魔法の精度も、戦闘経験も。


 何一つとして俺が負けている要素はない。


 こんな無茶苦茶な戦い方をしている奴に押されるはずがない。


 ……そう。


 押されてなど、いない。


 それなのに。


 未だ奴を倒せていないという事実だけが、じわじわと胸を苛立たせる。


 何度も拳をかわし、反撃を繰り出す。


 だが、決定打にならない。


 最初はぎこちなかった奴の動きが、時間が経つごとに洗練されていく。


 こちらの間合いにも、攻撃の癖にも慣れ始めている。


 いや、それだけじゃない。


 「……違う」


 反応速度そのものが速くなっている。


 いや、反応だけじゃない。


 踏み込みも。


 切り返しも。


 拳の振りも。


 身体能力そのものが底上げされている。


 そこでようやく気付く。


 「部分魔力強化パージングか……!」


 あいつ、炎属性へ変換した魔力を維持したまま、身体強化まで重ねていやがる。


 道理で動きが変わるわけだ。


 しかも、ただの身体強化じゃない。


 炎属性の魔力が筋肉の収縮をさらに加速させているのか、通常時以上の瞬発力まで引き出している。


 理屈としては成立する。


 ……だからこそ腹が立つ。


 命を削ることまで利用して強くなるなど、正気の戦法じゃない。


 「【火球】!」


 「くっ!」


 さらに厄介なのが、この無詠唱魔法だ。


 ほんの一瞬でも距離が空けば、即座に炎弾が飛んでくる。


 牽制。


 足止め。


 接近の布石。


 使い方に無駄がない。


 そのせいでこちらは魔法を撃つ暇すら与えられない。


 仮に撃てたとしても、発動速度では向こうに分がある。


 魔力変換を終えている利点を、ここまで徹底して使いこなすとは。


 ……気に食わない。


 戦況は有利なまま。


 その認識は変わらない。


 なのに。


 どうしてこうも思い通りにならない。


 時間が経てば勝手に倒れるはずだった。


 魔力も体力も、とっくに限界を迎えているはずだった。


 それなのに。


 あいつはまだ動く。


 まだ拳を振る。


 まだ俺へ向かってくる。


 「……うっざてぇな!!!」


 ついに堪忍袋の緒が切れた。


 もういい。


 多少の被弾など構わない。


 殴られようが焼かれようが知るか。


 次で終わらせる。


 次の一撃で、あいつを沈める。


 俺は拳ではなく、魔法で決着をつけることを選んだ。


 奴が踏み込んできた瞬間、一歩だけ退く。


 拳を誘い込む。


 俺へ届いたその腕を掴み、至近距離から最大火力の氷魔法を叩き込む。


 多少の反動なら部分魔力強化パージングで耐えられる。


 これで終わりだ。


 「はあああっ!!」


 来た。


 予想通り一直線。


 今だ――。


 そう思って後ろへ一歩退いた、その瞬間。


 「……なっ?」


 足裏の感触が消えた。


 踏み込むはずだった地面がない。


 重心が一気に崩れ、身体が大きく傾く。


 馬鹿な。


 何が起きた。


 俺は何を踏んだ――?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ