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8話-⑦ 消えた吸血鬼




物語は、九話冒頭まで戻る。





あぁ、全部思い出した。


狩人が使っていた、大型のライフルなら、何度か見た事が、あったが、小型の拳銃は初めてみた。


見掛けに寄らない所か、見たまんまの危ない連中だったって訳か……


というか、吸血鬼の力ってのは凄いな。


頭を撃ち抜かれても死な無いなんて。


傷は消えても、頭を撃ち抜かれた感覚は未だに残っている。


というより、鮮明に思い出す事が出来た。


あの衝撃、あの激痛。 ほんの一瞬だけだってのに、全身の骨を折るよりも痛かった。


後はアレだ。 独特の火傷な様な痛み、摩擦で俺の皮膚が焦げたのだろう。


あの、嫌な匂いが、未だに鼻に残っている。


それよりも、この馬車? は何処に向かって居るんだ?


俺がこの場から逃げ出す事は恐らく容易に出来るだろう。


だが、恐らく奴らがティムを攫ったのは間違いない、であればここで逃がす訳にも行かない。


どうするか……


だが、俺が今後を決めるより早く、馬車がゆっくりと止まった。


止まったのか? いや、狭い道で道を譲っただけとも考えられる。


だが、そんな考は杞憂だった。


「………… 商会…… 通行…… る……」


恐らく、優男の声だろう。 聞いた事がない、別の男との会話が聞こえる。


再び、馬車が、動きだす。


だが、先程とは違い、ゆっくりと丁寧に進んでいる。


そして、再び、馬車が止まる。


だが、さっきとは明らかに声量が異なったのか、会話がハッキリと聞こえた。


「いやぁぁ! アイゼス伯爵公、ご無沙汰しております! 今宵、伯爵公に是非ともご覧頂きたい、品が御座います!」


あぁ、今の会話で何となく理解出来た。


だから、俺は手足に枷が嵌められているのか……


その声と共に、俺の周囲を覆っていた、布が取り払われた。


「こちらです! 不死身の人間です!」


大胆に捲られた布から、姿を現したのは、夜間に森をうろつき、薄汚れた、俺だった。


「ほほぉ、不死身ときたか、ロンよ、嘘ではあるまいな?」


「勿論です」


そう言って、優男は懐より、拳銃を抜き出す。


周りの衛兵が、少しばかり反応したが、伯爵公の手の一振で、その場が収まる。


俺は、抵抗しようとしたが、すかさず、優男が俺に釘を刺す。


「あの子供が、どうなってもいいのか? 殺されたく無かったら、黙って、大人しくしてろ!」


ティムの事を盾に取られている俺にはどうする事も出来ない。


ひとまずこの場を上手く切り抜けないと!


だが、そんな考えも束の間、俺の右肩が、拳銃の轟音と共にまたしても、撃ち抜かれた。


「ぐぁぁぁっっっ!!!!」


俺は、思わず叫んでしまった。


だが、撃ち抜かれた事により、理性を失った俺は、思わず、手枷を引きちぎってしまった。


「ほほぉ、怪力もあるみたいじゃな」


「そうですね、これは驚きです」


こいつら、許さねぇ!! 全員ぶっ殺してやる!!


「おい、あの子供を殺しても良いんだな? 俺が、今日中に帰らねぇと、あと大男があのガキの首を引きちぎるぞ」


あぁ、そうだった。 俺は人質を取られているんだった。


「ほら、さっさとしろ!」


優男に強引に腕を引っ張られ、俺の撃たれた方の服を破かれた。


「おぉ、傷が治っておるでは無いか!」


「伯爵公、その通りです! こいつは頭を撃ち抜かれても、今みたいに元気に起き上がりますよ!」


「ならば、是非試してみんとな」


興奮した様子で、再び俺に銃を突き付ける。


俺が、これからの事を想像するよりも早く、再び、頭を撃ち抜かれたーー




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