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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第60話 世継ぎの確保と、未来の王妃

「お久しぶりですね」


「久しぶりだな、コーリー」


 俺は夢の中で、普段は俺の意識の奥で眠っている『本物のコーリー・ノーチラス』と久々に言葉を交わしていた。


「まずはお礼を言わせていただきます。アクアリウム奪還まであと一歩の所まで来られました。これも、あなたの力が合ってこそです」


「いや、俺一人ではここまで出来たかどうか……。いくら破格の能力があっても、一人が出来る事はたかが知れているしな。それに、ここからが本番だ」


「そうですね。勝利が目前に迫っていても、ふとした油断で一気に形成が逆転する。古今東西、よく聞く話です。意識しかない存在になった私は感謝を示すことしか出来ませんが、100%全幅の感謝を示すのはアクアリウムを奪還し、クーデター軍を瓦解させてからにしましょう」


 ところで……と、コーリーが突然話題を変えた。


「個人的な願望を達成されたようですね。おめでとうございます。確か『男性の小腸を生やす』もしくは『男性の象徴が生えている女の子を見つけ出す』のどちらかでしたか。結果はそのどちらも達成し、無事両方の役割でまぐわえましたね」


 そうだった。確かコイツには俺の個人的願望を知られているんだった。しかも俺が見聞きしたり経験したモノはコーリーにも共有されるから、パールと関係を持ったことも感覚込みで知られてしまったんだった。


「ちょ、それは……面と向かって言葉にされると恥ずかしいんだが……」


「ふふふ。それは申し訳ございません。あなたの反応が面白くてついからかってしまいました」


 ですが、と、コーリーは続けた。


「私はパールが相手になってくれることまでは予想していましたが、男性の象徴云々についてはほぼ絶望的だと確信を持って予測していました。性別の役割を逆転させる方法も魔法も、聞いた事がありませんでしたから。しかし、あなたの能力はそんな絶望的な願望を現実にしてしまった」


 つまりですね、とコーリーは言いたいことを纏めた。


「もしかしたら『貝使い』のスキルをより使いこなせれば、不可能を可能にしてしまえるのではないかと、そう思うのです」


「スキルを使いこなせれば、か……」


「はい。まぁ、何も根拠がない私の予感ですけど」


 そうか、と俺はコーリーに応えた。何も根拠が無いとは言え、俺のことを最も近くで見てくれた人にそう言われると自信が湧いてくる。


「さて、そろそろ時間のようです。最後に何か話しておきたいことはありますか?」


「そうだな……俺パールとああいう関係になったからさ、ちゃんと責任を取りたいんだけど……それってこの国では可能なのか?」


「可能だと思いますよ。詳しくはイカネスに訪ねてみればわかるでしょう。もっとも、昨夜に起きたことをイカネスに包み隠さず話す事になりますが……」


「わ、わかった。覚悟しておく……」


***


「おはよう、イカネス」


「おはようございますわ、イカネス様」


「おはようございます。姫様、パール様。おや……」


 翌朝。砦の司令室にいるイカネスに顔を出したのだが……イカネスが俺達の事をまじまじと見つめてきた。


「な、なにか……?」


「いえ。ただ私も長年王宮勤めをしてきて、いろいろな人間の『変化』を見てきました。その経験から言わせていただくと、昨夜姫様とパール様は『二人同時に』イイことでもありましたかな?」


「な……」


 なんとイカネス、俺とパールのが昨晩ナニをしていたのか気付いているようだった。俺が正直に話すべきか迷っていると、パールがうれしそうに話し始めてしまった!


「わかりますか、イカネス様? 実はですね――」


 しかもパールの説明は、それはもう非常に詳しく、臨場感を持ったものだった。特にシンの効果を使った身体の変化について、100人が話を聞けば100人同じ形や大きさを想像できてしまうほど詳細な解説だった。


「詳しいお話をありがとうございます。そうなりますと、パール様が姫様の正妻となれる可能性は非常に高いでしょう」


「そ、そうなのか!?」


「おそらくそうなるでしょう」


 イカネスの詳しい話によると、庶民はともかく貴族などの上流階級は同性愛に忌避感を持つ割合が一定数存在している。なぜならば、上流階級は家の存続に強くこだわるため、世継ぎを作る事こそが重視されているためだ。

 まぁ、それでも親戚から養子を取ったり『第三者』を介在させた子作りという手段も認められているが、やはり正式な夫婦関係やそれに準じる関係による実子に強いこだわりを持つ人が多い。


 そう考えると、同性同士でありながら実子を産める手段を持つ俺とパールの関係は、反対する理由が無くなるので、非常に大きなアドバンテージとなる。


「またパール様がオイスター公爵家出身という家格が王族と釣り合っていること、クーデターが起こったエルマリス王国は政情不安定と見なされて姫様と婚姻を結びたがる他国の王族はまずいないことなども理由として挙げられます」


「まぁ、そうなのですわね! やりましたわ、姫様! わたくしたち、結ばれる運命なのですわ!!」


「そうみたいだな。これでお互い、責任を取り合えるな」


 普通ならこの流れで結婚式はどうするとか新居はどうしようとか話し合うのだろうが、その前に俺達にはやることがある。

クーデター軍を壊滅させ、アクアリウムを奪還しない限り幸せな結婚生活などあり得ないのだから。


「それはそうとパール様。夜の生活について、安易に話さない方がよろしいかと。しかも嬉々として説明されるので、私としては反応に少々困りました」


「そ、それは……申し訳ありませんわ……」


 パールはきっちりイカネスに注意された。まぁ同性でもそういう話はあまりしないし、異性であればなおさらだからな。

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