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異世界転生したらTSして『貝使い』なる能力をもらった。でもこの身体、何か訳ありみたいで……?  作者: 四葦二鳥


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第15話 探索と出会い

 次の日、俺は周囲の様子を探索するため、準備に取りかかろうとしていた。


「まずは身を守るための武器が欲しいな」


「フンスイガイを使って水魔法を放てる『水の杖』を錬金出来ますが、貝使いが4段階目になったことで近接武器を作ることが出来るようになりました。『ハモノガイ』を召喚してください」


------

ハモノガイ

黒光りする二枚貝。殻の縁が非常に切れやすく、触れただけで怪我をするほど。さらに頑丈でありながら粘りがある。剣や槍などの近接武器の他、包丁やはさみなどの日用刃物の素材にもなる。

------


 ハモノガイに貝殻少々をレンキンガイに入れ、錬金する。しばらくして出てきたのは――。


「ナタ?」


 幅広で歪曲し、怪しい光沢を放つ黒い刀身。輪郭だけ見ればナタっぽいが、特徴的すぎる刀身のせいで素直にナタだと認識できない。セットで付いてきた鞘もおそろいの黒だ。


「ナタで間違いないですよ、マスター。森の中を探索するので、枝や草を切り開ける機能もあった方がいいと思いまして。色味が黒いのはハモノガイの特徴をそのまま引き継いでいるからです。もちろん、武器としても優秀ですよ」


「なるほど、それはありがたいな」


 俺は刃の状態をよく確認する。確かに切れ味は良さそうだ。さらに柄の部分には、滑り止めとして小さな貝殻が無数に埋め込まれている。本当に戦闘も意識して作られているんだと感じられるな。


「続いて防具も作りましょう。ヨロイガイとセンイガイを素材にします」


------

ヨロイガイ

黒光りする多板綱の貝。ハモノガイと同じく頑丈で粘りがある殻を持つが、分厚く少量の魔石成分を含むので魔法耐性もある。共通点の多さからハモノガイと共通の祖先を持つのではと指摘されているが異論もある。

------


 ヨロイガイは殻がダンゴムシの背のように関節を形成しているのが特徴の貝だ。こういう構造をしている貝のことを多板綱と言うらしい。

 このヨロイガイとセンイガイをレンキンガイに投入して錬金すると、防具が出来るそうだが――。

 出てきたのはベストタイプの鎧、腰蓑のような作りの腰当て、籠手と脛当てだった。どれも素材となったヨロイガイと同じく黒光りしている。


「マスターは動きやすさを重視しているようですので、軽鎧にしてみました。今着ているポロシャツとハーフパンツの上から着用できますよ」


「なかなか良さげじゃないか。着てみるか」


 早速錬金した鎧を着てみる。サイズ調整と固定用の紐の取り扱いが難しかったが、なんとか着用できた。


「確かに、あんまり動きにくさは感じないな」


「腰にナタを装着する部品があります。装備してみては?」


 ああ、確かにナタの鞘を通せる部品があるな。これに鞘を通すと――うん、刀を佩くようにナタが装備され、取り回しが良くなった。いつでも必要な時にナタを取り出せるな。


「じゃ、もう少し準備を整えたら出発するか」


 準備を整えた俺は、早速森の中へ入って探検へ繰り出した。しばらく探索してわかったことは――。


「全っ然、人が入った気配がないな!」


 道らしき物はもちろん、人が分け入った跡すらない。なんなら獣道らしき物もなく、大型の生物があまりいないと予想できた。

 もちろん大きめの草や木の根、枝などが生え放題で歩きにくいという事でもあるのだが――それはこのナタが解決した。


「ナタ作っといて良かったなぁ。一振りするだけでどんな太い草や枝もスパスパ切れてしまう。しかも一度に何本も」


「ハモノガイで作った刃物の恩恵です。それに加えてマスターの『貝使い』スキルの効果で熟練者のように使いこなせますからね。それらが合致して、楽に草や枝を刈れているのです」


 移動自体は障害物を楽に刈れる手段があるからそれほど苦ではないが、これほど何もないと探索計画を見直した方が良いかもしれない。

 そういうわけでそろそろ戻ろうかと思ったその時、ハミットが声を上げた。


「マスター、あそこに何かいます!」


「あれは……?」


 警戒しながら様子を伺うと、そこにいたのは――今の俺と同じくらいの、女の子が倒れていた。



***


 俺は女の子を連れ、家に戻った。女の子は俺より背が低いとはいえ、今の身体で他人を背負って移動するのは難しい。そこで俺は氷の杖で氷の小舟を作成して搭乗。さらにフンスイガイを素材にした水魔法を使える『水の杖』で水流を起こし、小舟を流すように動かしたのだ。

 このようにして、比較的に楽に帰還することが出来た。

 女の子をベッドに寝かせた俺は、気になったことを口にした。


「なぁハミット。この子について気付いたことがあるんだが、わかるか?」


「はい。マスター好みの女の子ですね」


「そういうことを聞いてるんじゃない! 服が最初に頃の俺と同じ感じだろ?」


 女の子が着ているのは、ピンク色のドレスだ。履いていた靴といい、明らかに森に入るような服装じゃない。

 それにやや薄汚れているとは言え、デザインや縫製、素材など、あらゆる要素が高級品だと示している。


「ひょっとして、俺が乗り移る前の――コーリー本人の関係者だったりするのか?」


「マスター、目が覚めそうですよ」


「え、マジか」


 ハミットに言われてベッドを見ると、女の子のまぶたがピクピクと動いていた。

 そして、ゆっくりと目を開いた。


「う……ん……ここは……?」


「目が覚めたか?」


「っ!?」


 俺を見た瞬間飛び起き、そして俺のことをじっと見つめ――飛び付いてきた!?


「ご無事だったのですね、姫様!!」


「姫様!?」


 女の子に姫と呼ばれる俺。どうやらコーリーの関係者であることは確定のようだ。それも想像よりも遙かに上振れて――。

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