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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第37話 希望の港、ルビーハーバー

~バーナクルside~

 

 ラデン号から見事逃げおおせたバーナクルは、身体が毒で動けないながらも水魔法で水流や波を操作し、自分の旗艦へ帰投していた。

 もっとも旗艦もラデン号のミサイルを至近距離で浴びたせいで中破しており、自力で航行できない状態であった。せいぜい錨を降ろして流されないようにするのが精いっぱいだった。


 幸い無傷な自軍の船と合流できたので、その船に曳航してもらって出撃した港に帰ることができた。

 現在は港へ帰港している途上、バーナクルも治癒魔法などの甲斐もあって毒が解けつつあり、自然に会話できる状態まで回復していた。


「――以上が今回の報告になります、ディノフィス様」


『そうか。大変だったみたいだね』


 会話ができるまで回復したバーナクルは、現在の主であるディノフィスに今回の戦闘に経緯と結果を報告した。

 ディノフィスは冷静にバーナクルの話を聞いていたが、彼の話を聞いて喜んでいる人物が通信先にいた。


『ハッ、指をくわえて見ていろとかチャンスを無駄にしないとか言ったのはどいつだったかな、バーナクル』

 

「シェルドン、貴様いたのか……」


 同じクーデター軍に所属していながら犬猿の仲である、シェルドンである。バーナクルは苦虫を噛み潰したような表情でシェルドンと会話する。


『やはりコーリー・ノーチラス捕縛の任務は、お貴族様には荷が重かったようですなぁ。ここは現場を知り、交戦経験も豊富なオレ様のようなたたき上げでないと』


「黙れ!! 交戦経験豊富などと、ただ3度も失敗しただけだろうが!! その点、ワシはまだ1回しか失敗しておらんわ!!!!」


『はいはい、そこまでよ二人とも』


 バーナクルとシェルドンの言い争いがエスカレートしそうになったその時、二人の仲裁役であるマリーナが割って入った。


『今回の件で分かったでしょう。コーリー・ノーチラスの捕縛は一筋縄ではいかない。失敗して当たり前、成功して大金星。それくらいの難敵なのよ、あの王女様は』


『マリーナの言う通りだね。もはや彼女は、我々が知っている箱入り王女様とは思わないほうがいい』


 だが――と、ディノフィスは続けた。


『あまり失敗続きなのも困るのは事実なんだ。うちの軍の士気に関わるし、僕のエルマリス王国の支配権に対する疑問が強くなる恐れもある。だから早くコーリー・ノーチラスを捕縛してほしいんだけど――』


 ディノフィスの言葉に、バーナクルとシェルドンは同時に答えた。


「次こそ必ず」


『必ず捕まえてやるさ』


『そう言うと思った。だから次の任務は、二人で協力してやってもらいたいんだ』


 ディノフィスの言葉に、バーナクルとシェルドンが訝しむ表情を浮かべる。犬猿の仲であるシェルドンとバーナクルが協力なんて出来るはずもない。

 そんな空気を察してか、ディノフィスは説明を補足した。


『コーリー・ノーチラス一行はルビーハーバーを目指しているのだろう? なら好都合だ。街ごと攻め込んでしまえばいい。ルビーハーバーは我々に反抗する、王家に縋りつく者達の一大拠点だからね。それに難しい作戦を立てて実行しろと言っているわけじゃない。シェルドンは陸から、バーナクルは海からそれぞれ攻撃すればいいんだ。ただ攻撃するタイミングを合わせてくれればいい』


 シェルドンとバーナクルの二人は少し考えた後、、不承不承ながら納得した。


『まぁ……確かにそれなら、問題なくコーリー・ノーチラスを捕縛できそうだ。分かった。次の任務はオレ様とこのお貴族様が協力する。それでいいな、バーナクル』


「仕方あるまい」


『ありがとう。期待しているよ』


 ディノフィスの指示を受けたシェルドンは、その場で部隊を編成し始めた。バーナクルのほうも、港に到着次第行う準備を、部下たちに指示し始めた。

 

***


~コーリーside~

 

「見えた! 街だ!!」


「見覚えがありますわ。確かにあの町は『ルビーハーバー』ですわ!!」


 ディノフィスの襲撃をくぐり抜け、俺達はようやく目的地『ルビーハーバー』にたどり着いた。ルビーハーバーは王家の支持者が集まる街で、俺達の後ろ盾となってくれると思われる街だ。ただ……。


「姫様、なんだかわたくし達、囲まれている気が……」


「そりゃそうだろう。大きくて目立つ船なんだから」


 ラデン号はこの世界の基準では大型船と言える大きさを誇っているし、この世界の船にはない構造をしているし、外装は螺鈿細工が全面に施されている。今まで人目に付かない沖を航行していたが、人目に付く場所なら目立ってしょうが無い船なのだ。


「マスター、囲んでいる船が停船を求める旗信号を出しています」


「しょうが無い。心証を良くするためにも、おとなしく停船するか」


 というわけで、俺はラデン号のエンジンを停止した。

 そしてゆっくりと停船した途端、周囲を取り囲む船から人が飛び出してラデン号に飛び乗った。しっかりした身なりと手には書類にペン。確かに臨検を行う職員らしかった。

 俺とパールは甲板に向かい、職員の対応を行う。


「停船にご協力いただきありがとうございます。ルビーハーバー沿岸警備隊で――王女様!? それにオイスター公爵令嬢!?」


 なぜか彼は俺とパールを見て驚いていたが――俺は思わずパールを見つめる。


「おそらく、この方は貴族かその関係者だと思いますわ。一応、わたくしも姫様も有名人ですので……」


「公爵令嬢のおっしゃるとおりです。私は中級貴族の出身でして、王女様と公爵令嬢のことは遠目でしたがお目にかけたことが――。そうだ、イカネス様から王女様を発見したら知らせるよう命令を受けておりました! すぐ使いを向かわせますね。それと王女様の船を停める桟橋を準備させますから!」


 すると、彼の部下らしき人物が自分の船へ帰っていき、周囲の艦船の動きが慌ただしくなった。

 それからしばらくして。


「お待たせしました。桟橋の準備が出来たようですので、これからご案内します」


 そう言うと彼は船へ戻り、ラデン号を導くように先導した。

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