表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
2章 脱出編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/757

第2章ー23

 「はあ……はあ……」


 「オラ、死ねや……!」


 「はあっ!」


 「ぐわあっ!?」


 「っ?! こ、このガキ……本当にただの子どもか?」


 魔物との戦いが始まって、どれほどの時間が経ったのか。体感では一時間以上戦い続けているように思える。実際はもっと短いのだろうが、それほどまでに体力を削られていた。肺が焼けるように熱く、息を吸うたび胸が痛む。


 これまでに何体の魔物を斬り倒しただろう。二十、三十……それ以上かもしれない。だが、いくら倒しても数が減っている実感がない。まるで底なし沼だ。


 「落ち着け! 相手は一人だ! ただのガキじゃねぇが、数で押し切りゃ殺せない相手じゃねぇ! 囲んで潰せ!!」


 「うおおおおおお!!」


 「くっ!?」


 魔物たちは勢いを失わず、一斉に襲いかかってくる。今度は五、六体が同時に迫ってきた。これまでは上手く一対一に持ち込み、確実に仕留めてきたが、複数を相手取るのは危険すぎる。


 「ん゛っ!!」


 「なっ!?」


 完全に包囲される前に、脱兎跳躍で宙へ逃れる。間一髪で包囲網を抜けたが、これで“複数戦を避けている”ことを悟られただろう。


 「ちっ、やり損ねたか」


 「だがよ、あのガキ……ビビってやがるぞ」


 「ああ。このまま押せばいける!」


 「くそっ……!」


 案の定、見抜かれた。

 どうする。いったん距離を取るか?

 だが、仲間たちの状況が分からない。魔障結界はまだ解けていない。作戦が失敗している可能性もある。ならば――


 自分が囮になり続けるしかない。

 こいつらの注意を引きつけ、他へ向かわせない。それが自分の役目だ。


 ……だが。


 ミオは無事か?

 ラエルたちは?

 嫌な想像が頭をよぎる。確認したい衝動が胸を突く。


 ――ダメだ。信じろ。今は目の前の敵に集中しろ。


 「よし、もう一度囲め!!」


 「っ?! しまった!」


 考えごとをした一瞬が致命的だった。

 着地した瞬間、背後に気配。前方からも殺気が迫る。


 ――逃げ場がない。


 背後の敵を斬って突破するか?

 いや、間に合わない。よくて相討ち。

 前方へ突っ込むにも、体勢が整っていない。


 「ははっ、とっとと死にやがれ!!」


 「……くそっ」


 間に合わない。

 ここで終わるのか。

 ようやく掴んだ生きる意味も、ここまで――


 「――うおっ?!」


 「っ?! なんだ、今の音は!?」


 「……?」


 その瞬間。

 どこか遠くから、空気を引き裂くような轟音が響いた。


 魔物たちの動きが止まる。

 ざわめきが広がり、皆が周囲を見回し始める。

 自分も何が起きたのか理解できず、思考が一瞬止まった。


 ――今の音は、何だ?


 「お、おい! あそこ……竜巻が出てるぞ!!」


 「はあ?! 何言ってやがる!」


 「いや、俺も分かんねぇ! けど、ほら、あそこだ!!」


 「っ!?」


 指さされた方向へ視線を向ける。

 そこにあったのは――天へ届きそうなほど立ち上る巨大な竜巻。


 規模は異常。

 この村で自然発生するはずがない。


 「……まさか、ミオが……」


 思わず声が漏れた。

 あの方角には、魔造種の貯蔵庫があったはず。

 タイミングも一致する。


 ――儀式の破壊に成功したのか?

 いや、それにしても派手すぎるだろ……。


 「だ、誰か状況を確認しろ――」


 「はあっ!?」


 「ぐわあっ!?」


 「っ?! しまった、あのガキが逃げたぞ!!」


 「追え!! 逃がすな!!!」


 混乱の隙を突き、目の前の魔物を一体斬り伏せる。

 そして脱兎跳躍で一気に包囲を突破した。


 囮の役目は、もう終わった。

 魔障結界も、じきに解けるだろう。


 ――ミオが危ない。


 あの竜巻の中心にいるのが彼女なら、無事で済むはずがない。


 「待ってろよ、ミオ! 今、助けに行く!!」


 夜を裂く風の轟音へ向かい、全力で駆け出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ