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転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
2章 脱出編
43/499

第2章ー㉒

 「…」


 嵐をイメージしていみてるけど、風が激しく動くだけで中々上手くいかない。私の魔力が足りないのか、それともちゃんとイメージしきれていないのか、その両方?


 「はあ…はあ…」


 風魔法の影響で近くにある木箱と魔造種が散乱してる。そのせいか倉庫内の魔力の流れがかなり不規則な動きになり、たまにくる大きい魔力にぶつかって魔力酔いしそうになる。酔い止めの効果時間もそろそろ切れてきそうだし、早くなんとかしないと。


 「けど、どうやったら大きい風出せるんだろ?」


 私が出せるのはせいぜい大きめのボールサイズ。その程度じゃこの倉庫を壊すことが出来ない。せめてもっと大きく出来たらいいのに。


 「んんー!」


 大きい風、今度はとにかく大きい風をイメージしてやってみる。いきなり嵐は欲張りすぎたのかもしれない。せめて倉庫内の木箱を全て吹き飛ばすぐらいの勢いは欲しい。集中集中。


 「んっ、んーーーーー!!」


 手に汗を搔くぐらい集中しているはずなんだけど、まだまだ上手くいかない。これでもダメなの? やっぱり私の魔力が…


 「ダメ! 絶対あきらめないんだから!!」


 足りないなんて言い訳を押し殺し、必死に風を作る。魔力が足りないわけじゃない。治療魔法と風魔法を扱えるんだ。少ないわけがない。


 イメージをもっと明確化すればいけるかも。私を中心にして吹き荒れる小さな竜巻のような風をイメージしてみる。


 「はっああああああああああ!!!」


 私を中心に。風は私の手のひらから離れ、私の身を守るように吹いている。その風をもっと荒々しく。


 「ぁああああああああああ!!!!」


 目を閉じていても、風が荒々しく吹き荒れているのが音でわかる。いい調子。この調子でもっと大きく。


 「っっうっりゃああああああああああ!!!!!」


 木箱が激しくぶつったり、なにかが軋む音が段々聞こえてきた。もう少し、きっともう少しで…


 「はあああああああああっ!!!!!!」


 イケると思った瞬間、ふと目が開いた。最初に目に入ったのは床と自分の手。自分の手からは風がなくなっていて、手汗でぐっしょりになっていた。


 「…」


 倉庫がどうなったのはまだわからなくて、恐る恐る顔を上げた。ここまでやって壊れていなかったら最悪ね。


 「っ?!」


 そんな不安が少し過りながら顔を上げると、そこには私の想像以上の光景が広がっていた。


 「…ウソ…」


 思わず唖然としていた。いや、イメージ通りではあるんだけど、まさかここまで出来てしまうとは正直思っていなかった。


 気が付けば私が居た倉庫は跡形もなくなり、私を中心として小さな竜巻が吹き荒れていた。

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