5話-① エルフの里
少女の突然の提案に困惑する俺達だが、それよりも動揺していたのはエルフの戦士達であった。
師匠の幻術が解けた者が続々と、俺達を囲って居るのが目に見えていた。
その戦士達はヤジを飛ばすのでは無く、周囲と顔を見合わせ、どうなっていると言わんばかりの表情である。
「なりません、姫様!! 邪悪な魔族を里に連れて行くなと言語道断です!」
先程まで、俺に腕を絞られていた戦士の一人が少女に対して、必死に抗議する。
(姫様という事は、村の代表か何かか?)
俺はしれっと彼女に対して、スキルを使い確認しようとする。
[隠匿スキル発動中の為、確認出来ません]
隠匿スキル…… つまりは情報を隠す為のスキルか。
余っ程見られたく無いってのは解るが、他の連中を見れば直ぐに[何か]と言うのは分かっちまうな。
「皆さん落ち着いて下さい! 彼等が魔族ではありますが、決して邪悪な存在では有りません!!」
姫様は強い言葉は戦士達が出し掛けていた言葉を呑み込ませる。
「むしろ、無礼を先に働いたのは我々では有りませんか? 戦士長」
言葉を呑み込み、俯いた戦士長と呼ばれる男は、ゆっくりと肯定した。
「この度は、我々の一族がお二人に無礼を働いた事をお許し下さい。 お許しを頂けるのなら、今晩はどうか我らの里でお休みください。 明日には街への案内を致します」
そう言うと、深く頭を下げる姫様。
師匠と顔を見合せた俺達は、先程の態度とは全然違う姫様に疑問を覚え、真相を探る為に一晩泊まる事にした。
里と呼ばれる集落に入ると、大木の上の方に居住地を作り、通路から何やら間やらが、設置してある入口に案内された。
(こりゃ、はぐれたら確実に迷子になるな)
里に入ってからは特に感じる事が増えた視線は、奥に行けば行く程、数が増えて、強くなる。
(な、なぁ? 師匠。 やっぱり俺達ってどう考えても歓迎されてないよな?)
道案内をしてくれているエルフに、聞こえない様に小声で会話する。
(歓迎はされてないじゃろな。 であればどうして妾達を引き入れたか理由が気になる)
俺達はかなり小声で話していたはずだが、あの長い耳は地獄耳なのだろう。
「お客様方、御気分害してしまっている様で申し訳御座いません。 エルフというのは身体能力に優れているのですが、その影響で周囲に対して与える影響が少なくはありません。 こちらで叱責をしておきますので、どうかお許し下さい」
「構わん。 下等な種族、故にコントール出来んと言うのは良くある話じゃ」
冷静な態度のエルフの女性に対して、何故か攻撃的な事を言う師匠……
いや、唯でさえ、嫌がられて要るのに、火に油を注ぐのやめないか?!
連絡通路の様な場所を暫く歩くて、大木の中をくり抜いた様な場所に案内された。
中には質素ではあるがしっかりとした作りの家具が置いてあり、俺達二人が泊まるのには十二分過ぎる部屋である。
案内を終えたエルフは一礼をし、扉を閉めた。
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