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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第54話 絶望のブレス

 第三砦を建築してから数日後。やはりあいつらがやって来た。


「西方より何かの影が見えます!」


「魔導騎士団でしょうか……? 姫様、どう思います?」


「まだ距離があるからよくわからないな、パール。まぁ、前回の戦いの経験を生かして対策は取ってあるけど……」


 魔導騎士団が『陣形魔法』を使ってくるのは第二砦の戦いでよくわかった。だからその対策を、この第三砦に施してある。砦の周囲に大きさがバラバラな空堀を掘ってあるのだ。まるで形が歪んだワッフルみたいな形状の空堀を設けることにより、敵が陣形を組みづらくなる。

 もちろん、空堀の中を活用できないよう貝殻で出来た剣山を配置してある。落ちれば全身串刺しになり確実に死ぬ。


 そういった対策を行って、いざ敵を迎えているのだが……。


「なんだか、影が妙に大きい気がしますわ」


「そうだな。人影にしてはサイズが違いすぎる……」


 俺達が敵影の大きさに違和感を抱きつつある中、敵はどんどん進軍し――とうとう俺達が視認できる距離まで近づいてきた。

 そしてそれは、俺達の度肝を抜くのに十分すぎるインパクトを持っていた。


「ドラゴン……ですの……?」


「ただのドラゴンじゃない……。明らかに機械で出来た、人工的に作られたドラゴンだ……」


 黒光りしたドラゴンのロボット。そう形容した方がしっくりくるデザインの物体だった。砦とほぼ同じ大きさで、4足歩行。翼は無く、長い首の先に角張った機械的な雰囲気の竜の頭が付いており、目はあやしく光っている。かすかにだが機械が動いているような音が聞こえている。

 俺やパール、兵士達が動揺している中、イカネスは全く違う方向で驚いていた。


「まさか、あれは『レヴィアタン』!? 完成させたのですか!?」


「知っているのか、イカネス」


 何か知ってそうな反応であったため、俺はイカネスに問いただした。


「はい。『レヴィアタン』とは、エルマリス王国軍が設計した魔導兵器です。端的に言い表しますと、大型ドラゴンの機能や戦闘能力を魔道具で再現しようというコンセプトの兵器です」


「それがクーデター軍に奪われましたの?」


 パールが推測したが、イカネスは首を横に振り否定した。


「設計と心臓部の開発のみで開発中止となりました。開発した心臓部から色々試験を行った結果、とんでもない量の魔力を必要とすることがわかりまして。レヴィアタンを動かすために現実的ではない人数の魔法使いや魔石を必要とするのです」


 それならもっと柔軟に魔法使いを配置したり使い勝手が良い小型魔導兵器を兵士に配備した方が効率的、という判断になったそうだ。要はコスパが悪かったんだな。


「じゃあ、目の前に現れているレヴィアタンは……?」


「おそらく魔導騎士団が、奪った心臓部と設計図を元に完成させたのでしょう。もちろん、隊長のマリーナが指揮を執って。ただ、私が以前少しだけ見たことがある設計図と異なる点があるようですな」


 元々の設計図では翼があり、空を飛べるようにしていたとか。また足や尻尾を使った近距離攻撃も出来るようにしていたらしい。

 しかし目の前に居るレヴィアタンを見ると、翼は無く、足と尻尾は簡略化され移動とバランス保持の能力しか無いように見えた。


「おそらく、使いたい機能を絞って現実的に運用出来るよう改良されたのでしょう。元魔法研究者のマリーナであれば、魔道具の設計変更は可能でしょうからな」


「なるほど。それで、その『使いたい機能』っていうのは?」


「私がクーデター軍の立場なら、ドラゴンを象徴する強力な攻撃『ブレス』に重点を置きます」


 その時だった。レヴィアタンの口が開き、光が集まったかと思うと――極太ビームが発射され、砦の結界に突き刺さった。


「な――」


 俺は開いた口が塞がらなかった。いや、俺だけで無く砦にいる全員が同じ反応をしていた。なにせ、今までほとんど傷つかなかった砦の結界が、陣形魔法で発生したものよりも遙かに大きいヒビが出来ていたのだから。俺にとって、予想を遙かに超えていた――。

 

「レヴィアタン、接近しています!」


「しめた、姫様が作った堀で足止めされるはず――」


 希望的観測を口にする兵士が何人かいたが、俺はそれを否定した。


「いや、ダメだ――」


 レヴィアタンは堀など無いかのように、砦に向かって進んでいた。


「あの堀は対人間を想定して作っているんだ。あんな巨大兵器相手では、簡単に跨いでしまう」


 たまに片足が堀に落ちることがあるが、あまり効果は無いようだ。おそらく装甲が頑丈で、堀の中に仕込んでいた剣山が効かないのだろう。むしろ剣山を破壊している可能性すらある。


「ですが、一つだけ我々にとって救いとなる事実もわかりました」


「本当か、イカネス」


「はい。おそらくあのブレス攻撃――おそらく純粋な魔力を発射していると思われますが――あまり連射できないようです。ブレス攻撃を連発すれば結界を破壊できますし、さらに砦の破壊も狙えます。それをしないと言うことは、ブレス攻撃を行った後はしばらく時間がかかるということです。つまり――」


「次のブレスが発射されるまでに、こちら側が攻撃する猶予が生まれるのか。その間に撃破できれば良いと」


 イカネスはうなずいた。つまり俺達に出来る事は、二発目のブレス攻撃を行うまでに猛攻を加えてレヴィアタンを破壊、もしくはブレス攻撃を封じられれば良いと。

 だが、そんなことが果たして可能なのか? 俺は不安を拭いきれなかった。

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