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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第21話 荒野への旅立ち

「森を抜けたな……」


 シェルドンの襲撃を受けた俺達は、シェルドン隊に打撃を与えたすきに北へと逃げていた。そのうちに森を抜け、その先にあったのは……。


「荒野だな……」


 草がちらほら生えているだけの荒野だった。岩も多くて険しく、とても生物が生きていける環境とは思えない。


「この先は『ドラゴンヴェイル』。エルマリス王国の中でも非常に過酷な環境にある土地で、強力な魔物が跋扈している危険地帯ですわ」


 パールがこの先の土地について解説してくれた。パールが言うには、ドラゴンヴェイルは危険地帯として高い知名度があり、滅多なことでは入ることはないらしい。


「ところで姫様、わたくしから提案がありますわ」


「なんだ?」


 パールは俺に提案をしてきた。その提案とは……。


「これからルビーハーバーを目指すのはいかがでしょう? そこは王国軍残党が支配していますから、私達の身の安全はある程度確保されるはずですわ。少なくとも逃亡しなくてはならなくなるリスクは今よりも減るはずですわ」


「なるほど、それは名案だ!」


 俺もそれが最善策だと思った。だが、パール曰く問題があるという。


「ルビーハーバーはエルマリス王国東端にある港町ですわ」


「ここと真反対なのか……」


 今俺達がいるのは王国西端。ルビーハーバーは真逆に位置している。パールも距離的な問題を解決できなかったため、エメラルドの森に入る選択をしたようだし……。


「ですが、『貝使い』の能力を得た姫様であれば、ルビーハーバーまでたどり着くことが出来ると思います。問題はルートですわ」


「ルート……」


「はい。1つはドラゴンヴェイルを避け、陸路で西に向かうことですわ。過酷なドラゴンヴェイルを抜ける必要はありませんが、いつクーデター軍の襲撃を受けてもおかしくありませんわ」


 つまり、過酷な土地に入る必要は無いが常に襲撃のリスクを抱えており、気が休まらなくなるルートか。


「もう1つは、ドラゴンヴェイルを抜けて北部の海岸まで到達し、船で西に向かうルートですわ。姫様の船であれば沖合の無人島や岩礁を経由しながらルビーハーバーまで到達出来るでしょう。特に襲撃リスクが陸路よりも少ないのがメリットですわ」


 パールによると、クーデター軍が以前発表した人事文書を見る限り、船や海事関係に明るい人員は少ないらしい。さらにエルマリス王国一の港町であるルビーハーバーを押さえられなかったため、クーデター軍が使える艦船は限られているだろうとのこと。


「襲撃リスクは陸路よりも少ないですが、海に出るまでが大変なルートですわ。それで姫様、どちらのルートを選びますか?」


「難しいところだな……」


 どちらのルートでもリスクがある。それなら、俺達にとって良い結果をもたらすルートを選びたいのだが……。


「よし、ドラゴンヴェイルを通って海に出よう。こういう荒野を旅するのに最適な物を作るアイディアがある」


 俺はレンキンガイを召喚。そこにモーターガイとデンチガイ、貝殻を入れた。


「さらに、バネツルとストレッチロープも加える」


「エメラルドの森で採取した物ですわね」


 そして錬金。出てきた物は……。


「馬がない馬車……?馬車にしては変わった形ですけど……」


 「『自動車』だよ。内部に動力が仕込んであって車輪を回すんだ。馬と違って疲れ知らずで移動出来る、前世では馬車に変わって普及した乗り物だ」


 正確に言うと、悪路に強い4WDタイプのゴツい車種に近い。オープントップで天井がないが、センイガイを使ってソフトトップ(幌)を取り付けることも可能。

 4人乗りで、ボディに貝殻を使っているため全体的に真珠光沢がある。今回は茶色い貝殻をメインに使ったためカラーはブラウン。

 無骨なデザインだが所々に貝殻の意匠が使われており、ハンドルは縁に近い貝殻、レバーやスイッチ類も貝殻をベースにデザインされている。

 タイヤはストレッチロープを錬金術の力で太い一本物に仕上げ、タイヤに採用。さらにバネツルの効果でサスペンションを効かせている。


「馬車と比べたらスピードは出るし、サスペンションが効いて揺れも少ない。さらに馬車と違ってほとんど休息する必要もないから馬より早く移動出来る。どうだろう?」


「姫様、すごいですわ! さすがでございます!!」


「じゃあ、早速出発しよう。早く乗って」


「はい!!」


 レンキンガイを送還すると俺達は自動車に乗り、エンジンをかけた。前世では車を買う余裕がなかったから運転経験はそれほど無かったが、意外と運転方法は覚えていた。それに『貝使い』の恩恵でベテランドライバー並に運転技術が磨かれている。


「よし、出発だ!」


 そして俺達は、ドラゴンヴェイルへと足を踏み入れるのだった。

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