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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第65話 魔獣兵士シェルドン

「……なぁ、アクアリウムって荒れた街だったのか?」


「いえ。昔はもっと整然とした、綺麗な街だったのですが……」


 街の中程まで進軍して目に飛び込んだ光景に、俺達は絶句した。建物の扉や窓が破壊されているのは当たり前、ひどい物は建物自体が半壊もしくは全壊しているのだ。

 こうなった理由はクーデター軍がアクアリウムを攻めたときの戦闘によるものか、占領後にクーデター軍が好き放題やったからか、俺達の進軍を阻むためにやったのか、あるいはその全てか。


「……少なくとも、俺達の進軍を邪魔するつもりなのは確定しているけどな」


 あちこちで発生している戦闘音を聞きながら、俺はそうつぶやいた。

 しかも街の中程から魔導具を使わない、糸を使った罠や逆茂木付きの落とし穴なども散見されるようになった。つまり、マナススリガイを使った罠の発見・無力化は完全に機能しなくなった。


 そのためドローンなども駆使しながら罠や伏兵の捜索を織り込まなければ、危険すぎてうかつに進軍できなくなってしまった。


「そうは言っても、元々想定していた進軍速度に戻っただけですわ」


「ああ。それに、適度な緊張感が戻ってきたことは朗報だ」


 事実、進軍初期のように簡単に罠や伏兵を見つけられる状態が続いていれば、緊張感が抜け取り返しが付かない事になっていただろう。特に爆発系の罠を見つけた時は冷や汗をかいた。

 この罠はかなり意地が悪く、普段は魔力を一切発していない。ところが近くに仕掛けられた糸が敵兵に踏まれたり引っかかったりして切れるとスイッチが発動。いきなり魔力が活性化され爆発するという代物だった。構造上、マナススリガイも探知することは出来ない。

 もしこの罠の存在に気付かず進軍を続けていたら大損害を被っていたし、俺もパールも命が無かったかもしれない。


「ただなぁ……。このバリケードの配置、俺達が誘い込まれているようでなんか嫌なんだよなぁ……」


「ですが、これしか道はありません。敵が仕掛けてくるのを覚悟の上で進むしかありませんわ」


 街の所々で破壊された建物の瓦礫を使ったバリケードが気付かれており、その度に俺達は迂回を余儀なくされた。それに俺は嫌な予感がしているが、パールの言うとおりそれを承知で進むしか無い事も事実だった。

 

 そして、ついにその時は訪れた。


 大きめの広場に出たとき、いきなりドカーン!! と大きな爆発音が鳴ったかと思うと、広場周辺の建物が倒壊。俺とパール、そして数人の兵士達は広場に閉じ込められ、先を進んでいた部隊の大半と分断されてしまった。


「久しぶりだなぁ、コーリー・ノーチラス! パール・オイスター!!」


「……は?」


「何なんですの、アレ!?」


 畳みかけるようにして分断された俺達の前に現れたのは、全体的なシルエットは人なのに蟹のような硬い甲殻とハサミを持ち、エイの尻尾のようなものが腰から生えた、人間の言葉を話せる魔獣だった。

 

「そうか。大分身体をいじったからな、わからないのも無理はねぇ。オレ様だよ、シェルドンだよ」


「なっ……」


 俺がこの世界へ転生して以降、何度も俺達を追いかけ回していたあのシェルドンだと!? 言われてみれば目の辺りは面影がある気がするが……なんだってそんな姿に?


「お前を倒すため、マリーナに頼んで身体を改造してもらったんだよ! カニ型魔獣の甲殻とハサミ、エイ型魔獣の尻尾を取り付けた。これでお前を殺してやる!!」


「姫様、お下がりを!!」


 とっさに兵士達が俺とパールの前に立ちはだかり、シェルドンへ銃を発砲する。だが、硬い甲殻に対し銃弾はカンカンという甲高い音を立て弾かれるのみで、ほとんど意味を為さなかった。


「どけ、ザコ共!!」


「ぐわぁっ!?」


 シェルドンが腕を一振りすると、兵士達は吹っ飛んで行ってしまった。そしてその勢いのまま、俺とパールの首めがけてハサミを突き出した!


「危ない、パール!」


「ひゃぁっ!?」


 俺はとっさにパールの頭を押さえてしゃがませる。もちろん俺も同時にしゃがんだ。するとハサミが俺達の頭の上をかすめ、後ろにあったガレキを挟んだ。

 そのガレキはヒビ一つ無く、綺麗に両断されていた。


「離れて下さいまし!」


「ぬっ!?」


 パールが水の杖を取り出し、シェルドンに高水圧の水を噴射した。とりあえずシェルドンと距離は取れ、すぐ殺されるような危機は去った。


「すまない、パール」


「いえ、こちらこそお礼申し上げますわ、姫様。先程は肝が冷えましたわ……」


 さて、シェルドンを倒さなければここを突破できない状況は変わらない。だが、こちらの武器がほとんど通じない相手にどう戦う?


「風の杖で毒ガスを撒きますか?」


「それは最終手段だな。こちらも巻き添えを食う可能性もある」


 特にここは敵地だ。睡眠ガスを発生させたとして、おそらく俺やパール、兵士達もガスを吸って眠ってしまう。その間に別の敵兵に見つかって捕まったり殺されるリスクもあるし、シェルドンが先に起きてこちらがトドメを刺される可能性もある。


 ……そういえば、前世のゲームでこういうシチュエーションあったな。相手が硬くて普通の攻撃では通らないが、別の攻撃手段が有効って言うヤツ。


「……そうだ。この方法なら倒せるかもしれない」


 思い立った俺は、すぐ実行に移した。

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