表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
2章 脱出編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/592

第2章ー⑱

 「がっ?! あっ……あぁっ……」


 「……はあ、はあ……」


 胸を貫いた剣を引き抜くと、魔物の胸から大量の血が噴き出し、苦しげに胸を押さえながら膝から崩れ落ちるように倒れていった。魔物の息が次第に小さくなる。本当に――自分は奴を殺したのか。


 「……ふー、ふー……」


 息を整えながら、改めて自分の手を見る。奴の血が手と剣の柄にまで付着していた。どろりとした感触が妙に生々しく、少し気持ち悪い。間違いない。自分が奴を殺したのだ。


 「く……そが……き……が……」


 「ッ!?」


 その実感を噛みしめていると、倒れていた魔物が苦しげな声で何かを呟いた。殺し損ねたかと一瞬焦るが、奴は血反吐を吐きながら地面に這いつくばっている。見た限り虫の息だ。下手に近づかなければ、もう襲ってはこないだろう。


 「ぅ、嘘だろ……?」


 「ッ!?」


 奴の最後の悪足掻きに視線を奪われていると、その前方から別の声が聞こえた。視線を移すと、奴とつるんでいたもう一体の魔物がこちらを見ていた。仲間が死にかけている光景に、衝撃を受けているようだ。


 「……次は、お前か」


 「う゛っ?!」


 だが、あいつも同じ魔物だ。あいつも殺さなければならない。自分の頭は即座にそう結論づけていた。どのみちここで生かしておく理由はない。


 「爆ぜる焔よ、きゅうとして聚合しゅうごうし、眼前に移りし標的に猛る一投を撃ちかけん」


 「ひぃっ!?」


 魔物に向かって手を突き出し詠唱を唱えると、魔物は慌てて逃げ出した。自分を散々いたぶっていたくせに、相方がいなくなった途端に弱腰とは。魔物といえど、その程度か。


 「【火球フレール】」


 「だ、誰か!? 助け……」


 逃げる魔物へ容赦なく火球を放つ。とはいえ、逃げる小物相手に全力を出すわけにはいかない。威力は五割弱に抑えた。この一撃で倒せるといいが。


 「ぐあぁぁぁっ!?」


 火球は魔物に命中し、一瞬でその姿を覆うほどの火煙と爆風が発生する。それと同時に、爆音にも負けない断末魔が村中に響き渡った。どうやら一撃で事足りたらしい。


 「なんだ今の音?!」


 「向こうで何かが爆発したぞ!」


 「ったく、こんなときになにが起こってんだよ、ちきしょう!!」


 「ぐずぐずするな、急げ!」


 ――まずい。今の一撃で、さすがに他の魔物たちにも気づかれた。


 少しばかり、やりすぎたか。


 「……囲まれる前に離れるか」


 しかし、もう後には引けない。あとは作戦通り、囮役に徹するだけだ。


 そう決めた自分は、村の入口から少しでも離れるよう、反対方向へ走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ