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8話-⑦ 消えた吸血鬼




良くやってくれてる。 なんてみんなは言うが、結果的にティムが居なくなった事実に、変わりは無い。


むしろ、優しくされる事での皆への後ろめたさが強くなるばかりだ。


だからこそ俺は、今城壁の上に立っているのだ。


時刻は、深夜を回った頃だろう、師匠が起きる時間帯だ。


この時間は、門がしまっており、余っ程の事がない限り、開けられる事は無い。


ましては、成人前の子供が、たった一人で外に出るなど、狂気の沙汰だと思われる。


であれば、今まさに外にいる、ティムを助けに行かなければならないと、俺の心を震わせる。


だからこそだろう。


無謀と分かっていても、俺の数倍ある城壁を飛び越えなくてはならないのだ。


幸いにも声を出さずに飛び降りる事が出来た。


これも、守衛にバレまいとする、俺の成果だ。


だが、身体の損傷は激しかった。


通常の人間なら、死んでもおかしくない高さである。


だが、幸いにも身体のあちこちを折っただけで済んだ。


こういう時はヴァンパイアになって良かったと思う。


正しく人間離れした事が、人間では無くなった為に、容易に出来るのだ。


俺は、ティムがいなくなった辺りまでは、慎重に物音一つ立てないように進んだ。


万が一、落ちた時の衝撃音を聞かれていたら、様子を見に来た守衛に見つかってしまうからだ。


くしくも、誰にもバレる事はなかった。


森に入ってから、暫くは、夜目を使い、ティムの痕跡を探す。


昼間俺達が、歩き回ったせいで、殆ど痕跡が無くなっているが、それは致し方ない。


だからこそ、俺が探すのは、戻って来ていない足跡だ。


あれからどれくらい経ったのだろうか?


感覚で言えばまだ、数刻だが、月の位置から考えると、もっと経っていてもおかしくない。


だがただ無駄な時間を使ったという訳でも無い。 俺はティムの痕跡を見つけていた。


森の奥へとフラフラと繋がっている足跡は、途中途中で、にじった様な足跡に変わっていた。


そして、その近くには、丁寧にむしり取られている、草木がある。


恐らくティムは、少しずつではあるが、森の奥へ入ってしまい、帰れなくなったのだろう。


足跡が消えないうちに、探してあげないと。







足跡を追って、森を進むと、うっすらだが、奥が明るい事に気が付いた。


俺は、その灯りがティムのものでは無いかと思い、ゆっくりと近づく。


チリン


俺は足にロープを引っ掛けていた。


鈴を鳴らしてしまったと、何となくだが、感覚で分かった。


「誰だ!?」


野太い声が聞こえた。


恐らく野営での、対策の鈴を鳴らしてしまったのだろう。


慌てた俺は、敵意がない事を示す為に、気まづそうに声の方に近づく。


茂みを掻き分け、出た先にいたのは……


大柄の髭面の大男と、真っ白なスーツを来た金髪の優男だった。


「いや、すいません。 昼間に居なくなった子供を探していたのですが、見かけましたか?」


藪から棒に、唐突であったが、俺はついティムの事を尋ねてしまった。


男達はお互いに顔を見合せ、首を傾げる。


「すまないが、子供はみてないぞ」


「あぁ、そうですか、お邪魔してすいません」


俺は、そそくさとその場を立ち去ろうとした。


「待ちたまえ」


優男が、俺を呼び止める。


「その子供は、君と、どういう関係なんだい?」


「か、家族です」


血は繋がってないけど、確かに一緒に暮らし、飯も食った。


俺はティムの事を弟の様だとおもっている。


「そうか、引き止めて済まなかった。 君も幼く見えたが、家族が居なくなったら一大事だよな」


何となく、胡散臭い二人組だと思ったが、まぁ、確かにこんな時間に来る人が怪しいと思うよな。


だからこそ、俺の事まで心配しているかの様な口振りの二人に会話を続けてしまった。


「そういえば、こんな森で何をしているんですか?」


「俺達か? 俺達は、俗に言う旅人だよ」


その言葉を聞いた俺は、目頭が熱くなるのを感じた。


ティムが見つかったら、師匠を探しに行こう。


一刻も早く、この人達みたいな、被害者を増やさない為に。


「所でその子供の身長はどれくらいなんだ?」


先程まで、仏頂面をしていた、大男が話しかけてきた。


「ど、どうして、そんな事を聞くんですか?」


思わず、言い返すみたいに、反応してしまった。


「ん? 何でって、鈴の高さを変えるからに決まってるだろ」


鈴の高さを変える? それになんの意味があるんだ。


「兄ちゃんみたいに、鈴に当たってもこっちに来てくれたら良いが、怯えて逃げちまう奴もいるんだよ。 だから、当たらない様にしておけば、見つけ次第、街に連れてってやるぞ」


なるほど、そういう事か。


俺は、近くの木に手を当てて、これくらいだと教えた。


「おう! 兄ちゃんも頑張れよ! こんな真っ暗じゃ、黒髪は目立たないが、月で照らされた顔なら、分かるから、探すなら白色だぞ!」


初めは、胡散臭い二人だと思っていたが、話し掛けたら、意外にも親切だった。


自分達も大変なのに、ティムを見つけたら、連れて来てくれるなんて、本当にありがたい。


人は見掛けに寄らないって事だよな……


見掛け……


こいつは、どうして、ティムが黒髪だって知っているんだ?


「あの、さっきティムの事を黒髪って言ったと思うんですけど……」


俺の話している途中、突然、大男の顔付きが変わった。


あぁ、この顔は知っている。人界騎士アイツらと同じだ。


次の瞬間、大男が持っていた拳銃で、俺の眉間が貫かれていた。


遠のく意識の中で、聞こえた会話は、優男と、大男が言い争っている事だけだ。


あぁ、ティムはこいつらに捕まったんだーー





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