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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第32話 ラデン号の美食と誘惑

 武装の試射を終え再び航路を俺達だったが、今のところ何事もなく航行している。


「そろそろ夕食かな」


「そうですね。自動航行モードに切り替えます」


 ラデン号は自動航行モードを搭載している。測量装置と舵を連動させ、あらかじめ設定した航路に沿って勝手に航行してくれるのだ。

 ただ今回は、目的地の場所がざっくりしているため完全に自動航行に頼れないが……。

 

 食堂に到着した俺は厨房に入る。


「せっかくだし、新しく召喚出来る貝を使ってみようか」


 まずスターチシェルから錬金したパスタをゆでる。もちろんお湯に塩を少々入れている。

 その間にソースを作る。ベジシェルから錬金したトマトを潰してフライパンへ。さらに食用のイカとタコを適当に切って同じくフライパンに投入し火にかける。

 ある程度煮詰まってきたら、ここで使いたかった食材を投入。


「じゃーん。胡椒!!」


 この胡椒は、新しく召喚出来るようになった『スパイスシェル』から錬金した物だ。


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スパイスシェル

スパイス系の香りを発する貝類。様々な種類が存在する。

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 すでにミルは製作しているので、ミルで胡椒を粗めに砕きながら入れる。そしてもう1つ加える物が。


「ローリエだ。これも作れるようになったんだよね」


 今回はローリエを使用するが、実はハーブ類全般を錬金出来るようになっている。これも新たに召喚出来るようになった『ハーブシェル』のおかげだ。


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ハーブシェル

ハーブ系の香りを発する貝類で、スパイスシェルと同じく様々な種類が存在する。

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 ローリエをフライパンに入れ、ある程度香りがソースに移ったところでローリエを取り出す。

 ちょうどパスタが茹で上がったので、フライパンに移してソースに絡める。このとき少々ゆで汁を混ぜるのがコツだ。皿に盛り付ければ出来上がり。


「タコとトマトのパスタ完成! あとデザートも欲しいな」


 そろそろパールも来るだろうし、手早く作ろう。カットしたオレンジでいいかな。

 このオレンジも貝を錬金した物だ。『フルーツシェル』っていう果物の材料になる貝を召喚出来るようになったおかげだ。


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フルーツシェル

ベジシェルの近縁種。フルーツに近い風味を持つ貝。

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 カットしたオレンジを別の皿に盛り付ければ、今日の夕食は完成。


「失礼しますわ。あら、ちょうど夕食が出来たところなのですわね」


「いいタイミングだな、パール。……って、その格好は……?」


 俺は食堂に入ってきたパールの格好に、つい驚いてしまった。


「服に……色……?」


 パールが来ている服は以前俺が贈ったポロシャツとスカートだが、その時は白だったはず。

 しかし今はポリシャツはピンク、スカートは紫という非常に映える色になっていたのだ。


「はい。レンキンガイをお借りして作ってみましたの。プールに住まわせている『カラーシェル』を使いましたわ」


 そういえば甲板のプールに色々と貝を住まわせていた。主にレンキンガイを使用するために使っているプールだが、色々な目的があり他の貝もプールで飼っているのだ。

 その中に『カラーシェル』もあったはず。レンキンガイの使い方はちょくちょくパールに教えていたが、もう使いこなしていたのか。


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カラーシェル

染料や顔料の素材となる二枚貝。様々な色の個体がおり、中には金属光沢や真珠光沢を持つ色素を作れるものも存在する。

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「今まで白いお洋服しか作れませんでしたから、様々な色に染められるようになって嬉しいですわ」


「確かに。ちょっと味気なかったよな」


 俺は前世からファッションに興味がある方ではなかったが、着る物が白しかない状態なのはどうかと思っていた。パールは少なくとも俺よりファッションに興味がある様子だったから、様々な色が使えるようになった状況は喜びもひとしおだろう。


「それで調子に乗って色々と染めてしまいましたの。例えば――『コレ』とか」


「お、おい!」


 なんと、パールは突然自分のスカートをめくり上げパンツを見せつけたのだ!!


「下着の色はこだわったんですのよ? スカートと同じ紫を基調にしていますが、官能的に見えるよう試行錯誤し、光の加減も計算して染め上げましたわ。それで……興奮しました?」

「えっと……そりゃあ……」


 まごう事なき美少女のパールがスカートをたくし上げてパンツを見せつける。これで興奮するなという方が無理だ。


「とにかく、これから夕食だから早く席に着け」


「はーい。分かりましたわ」


 夕食のパスタの感想だが、パールは『船で陸上と遜色ない物を食べられるなんて、素晴らしいですわ!』と感激していた。どうもこの世界の船旅は保存食主体、さらに火の扱いも制限されているのであまりおいしくないらしい。

 それと比べれば、ラデン号の食事は非常に贅沢なようだ。


***


 食後は風呂だ。ラデン号の脱衣所は前世のスーパー銭湯の脱衣所を数人レベルまで小さくしたような構造になっていて、衣服を入れる棚と洗面台が二台、そしてドライヤーを備え付けている。

 室内は全体的に暖色系だが、照明やドライヤーなどに貝の意匠が見られる。壁は螺鈿細工が施されているという贅沢使用。

 

 服を脱いで浴室に入ると、洗い場が3つに5人は入れる大きめの湯船。湯船の方の壁には丸窓がいくつか配置されており、海の景色がある程度見られる。

 床や湯船は貝型のタイルが敷き詰められており、非常に凝ったデザインになっている。


「ふぅ……」


 身体を洗い、湯船に浸かって一息。まだまだ気が抜けない旅ではあるが、こうしてリラックス出来る時間は必要だろう。

 ちなみにラデン号の風呂は5人は余裕で入れる設計になっているが、俺が強く要望したので俺1人で入っている。

 なぜって? まだパールと一緒に入りたくないからだよ。一緒に風呂に入ったら何されるかわからないからな!!


 すると、浴室の扉がノックされた。


「姫様。お着替えをお持ちしましたわ」


「ああ、ありがとう」


 今回、風呂の後の着替えはパールが用意すると言っていた。その着替えを持ってきたのだろう。本当はちょっと怖かったが、怖い物見たさがあるのとパールの気遣いを無下に出来なかったこともあり、パールの提案を受け入れたのだ。

 パールが脱衣所を退室したタイミングを見計らい、俺は浴室を出た。

 バスタオルで身体を拭き、ドライヤーで髪を乾かしてパールが持ってきた服に着替える。


「こ、これは……」


 パールが持ってきた服は、黒とピンクに彩色されたネグリジェだった。しかもシースルー。パンツも同様だった。

 着替えはコレしかないので着替えてみると、さらなる事実が明らかになった……。


「……なんで、こう、デザインが絶妙なんだ……」


 このネグリジェとパンツ、全てがシースルーというワケではなく乳首や下半身の大事なところだけ隠せるようになっていた。しかも絶妙に、かつギリギリで。

 明らかに俺の身体について知り尽くさないと不可能なデザインだ。だが、俺はパールに自分の裸体を晒していない。

 俺がコーリーに憑依する前、コーリーが8歳か9歳頃の時に一緒に風呂に入ったことがあるらしいが、その時の身体なんてアテになるわけがない。

 

 一体どうやってこの服をデザインしたのか……。ちょっと本格的にパールを警戒せにゃならんかもしれない。

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