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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第45話 空中からの逆転劇

 俺とパールはイカネスと共に、領主館内に設けられた作戦本部に詰めることになった。


「本当に俺達も戦わなくていいのか?」


「あなたは我々の旗印となられるお方、すなわち総大将です。総大将ならば前線から一歩引いた場所で全体を俯瞰しなければなりません。それに万が一のことがあったら大変です。何かがあっては姫様をお守りすることが出来ません」


「でもなぁ。今まで散々戦ってこれたし、戦う力があるのに後方でおとなしくしているのは申し訳ないというか……」


「今までが特殊な事例だったのです。それにコーリー様は戦士として訓練をされてきた訳ではありません。本職である兵隊の方には及びませんから」


「う……」


 そう言われると弱いな……まぁ、あまり駄々をこねてイカネスやパールに迷惑をかけるわけにはいかないか。ここは大人しくしておこう。

 なお、戦況については俺が錬金したドローンのおかげで情報がリアルタイムに届いている。この世界では目が届く範囲でない限り、伝令が情報を持ってくるまでに数分から十数分もタイムラグがあるからな。そう考えるとこのシステムは画期的だ。

 敵の動きだが、騎兵隊・艦隊共にルビーハーバーの北側から攻めてくるようだ。


「敵の狙いは北門でしょう。ここを突破するため騎兵隊で門を直接攻撃し、艦隊は海から砲撃して補助する陣形だと見ました」


「なるほど。水陸両面から門を狙うのか」


 だが、この目論見をそのまま見過ごすほど俺達もバカではない。既に対抗策を考えてある。


「姫様、イカネス様、ラデン号が所定の位置に到着しましたわ」


 パールの報告を合図に、俺とイカネスは艦隊の情報を収集するドローンの映像に目を向けた。実はイカネスと話し合い、海上戦力としてラデン号を提供したのだ。

 現在ラデン号に乗っているのは反クーデター軍の軍人で、全員がエルマリス王国の元海兵。俺が乗るよりも効果的な使い方をしてくれるだろう。

 ただ装備や操縦方法が既存の船とかなり違うため訓練が必要だった。しかし時間が足りなかったため実戦に出せるレベルにまで到達することが出来ず、今回は海上の要塞として基本的に動かず戦う事になった。


「敵騎兵隊、北門へ攻撃を開始しました」


「敵艦隊、北門への砲撃を開始しました」


「よろしい。反撃開始です。ドローン部隊はドローンを発信させ、敵へプレッシャーを与えなさい」


 本格的に戦闘が始まった。敵の兵士が門の上の兵士へ矢や魔法を撃ち、こちら側の兵士も同じく矢と魔法で応戦する。敵艦隊は門へ砲撃を行うがラデン号からのテッコウイカ魚雷とミサイルに邪魔される。なので門へ攻撃する船とラデン号へ攻撃する船に振り分けたようだ。

 最初の内は両軍共に拮抗。いや、どちらかというと敵方の方が優勢か? 士気が高い気がする。


 だがドローンが門の上から現れ攻撃した途端、敵騎兵隊に乱れと混乱が生じた。艦隊の方も同様で、最初は(一度ラデン号の兵装を見たからだと思うが)上手く対処していた敵艦隊も、ドローンが出てきた途端足並みが乱れ始めた。


「おお、すげー。効果てきめんだな」


「この世界での空中戦力は少数精鋭ですからね。ここまで多くの空中戦力に対抗する術は誰も持っていないのです」


 以前イカネスやパールからこの世界の空中戦について話を聞いたのだが、基本的に騎乗できる大型の飛行生物――小型の竜なんかを飼い慣らして乗ったりとか空飛ぶ魔導具を使って戦う兵士は存在するらしい。

 だがどちらも希少でなかなか数を増やせない上に、乗り手も熟練した技術が要求される。そのため空中戦を行う兵士は部隊を組めるほど人数が集まらず、個人で戦うしかない。

 それでも空中への対処法はこの世界では限られているので、一人でも空中戦力がいると脅威になるのだ。


 しかし俺が錬金したドローンはいくらでも数を作れるし、従来の空中戦を行う兵士と比べると訓練時間も短い。ドローン操縦士の確保に悩んでいた俺達だったが、この世界基準では非常識な空中戦力を手に入れていたのだ。

 そうして俺達の方が戦場の優位性を確保しつつあるその時、事件は起こった。きっかけは、ドローンが偶然拾った敵旗艦の音声だった。


『……狙いが付かないか。もう正確に狙わんでいい! あの平民に当たっても構わん、撃ちまくれ!!』


「これ、バーナクルの声ですわ!!」


 パールの言うとおり、海上で俺達を狙ったクーデター軍の艦隊司令官、バーナクル・ポマチェアの声だ。映像を見ても彼が声を出していることがわかる。しかもこれ、味方の騎兵隊を巻き込んでもいいって言ってるよな……。

 バーナクルの艦隊が発射した砲弾は北門の近辺に着弾したが、やはり狙いが甘く騎兵隊も巻き込んでいた。砲弾は味方の騎兵隊の真ん中に着弾し、悲鳴と怒号が響き渡った。


 そして騎兵隊近辺に飛んでいたドローンも、信じられない声を拾っていた。


「あの野郎、オレ様達を巻き込みやがったな! これだから貴族は……!!」


 これはクーデター軍の騎兵隊隊長、シェルドンの声だな。俺がこの世界に来てから何度も追い回された奴だ。


「どうやら、クーデター軍の騎兵隊と艦隊は仲が悪いという噂は本当だったようですな。この状況を利用しましょう」


 するとイカネスはドローン操縦者へ指示を出した。それは、艦隊と北門の間の海域をわざと経由させてから攻撃するというものだった。


『海から空中戦力が来てるな……落とせ! あのいけ好かねぇ貴族の船に当たってもいい、むしろ当たった方が清々する!!』


『海の上の空中戦力を撃ち落とせ! 平民に当たっても必要な犠牲だ、名誉の討ち死にしてくれれば最高だがな!!』


「うわ、マジかよ……」


「敵ながらあきれ返りますわね……」


 なんと、クーデター軍はドローンを撃ち落とすという建前のもと、同士討ちを始めてしまったのだ。これには俺もコーリーも開いた口が塞がらなかった。

 こんな状態に陥ってしまえばもはやルビーハーバーの攻略どころでは無く、白兵戦やラデン号の攻撃によって大打撃を被りあえなく撤退してしまった。


「これだけ打撃を受ければ、敵もおいそれとはルビーハーバーを攻撃してこないでしょう。防衛戦は我々の勝利です!!」


 イカネスの勝利宣言と共に、ルビーハーバー防衛戦を乗り切ることが出来た。クーデター軍の内情を知ってしまったというおまけ付きで。

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