第47話 要塞誕生!
数日後、俺達はアクアリウムへ向けて出発した。
兵士はもちろん、物資を運ぶ幌馬車隊の規模も大きい。
「ですが、人数の割に荷駄隊の規模は小さいです」
「そうなのか、イカネス?」
「はい。姫様がお作りになった『ストレージトランク』のおかげです」
『ストレージトランク』。貝使いが第8段階になってから召喚出来るようになった『トランクガイ』を素材に錬金できる品物だ。
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トランクガイ
四角い二枚貝。カバンガイの仲間。ストレージトランクの素材となり、一個で大型倉庫1棟分の容量を誇る。
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ストレージトランクはストレージバッグの上位互換とも言うべき物で、1個で大型倉庫と同等の収納力がある。ただストレージバッグよりも大きくなり、コロの付いていない手持ちのトランクと同じ大きさだ。
なので持ち運びはストレージバッグよりも大変になる。今回は馬車に積み込んでしまうので大きさはあまり関係ないが。
ちなみに外見は貝の質感を持ったトランクなのだが、ヒカクガイやセンイガイ、カラーシェルなどを使えばデザインを変えることが出来る。今はその必要性を感じなかったので何も手を加えてないけどな。
ほぼ1日歩いたところで、今日の目的地に着いた。アクアリウムとルビーハーバーを繋ぐ街道の途中で、河沿いにある。
この河はアクアリウムのある湖からルビーハーバーの海に流れ込む、エルマリス王国の主要河川の1つだ。まだ下流なので河幅が非常に広く、大型船が余裕で行き違えるくらいには広い。
「では姫様、お願いします」
「ああ」
イカネスに促され、俺は久しぶりにケンチクガイを召喚。さらに今回のアクアリウム攻略の要となる『トリデガイ』を召喚し、ケンチクガイへ投入する。
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トリデガイ
山の字のような突起が三つある巻貝。イエガイの仲間。ケンチクガイと組み合わせることで砦になる。
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トリデガイをケンチクガイへ投入ししばらくすると、3つの尖塔がある砦が生えてきた。砦は白く、真珠のような光沢を有している。
「おぉぉ……」
「スゲエェ……あれが『貝使い』の力なのか?」
「あんなものまで作るなんて、コーリー様って本当にすごいのね」
「ああ。さすが姫様だ!」
兵士達が口々に感嘆の声をあげる。が、その声をイカネスが制した。
「皆、驚嘆するのはわかるが、早くこの砦を使えるようにしましょう。砦に入ったら荷を開き、砦の整備を迅速に行いなさい」
『ハッ!!』
イカネスの指示に兵士達は敬礼し、作業に取りかかった。
今回のアクアリウム攻略は、ルビーハーバーとアクアリウムの間にいくつか砦を建て、補給線を確固たる物にする。その上でアクアリウムの目の前に攻撃陣地を構え、じっくりとアクアリウムを攻略する。道中の砦は攻撃陣地への補給を滞らせないための要だ。
もちろん砦を建てるなんて普通なら一朝一夕にはできない。だが、俺の召喚するトリデガイのおかげで土地さえあれば一瞬で砦を建てられる。
このトリデガイこそが今回の作戦の要であり、以前イカネスが言っていた『反攻作戦に有用』な物なのだ。
砦に入った兵士達は、幌馬車に運ばれていたストレージトランクを各々手にし各所に散らばる。ストレージトランクにはあらかじめ俺が錬金していた大砲やレールガンといった武装類、テーブルやベッドなどの家具類、フンスイガイなどを使った水道設備類やエアコンといったインフラ設備類などを収納している。それらを展開し、きちんとした防御設備と生活環境を整えていくのだ。
そして俺はというと、パールとイカネスを連れて一番高い尖塔の最上階の部屋に登っていた。
「お、以外と広いな」
「はい。このまま住めてしまいそうですわ」
「最も目立つ部分ですので、攻撃目標にされやすく居住空間としてはオススメできません。見晴らしの良さを利用して司令部を置くのが適当かと」
まぁ、イカネスの意見が妥当だろうな。窓が大きいから視界も広いし。
そして俺がここに来たのは、ある重要な物を設置するためである。
「じゃあ設置するぞ。『防御結界発生装置』を」
俺が取り出したのは、子供の頭ほどもある巨大な真珠と、それを安置するための1メートル程度の高さがある台座だった。
「姫様、これは……?」
「『防御結界発生装置』だよ、パール。この真珠が防御結界を発生させて砦全体を包み込む。台座は真珠を安置するためのものだな」
「なるほど。砦の防御を万全にする装置なのですか。さすがですな、姫様」
イカネスは感心して装置を見ている。
この装置は、トリデガイと同じく召喚出来るようになった『サキモリアコヤ』を素材に錬金した物だ。正確に言えば、サキモリアコヤが生産する真珠を使うのだが。
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サキモリアコヤ
防御結界を発動する真珠『結界真珠』を生産する、大型の二枚貝。
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サキモリアコヤの結界真珠が発生させる結界は非常に強力で、砦1つ程度なら楽に覆えるし非常に強力な攻撃を受けてもビクともしない。……まぁ防御結界にも限界があるから絶対無敵とはいかないが、この世界で知られている最も強力な攻撃でも壊れないそうだ。
「それでイカネス、この後は?」
「しばらくこの砦に滞在し、警戒態勢や敵への迎撃方法を確認、さらにルビーハーバーから安定して補給できることを確認できれば次の地点へ向け出発します。しばらくはこの繰り返しですな」
ということは、少なくとも1週間は砦暮らしか。ま、居住性はイイらしいから不便は感じないだろう。




