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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第23話 新たなアイテム、新たな食事

「おはようございますわ、姫様。お早いですのね」


「おはよう、パール。昨日は休むのが早かったから、早く起きて作りたい物を作ってたんだ」


 作りたかった物とは、まず自動車の改造だ。アカリガイを取り付けてライトを付けられるようにしたし、懸案事項であったシートの改良にも取り組んでいた。

 センイガイから作った綿をクッションにした革のシートにしたのだ。革はヒカクイカから錬金した。


------

ヒカクイカ

分厚い動物性の革のような表皮を持つイカ。レザー製品の原料になる。

------


「不思議ですわね。革製なのに高級感を感じる、深みのあるブラウンの色合いと光沢ですわ」


「革なのに高級……? ああ、この世界では布の方が高級な認識なのか」


 前世では自動車に使われるシートは革製の方が布製よりも高級という認識だが、元々は逆だったらしい。馬車の御者席は風雨にさらされやすいため丈夫な革製シートが使われ、主人が乗る客席は布製シートだった。

 馬車の考え方が色濃く残っていた黎明期の自動車も同じで、おまけにオープントップが主流で簡易的な幌くらいしか風雨をしのぐ装備がなかったため革製シートが一般的。布製シートは高級車位しか搭載していなかったらしい。

 その価値観が逆転したのは、第二次世界大戦後。化学繊維が普及しはじめ、革よりも製造コストが安くなってからだ。


 パールの話を聞く限り、どうもこの世界の陸上の移動は馬車が主流のようだから、革シート=御者席=従者の席、という感覚が一般的なんだろう。

 ちなみになぜ俺がこの話を知っているかというと、自動車工場で働いていたときに自動車マニアの正社員の人から聞いたからだ。なお、こういう話を俺は色んな業界でいくつも知っている。フリーターやってたから色々な業界の知識なんかを知ってるからな。


「な、なるほど……。わたくしでは想像も出来ない世界ですわ、革が高級なんて……」


「布の製造コストが安くなれば、この世界でも『革が高級』っていう認識になると思うぞ。いつになるかは知らないけど」


 そしてもう一つ、ドラゴンヴェイルを旅するのに必要だと感じた物も用意した。


「革製のお洋服……ですか?」


「ああ。思ったよりドラゴンヴェイルの環境が過酷だし、日差しもそれなりに強かったからな。今着てる布製の服では対応しきれないと思ったから、丈夫な革で作った服を一式用意した」


 作ったのは革製の帽子、ジャケット、ロングブーツ、短パンとスカート。短パンは俺、スカートはパール用だ。


「ジャケットは今着てるポロシャツの上から着てくれ。ちなみにジャケットは内部にヨロイガイで作ったプレートを仕込んでいるから、防御面もバッチリなはずだ」


「結構軽いですわね。鎧のような効果があるとは思えないくらいですわ」


 まぁ、ヨロイガイの殻は破格の防御力を誇る割に軽いからな。身軽さと防御力を両立する優秀な素材だ。

 そして全身革製の服に身を包んだ俺達の見た目はというと、西部劇に出てくるカウガールみたいな感じになっていた。まぁ、革製の服って事で結構西部劇を意識していたし、帽子もカウボーイハットっぽくしたからな。


「かなりかっこよくなりましたわ~。特に、姫様のブーツとズボンの間にある素足がとっても官能的ですわ~」


「それはお互い様だろう。その感想は非常に同意するが、運転中触るのは辞めてくれよ。ハンドルを誤って事故に繋がりかねないからな」


「ということは、運転中じゃないなら触って良いのですか?」


「そういう事じゃないから!」


 パールの冗談とも本気とも取れない言葉を流しつつ、俺達は出発の準備を進めた。


***


 自動車で移動中、懸念されていた魔物の襲撃はほとんど無かった。

 ……いや、正確に言えば襲ってくる気配はあったのだが、未然に防いでいたのだ。


「お眠り下さい!!」


 パールが杖を構えると、空気の塊を発射する。空気の塊は今正に俺達に狙いを定めていた大きい猿型の魔物に命中し、強制的に眠らせた。


「大分使い慣れてきたじゃん、『風の杖』」


「水の杖ほど馴染みませんけど、決まった魔法を出す分には十分ですわ」


 パールには、風属性の魔法を放つことが出来る『風の杖』を持たせている。風の杖は火の杖や水の杖と同じく柄の素材として貝殻、魔法源として貝使い第5段階から召喚出来るようになった『ガスガイ』を素材に錬金したものだ。


------

ガスガイ

巻貝の一種。環境やストレス、餌などの条件で様々なガスを発生させる貝。チャッカタツムリやフンスイガイと同じく殻が魔石になっており、風の魔石になっている。

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 この風の杖で強力な睡眠作用のあるガスをパールが生成・発射し、魔物が襲ってくる前に眠らせて対処している。なお睡眠が効かなかった場合は麻痺毒ガス、それでもダメなら窒息性のガスを魔物の身体全体に当て、一瞬でも呼吸困難にさせて動きを無理矢理止めている。

 とまぁ魔物対策をバッチリ立てていたため、懸念していた強力な魔物との戦闘にはならず順調に旅を続けられている。


「そろそろ日が落ちてきそうですわ」


「今日のキャンプ地を探さないとまずいな」


 キャンプできそうな場所を探しながら移動したところ、巨大な岩に三方を囲まれ、出入り口になる一方が非常に狭い場所を見つけた。ここなら魔物避けお香の成分が溜まりやすいので、キャンプ地として最適だろう。

 ということでいつも通りテント、トイレ(屋外用)、浴室(屋外用)を設置。身体を休める準備に入った。


「そうそう、今日の晩ご飯はいつもと違う味付けにするよ」


「どうやるんですの? 確かいつもは塩味以外無かったと思いますが……」


 今まではシオアサリから作っていた塩しか調味料が手に入らなかったため、塩しか味付けできなかった。

 だが、貝使いが第5段階からは少し味付けのバリエーションが広がったのだ。


「コレが作れるようになった」


「これ……バターではありませんの!?」


「『ミルクガイ』が召喚出来るようになったからな。乳製品が作れるようになった」


------

ミルクガイ

ピンクがかったウシの乳房のような色と形をした、ツノガイの一種。牛乳に似た液体を分泌し、そのまま飲めるほか乳製品の原料になる。

------


 ミルクガイを錬金することで牛乳の他、バターや生クリームなどを作れるようになった。

 そしてもう1つ、床の間に飾られているようなデカい壺みたいな巻貝をストレージバッグから取り出した。


「お、良い感じに仕上がってる。思ったよりもうまく出来たな」


「それ、醤油でしょうか? エルマリス王国では遙か東方の国から輸入される、かなり珍しい調味料ですが……」


「へぇ、この世界にも醤油があるんだ。そう、俺は醤油を作ったんだ。『カモシガイ』のおかげでな」


------

カモシガイ

大きなツボのような姿をした巻貝。食材などを入れると発酵を進める習性を持ち、発酵食品の製造に欠かせない。

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 俺はカモシガイの中に出来た醤油を、ドロウミウシを錬金して作った保存用の壺に移した。


「今日はバターと醤油を使って料理を作る。結構相性がいいんだぜ?」


 俺はアサリとイカを召喚。アサリは蒸して殻を開かせ中身を取り出す。イカは第5段階になってからタコと共に召喚出来るようになったもので、食用に使うただのイカだ。

 イカは頭をリング状に、足を適度な大きさに切りそろえる。

 そしたらアサリとイカをフライパンに入れ加熱。バターと醤油を入れ全体に味を馴染ませたら――。


「イカとアサリのバター醤油焼き完成。シンプルだが味は保証する」


「なかなか美味そうですわね」


 醤油味の香ばしい匂いがテント内に広がり、パールが食欲をそそられるような表情を浮かべる。

 気になる味の評価はと言うと。


「ん~、美味しいですわ! このバターの風味と醤油がイカとアサリによく合ってますわ!」


「だろ? 俺の前世の国では、バターと醤油は鉄板の組み合わせだったんだぜ」


 パールも大満足のようだ。俺も一口食べてみたけど、我ながら上出来だと思う。

 本当はここに酒でもあればめちゃくちゃ合うんだろうが、残念ながら今の俺の身体では飲めないからなぁ……。ただ、物は試しとスターチシェルから錬金した米をカモシガイに入れ酒を作った。カモシガイは異常なほど速い速度で発酵を進めるから、明日の朝くらいには出来ているだろう。

 まぁ、しばらくは贈答用とかもっと身体が大きくなるまで寝かせるくらいしか出来ないだろうけどな。

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