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転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
11章 魔闘祭編

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第11章ー27

 『第一試合はなんとなんとー! 女同士の対決だぁぁぁー!!』


 闘技場全体に響き渡るヒューズ先輩の声。


 観客席からも大きな歓声が巻き起こる。


 『しかも両者とも一年生! フレッシュさ全開の期待の新星同士による激突だー!!』


 相変わらずテンションが高い。


 というか高すぎる。


 よくあれだけ大勢の前で堂々と喋れるなと少し感心してしまう。


 『だがしかーし!!』


 ヒューズ先輩が声を張り上げる。


 『ほのぼのとしたキャットファイトが見られると思ったら大間違い!!』


 会場がどっと沸く。


 『両者とも、この半年で数々の試練を乗り越えてきた実力者!!』


 『油断は禁物! この戦い、可愛い見た目に反して壮絶なライオンファイトになること間違いなしだぁぁぁぁ!!』


 観客席から歓声が飛ぶ。


 それを聞きながら、自分は苦笑した。


 実況というより煽りだな、これ。


 けれど観客を盛り上げるという意味では正解なのだろう。


 実際、会場の熱気はどんどん上がっている。


 そしてヒューズ先輩の口振りから察するに、司会陣はある程度出場者の情報を把握しているらしい。


 まあ当然か。


 魔闘祭のメインイベントだ。


 出場選手の経歴くらい事前に調べていても不思議ではない。


 それに自分達は良くも悪くも目立つことばかりしてきた。


 迷宮攻略。


 十死怪との戦い。


 期末試験。


 学園内でも色々と噂になっている。


 多少情報が漏れていても今更驚くことではない。


 『それではまず実況席から見て左手ぇぇぇぇぇ!!』


 ヒューズ先輩が片腕を大きく振り上げる。


 スクリーンに映像が切り替わる。


 『異国より来たりし刀少女!!』


 歓声。


 『伝説の刀を携え、あらゆる魔法を一刀両断!!』


 さらに歓声。


 『剣武の真髄、とくとご覧あれぇぇぇぇ!!』


 会場のボルテージが一気に上がる。


 『マヒロ・トーーーーーーエーーーーーーン!!!!!』


 名前が呼ばれた瞬間。


 闘技場の入場口からマヒロが姿を現した。


 大歓声。


 まるで人気選手の登場だ。


 観客席からは黄色い声まで聞こえてくる。


 やはり学園内でも相当有名になっているらしい。


 巨大スクリーンにはマヒロの姿が映し出されていた。


 どうやら闘技場内には撮影用の魔導カメラが複数設置されているようだ。


 選手の表情まで鮮明に映っている。


 「すげぇな……」


 思わず呟く。


 これだけの設備を一体誰が用意したのだろうか。


 学園側なのか。


 それともソンジさんが関わっているのか。


 後者だったとしても全く驚かない。


 あの人、本当に何者なんだろうな。


 服作りだけでも十分凄いのに、こういうイベント関係にも妙に詳しい。


 改めて考えるとかなり多忙な人である。


 そんなことを考えていると。


 ふと違和感を覚えた。


 「……ん?」


 スクリーンに映るマヒロを見つめる。


 何かがおかしい。


 見慣れているはずの姿なのに、どこか引っ掛かる。


 制服はいつも通りだ。


 髪型も変わっていない。


 表情も普段と同じ。


 緊張している様子もなく、堂々とした足取りで闘技場へ向かっている。


 なのに何か違う。


 何だ?


 自分は目を細めた。


 そして改めて全身を見る。


 制服。


 腰。


 帯。


 刀――。


 「……あれ?」


 そこでようやく気付いた。


 腰に差している刀。


 それがいつもと違う。


 「――あっ!?」


 思わず声が出た。


 周囲にいたフィー達も驚いたようにこちらを見る。


 だが今はそれどころじゃない。


 間違いない。


 あれは魔妖まやかしじゃない。


 マヒロが普段から愛用している魔剣ではなかった。


 スクリーン越しでも見覚えがある。


 忘れるはずがない。


 初任務の時。


 その時に使っていた一本。


 名刀・雷電らいでんであった。

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