9話-① 奴隷吸血鬼
俺が次に目を覚ました場所、かなり薄暗い場所だった。
暗いと言っても、真っ暗という訳では無い。
何処か一室に閉じ込められているのか、鉄扉の窓から、僅かに零れる光だけがあった。
だが、夜目が効く俺には、真っ暗だろうが、あまり関係が無い。
改めて、自分の身体を確かめるが、明らかに今まで付けられていた枷より頑丈になっており、この分厚さを破れるか、不安が残る。
それよりも厄介に感じたのは、この枷の重さだ。
俺の並ならぬ力に耐える為に、頑丈に作られた、枷はかなりの分厚さになっている為、物凄く重たい。
まるで、コートや厚手の毛皮を着たまま、水中に居るぐらい、身動きが取れずらい。
正直立ち上がるだけでも、俺の身体には物凄い負担が掛かりそうだ。
所で、今は何時なんだ?
いや、正確には時間が知りたい訳ではない。
俺が連れ去られてから、どれ位たったかを知りたいのだ。
ティムに続き、俺まで居なくなったって気づいたら、シスターや、皆が俺を心配しているだろうな。
だが、今はそんな事を考えていても、しょうが無い。
最良の結論としては、俺がティムを無事に街まで連れて行く事だ。
シスター達を心配させてるんだ、それぐらいやってのけないと!
だが、現実問題として、どうやってここから出るのか? それにティムは何処に居るのか? その辺が、当面の目標だな。
まぁ、ここを出るにもここは何処なのか、その辺も調べないといけない。
そうこうしているうちに、俺が閉じ込められて居る部屋に、ゆっくりと近づく足音が聞こえた。
足音は幾つかあり、俺の部屋の前で止まった。
しばらくすると、物音と共に、窓越しにこちらを覗く、鋭い視線を感じた。
鋭い目の男は、窓から離れると、鉄扉をゆっくりと開けた。
鋭い目付きの男は、このデブの衛兵だった様で、部屋に入るなり、俺を押さえ付けた。
そんなに強く押さなくたって、逃げはしねぇよ。 今はな。
「ほっほっほっ。 小僧。 ここに入れられてどんな気分だった? 声一つ漏らさぬ、姿には、ワシも感動したぞ?」
ったく、俺を拉致してどうするつもりなんだよ。
「うぅむ、返事をせんようじゃな」
デブの一言により、衛兵が、俺の頭を軽く持ち上げ、地面に叩きつける。
「どうじゃ? ワシと話たくなったか?」
「くっ、何でだ」
「ん?」
「俺を拉致して何になるんだよ!」
「拉致? 拉致なんぞ、しておらんぞ」
はぁ? このデブは何を言っているんだ? 現に俺をここに閉じ込めているじゃねぇか。
「そなたが売っておったから、ワシが買っただけじゃよ。 拉致なんぞ、人聞きの悪い事を言うでは無い」
再び俺の、頭が地面に叩きつけられる。
「よいよい、そち達が、躾ける必要は無いぞ」
デブの言葉で、俺を抑えていた、力が少し緩む。
「買ったって…… 俺をどうするつもりだよ! 」
「どうするも、そちは、奴隷としてここで過ごすのじゃよ」
奴隷…… だと?! ちょっと待て、俺はただティムを探す為に森に入っただけだぞ?! 何がどうなれば俺が奴隷になるんだ!
「ふぅぅ、と、とりあえず、昨日、そちが倒れてから、ずっと我慢しておったのじゃぞ? もう良いよな?」
デブが息を荒らげて俺に近寄って来る。
高そうな、派手な衣装が床に擦れてもおかまいなしの様子だ。
ゆっくりと、俺の手を取った。
何をするつもり何だ? 男に手を取られるというのは、何とも気持ち悪い。
べきっ
ぐぁぁぁ?!?!?
デブが、俺の手を取り、指を掴んだと思ったら、すぐさま、指をへし折りやがった。
「あぁぁぁ、これこれ、この声が聞きたかったのじゃぁ!!」
優越感にどっぷりと浸った表情で、俺の指を全てへし折った後、この部屋を出ていった。
俺は初めの不意の一撃意外は声を出さなかったが、俺が必死に耐える表情が、余程楽しかったのか、あったという間に出ていった。
そして、部屋をさる時に言った言葉で、俺は絶望を覚えた。
「これから、いっぱい可愛がってやるから、楽しみに待っておるのじゃぞ?」
俺はまたしても、最悪の形で意識が飛んだ。
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