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転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
10章 迷宮~血戦編~

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第10章ー52

 「はああああああっ!!!」


 肺の奥に残っていた空気をすべて吐き出すように、俺は咆哮した。


 振り抜いた拳には、俺の全魔力を叩き込んでいる。


 体内に生み出した“太陽”。


 その力を、右拳一点に集約した。


 次の瞬間――


 「ぶっ?!」


 鈍い衝撃とともに、拳が何かを深く貫く感触が腕に伝わってきた。


 ブラムの顔面。


 俺の拳は、そこへ容赦なく突き刺さっていた。


 骨を打つ手応え。

 肉が軋む感触。

 衝撃が腕から肩、そして背骨へと突き抜けていく。


 だが、それ以上に強烈だったのは――


 爆発する光と熱。


 拳から放たれた眩い光が、一瞬で周囲を白く塗り潰した。


 まるで、小さな太陽が炸裂したみたいだった。


 そして、その光の中心にいるのが――


 俺だ。


 「ぐっ……!」


 拳を打ち込んだ瞬間、凄まじい反動が腕を襲う。


 筋肉が悲鳴を上げる。


 骨が軋む。


 まるで、自分の腕そのものが燃え上がっているような感覚だった。


 だが――


 構うものか。


 目の前の光景は、さっきと同じだ。


 ブラムの顔面に拳を叩き込む。


 そして、その衝撃で奴を吹き飛ばす。


 一度見た光景。


 だが。


 決定的に違う点がある。


 威力だ。


 さっきの攻撃とは、比べ物にならない。


 あの時は、俺の最大火力の火球を叩き込んだ。


 それでも、ブラムは平然と立ち上がってきた。


 ならば。


 それ以上の力を叩き込めばいい。


 俺が今使っているのは、炎魔法だけじゃない。


 光魔法。


 そして炎。


 二つを融合させた魔法。


 そのイメージの核は――太陽。


 太陽は燃えている。


 そして、光を放つ。


 その両方を極限まで高めたものが、今この拳の中にある。


 「……っ!」


 さらに、吸血鬼との相性。


 それも計算に入れている。


 吸血鬼は日光に弱い。


 それはこの世界でも同じなはず。


 だったら。


 太陽そのものの力をぶつけたらどうなる?


 答えは単純だ。


 致命的なダメージになる。


 はずだ。


 あくまで推測だが。


 それでも――


 この状況で試す価値はある。


 いや。


 もう、それしかない。


 「これで……!!」


 俺は歯を食いしばる。


 拳をさらに押し込む。


 ブラムの顔面が大きく歪む。


 皮膚が焼ける音が聞こえる。


 ジュウウウ、と。


 まるで肉を炙るような音。


 そして、奴の身体から黒い煙のようなものが立ち上っていた。


 効いている。


 確実に。


 今までの攻撃とは、明らかに反応が違う。


 「これで、終わりだあっ!!」


 俺は叫んだ。


 そして――


 拳を振り抜く。


 次の瞬間、爆発的な衝撃が生まれた。


 ドンッ――!!


 凄まじい衝撃波が広がる。


 ブラムの身体が、弾丸のように吹き飛んだ。


 壁へ一直線に叩きつけられていく。


 その速度は、さっきとは比較にならない。


 まるで巨大な砲弾だ。


 ドゴォォォォン!!!


 轟音とともに、ブラムの身体が壁に激突する。


 石壁が大きく砕けた。


 粉塵が舞い上がる。


 衝撃で、地面まで震えた。


 「はあ……っ……はあ……」


 俺はその場に立ったまま、荒く呼吸する。


 体中が熱い。


 いや、熱いなんてもんじゃない。


 燃えている。


 身体の内側で、まだ太陽が燃え続けている。


 皮膚が焼けるように痛い。


 腕も、脚も、まともに感覚がない。


 それでも――


 俺は視線を逸らさない。


 吹き飛ばした先。


 壁際。


 そこにブラムが叩きつけられている。


 煙が立ち込めている。


 瓦礫が崩れている。


 だが、まだ油断はできない。


 相手は吸血鬼だ。


 普通の魔物じゃない。


 さっきだって、何度も立ち上がってきた。


 だったら――


 ここで終わらせる。


 完全に。


 この絶望的な戦いを。


 「……」


 俺は拳を握る。


 まだ光が残っている。


 だが、それも長くは持たない。


 身体の限界が近い。


 わかっている。


 あと少し。


 本当にあと少しで、この力は消える。


 だから――


 決めるなら、今だ。


 「終わらせてやるよ……」


 俺は低く呟いた。


 そして、瓦礫の向こうを睨みつける。


 煙の奥。


 そこにいるはずの吸血鬼を。


 この戦いを終わらせるために。


 今度こそ。


 本当に――終わらせる。

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