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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第50話 天才軍師の分析と二つ目の砦

~マリーナside~

 

「お疲れ様です、マリーナ隊長」


「お疲れ様。出迎えありがとう」


 砦から離れた地点の森の中。反クーデター軍の砦へ威力偵察を終えたマリーナは、自らが率いている魔導騎士団の兵士達と落ち合っていた。


「それで、砦の様子はいかがでした?」


「砦に設置されている兵器の一つ一つは強力だけど、学者としての知見から言わせてもらえればまだ理論値内よ。厄介なのは数が多いことだけど……工夫次第でなんとかなりそう」


 マリーナは魔法の研究者としての顔も持つ。そのため、魔法による攻撃や防御の方法も研究している。その知識は魔導騎士団にも活かされているのだ。


「最も攻めにくいのは強固な結界がある事ね。強力な魔獣3頭がかりでも突破の糸口すらつかめなかったわ。どんな結界の『核』を入手したのやら」


「結界の核を複数使用している可能性は……?」


「ありえないわ。結界核を複数使用して強固で大きい結界を発生させる試みは何百年も前から研究されているけど、結界核を連携させる理論すらいまだに構築されていない。当然、砦に実装できるような実用レベルの物なんてまだまだ夢のまた夢。強力な結界核を何らかの手段で入手したと考えた方が自然よ」


 さらにマリーナは続けて、反クーデター軍の弱点を推測した。


「もちろん、そんな強力な結界核を何個も入手できるわけ無いわ。連中の最終的な目標はアクアリウムの奪還なのはほぼ確定でしょう。そしてアクアリウムを落とすための砦を必ず建築するはずだから、貴重な結界核はアクアリウムに近い砦に設置したいはず。そしてルビーハーバーとアクアリウムを結ぶ補給路を維持するためには最低3つは砦が必要よ」


 彼女の経歴からは想像が付きにくいが、マリーナは意外と戦略家として優秀な一面を持っていた。もちろん戦略に関する教育を受けたことはないので、まごうこと無きマリーナ天性の才能であった。


「つまり、反クーデター軍が建築するであろう残り2つが勝負よ。おそらくその2つの砦は強力な結界核は装備されないし、装備したとしても範囲が小さかったり結界強度が弱かったりする、一般程度かそれ以下の結界核を使用するでしょうね」


「なるほど。もし敵が予想に反して強力な結界核を装備した場合は……?」


「その時は魔導騎士団の代名詞『陣形魔法』を使うわ。上手く使えば、強力な結界でも穴が空くと思うしね」

そしてマリーナ達は森を後にし、次の戦いへの準備に取りかかった。


***


~コーリーside~

 

 魔獣の襲撃をしのいでから数日経った。あの日以来、この砦を襲撃するような事件も無く、行軍中である事を忘れるほど平穏な日々が続いていた。巡回中の兵士達は雑談交じりだし、調理担当の兵士は行軍中とは思えない手の込んだ料理に挑戦したりしていた。

 もちろん、そんな日はすぐに終わってしまうのだが。


「姫様、そろそろ次の拠点を確保しに向かいましょう」


「補給の確認が出来たのか?」


「はい。安定した補給が可能なことは既に確認できました。安心して作戦を次の段階に進めて良いかと」


 イカネスの判断により、俺達は進軍を再開することになった。当初の作戦では補給が安定することを確認して次の段階に進む事になっており、今正にそれが達成されたので俺としても賛成だ。

 それからの行動は早かった。砦の留守を守る人員以外は行軍の準備。俺やパールも荷物をまとめたり留守部隊への引き継ぎなどを行い、翌日の早朝には砦を立つことが出来た。


「イカネス、次の拠点候補地まではどれくらいだ?」


「1日以内にたどり着ける場所ですね。補給を安定させるにはそれくらいの距離で無いとダメなので」


「この人数ですから、今回は少し遅くなりそうですわね」


 途中で休憩を挟みながら行軍を行ったが、警戒されていた魔物や敵の襲撃は発生せず。夜になる直前には拠点候補地の近辺に到着することが出来た。

 場所は街道の途中の開けた草原地帯。非常に見晴らしが良く魔物や盗賊といった脅威にすぐ気づけるため、この街道を使う旅人や商人からは安全地帯とされている。


 ただ、拠点を設営するとなるとやりにくいことこの上ない。見晴らしが良いため拠点を設営しようとすると敵にすぐバレ、防御態勢が整う前に襲われてしまいやすいからだ。


「ま、俺からすれば関係ないけどな」


 俺はケンチクガイとトリデガイを召喚し、一瞬で砦を建築した。異次元のスピードで本格的な砦が建てられるため、敵に襲撃する機会を与えない。


「出来たぜ、イカネス。基本的な構造は最初の砦と同じだから」


「さすがですな、姫様。全員、砦に入り駐留・防衛準備を速やかに整えよ」


 イカネスの号令で兵士全員が砦に入り、防衛態勢を整える。

 俺は砦の最上階に行き、防御結界発生装置を設置する。俺の能力で建てた砦の要だからな、早めに設置するに越したことはない。

 防御結界発生装置を設置し終えた時、パールが窓の外の様子を眺めながら話しかけた。


「姫様、この砦は前の砦と構造は同じなのですよね?」


「概ねな。違う部分もある」


 考え無しに前の砦とそっくりそのまま同じにしているわけではない。前の砦で魔物が襲撃してきたときの知見を踏まえて、改良すべき所は改良している。

 例えば音魔法を打ち消した魔導具。前の砦では急に作ったこともあって後付けなのがモロにわかるような設置だったが、今回はきちんと内蔵するように作っている。

 城壁のあちこちに埋めているし、この砦最上階の屋根にも埋め込んでいる。壁の外側からは巻貝の口のような模様として見えているはずだ。


「まぁ、城壁に埋め込んだことで副次効果も生まれたりしたけどな。上手く使えば防衛の役に立つはずだ」


「副次効果、ですか?」


「それは追々話すよ。さて、防衛関連で俺達がやる仕事は済んだ。次は生活面の準備をするか」


 この日は日付が変わる二時間ほど前に全ての準備が完了。駐留・防衛体制が早い内に整ったのだった。

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