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Brave seven 〜導かれる運命〜  作者: Yori Yori
第1章 旅立ち
6/10

#5 大事なこと ⑵

お久しぶりですね。

今回もお楽しみ下さい。

父さん達との話を終えた俺は休む為に自室へと階段を登っていく。


「はぁ……疲れた」

俺はそう呟きながら自室の前へ着く。


「さっき叫び声が聞こえて来たけど、また父さん母さんがイチャイチャしたの?」


「あぁ、メイリンか。そうだよ、本当に目の前でだけはやめて頂きたい。そう思わねぇ?」


疲れたから反応は薄いけど、びっくりするから急に後ろから話しかけるのはやめてほしい。


「本当にそうだよねー。仲が良いのはとても良い事なんだけどさ、さすがに私達でも気まずくなるよね」

うんうん同感だわ。目の前でやられると、自分の居場所がこの場に無い様に感じるからね、さっさとその場から立ち去らざるを得ない。


「まぁまぁ、2人とも、両親の仲が良いのは良いことじゃないですか。それよりカイン様、ご両親とのお話はどうでしたか?」

ティアの野郎め、もっとメイリンと話をさせろ。


「父さん母さんなら、最初は寂しいからって反対されたけどな。自分で決めた事なら必ずやり遂げろと言われたよ」


「は、反対されたんだ、以外だわぁ」

だよな。


「まぁでも、結果了承してくれた訳ですよね? ね?」

あぁ、ティアさん、少し黙って頂けないでしょうか。


「まぁそうなんだけどさ、立ち話もなんだから、俺の部屋で話そうか」

そう言って2人に入室を促す。


「私は明日早くから準備あるからもう寝るね」

準備ねぇ、儀式の準備ってそんなにする事ってないと思うんだけど。まぁいいか、おやすみと言って廊下を後に、ティアを連れて自室に入る。


「それで、ティア。お前何か隠してるだろ?」

「あ、え、そんな事はございませんとも」

少しカマをかけただけなのに、明らかに動揺しながら言うティアをみて、絶対何かあると確信したので、もう少し続ける。

「なら俺が旅に出ないと、とても困ると言うわけ?」

「それはもう、ほんっとうに困ります」

こいつがそんなにも困る事ってなんだろうか。


「もしかして、俺が旅に出たら給料上げてもらえるとか?」

俺はこの言葉に反応したティアの口元が少しだけ歪むのを見逃さなかった。

精霊達の給料てどんなんなんだろうと、どうでもいい事を逡巡する。


「旅に出るのは少し延期しようかなー」

「なななな、何を唐突に! しかも何でですかっ!」

よし! かかったな。俺は心の中でガッツポーズをする。明らかに棒読みだったのに、そんな言葉で動揺する精霊が居るのかと思ったが、言葉の内容によっては棒読みさえ気にならない案件なのかもしれない。


「 いや、俺は旅に出るのにも色々準備が必要だろうなと思って、延期しようと思っただけで。 何か不都合でも?」

「なんだぁ、そう言う事なんですかぁ。安心しました。もし旅に出るつもりが無いだなんて言われたら、給料も上がらないわ、カイン様について行く事で、あの裸ババァの世話係から抜け出せないと思いましたので……あっ…………あぁぁ〜」

自分から口を滑らしたティアはうなだれている。

それより、裸ババァってあの大精霊の事だよな? フィオ様よ、直属の部下にどんな風に思われてんだよ。と突っ込まずにはいられまい。

ん? まてよ。こいつ俺について行く事でって言ったのは気のせいか?


「ティアさんよ。聞き捨てならないんだが」

「あぁぁぁ〜。この事は絶対に言わないで下さいぃぃー、お願い致しますカイン様ぁぁ〜」

と泣きながら土下座する精霊。

こんな綺麗な土下座見た事ねぇ。しかも精霊が。ちょっと笑ってしまう。


「いや、お前の失言の事じゃ無い。俺について行く事で、と言ったよな?」

「その事でしたか! 良かったぁ」

いやいや、良くは無いだろうと思いながらもティアが続ける言葉を聞く。


「フィオ様からカイン様の旅について行き、見守る様にと仰せつかっているのです。それが給料アップに繋がるのです!」

と、胸を張りながら発言する精霊。

それに対し、マジかよと思いつつも、見守ってくれているのは心強いとも思う。なんせ加護が働くのであろうから。


「用するに、俺の旅について行く事で、お世話係からも解放され、給料もアップする。

だから俺が旅に出ないとお前が困る。そう言う事だな?」

首がもげそうな勢いでブンブン首を縦に振る精霊。

「それってただ個人的に困るってだけじゃねぇか!」

「え、何か問題ですか?」

俺の怒号はキョトンとしたクソ精霊の心に響く事はなく、俺の部屋に虚しくも響くだけだった。


「もう。オメェはクソだな。うん。お前はクソ精霊だ。クソ野郎」

「そんなにクソクソ言わないで下さいよぅ。

だいたいカイン様もクソクソの、クソ野郎ですからね!」

「はぁ⁉︎ 一体俺のどこがクソなんだよっ!」

「全部です! ぜ、ん、ぶ‼︎ 」

「もっと具体的に言えよなっ!」

「まぁまぁ、その辺りでやめておくのじゃ」


唐突に部屋に響き渡る声


「誰だ⁉︎」

「はぁ……来ちゃいましたか」

声の主に誰何する事しかできなかった俺は、うなだれながら言うティアをみて推察する。まさかとは思うが。

「カイン坊、その通りじゃよ。ワシじゃよワシワシ」

オレオレ詐欺ならぬワシワシ詐欺か、とふっと思い至る。

それよりだ、一人称がワシと言う人物は俺の知りうる中で、村長の爺さんか、大精霊しかおらず、ティアがうなだれる事を考えると、絶対に全裸大精霊しかいない、という事に考えが辿り着く。


「まさか来るとは……」

「来ちゃった。てへ」

ポコっという音が聞こえそうなポーズを取るツッコミ所満載の全裸大精霊を叩く。

だって全裸で出てくるから叩いてやったよ。


「なんじゃ、痛いではないか! それよりお主ら、これから旅に出る仲間じゃろう。 そんな調子では先が思いやられるわい。 なんならティアには旅に同行せずに、ずっとワシの世話係として働いて貰ってもいいんじゃよ?」

「はわわわっ! それはご勘弁を! あ……」

ティアは血の気が引いていく。


「お主の失言など、昔から知っておるわい。

じゃが、それでも叱らずにいたのは、グズグズ言ってもやってくれていたからのう。 素直にありがたいのじゃ」

恐らく本当に思っているのだろう、期間はどのくらいかは知らないが、長い間この大精霊の世話をするのは随分と骨が折れる事だろう。


「フィ、フィオさまぁ〜、ありがとうございますぅ」

「じゃが失言に関して許してはおらんからな。……じゃが、一々そんな事に目くじらを立てても解決する訳では無いからの。 まぁほどほどにな」

ティアに喜びの表情が戻ったのも束の間、すぐさま上司からのトドメの一言が刺さる。

あ、ティアが矢に撃ち抜かれたかのように倒れたよ。


「それよりもじゃ。お主の所に来たのは別な用件があった為じゃ」

倒れたティアは放置して、俺に話を切り替えるフィオ様。 おっかねぇ。 部下を大切にしない上司は嫌われるよ?


「別の用件? 何か問題でも?」

「察しがええのう、カイン坊。実はな、この村近辺の森が一部死んだ」

森が死ぬ…って言うことは……どう言う事だ?


「そのままの意味じゃよ。その一部分の動植物が死んだ。何者かに生命力を奪われた様にな。直接目で見た訳では無いから確証は持てんが、腐っても植物を司る精霊じゃからの、植物からの情報は全て集まってくる。そしてその状態が徐々に薄れていったこともな。恐らくじゃが、これは月魔法によるものじゃと考えられる。全く、下種な魔法を使いよる輩がおると困るわい」

普段はアホ面、いや、温厚なフィオさんは苦虫を噛み潰した様な表情になる。


つまり何かがこの村の近くで悪さをしているのか?

「そう言うことじゃ。お主ら、十分に警戒するのじゃよ。……っ!」

警戒をするよう助言をしてくれた大精霊。しかしその直後、大精霊の表情が驚き変わり、次第に姿にノイズが走る。


「どうやら、何者かが神木の結界に干渉しておるせいで、儂の具現化が解かれかけている様じゃ。このままでは恐らく——」

それから先の言葉は聞こえない。つまり、神木に何かあったという事だろうか。

タイミングが良すぎて、フィオさんの自作自演なのでは無いかとも疑ってしまう。まぁそれはフィオさんの性格から考えれば仕方のない事だと思うが、先程の逼迫していたであろう状況なら自作自演をしている様子では無いだろうな。

それも含めての演技ならばそれはもうお手上げという物だが。

さて、どうしたものかね。

村に危機が迫っていると村長へ伝えても、この村で精霊と対話したという人物は居ないし、大方信じてはくれないだろう。

唯一の救いがメイリンと父さんと母さんだろうな。

倒れているティアは目を覚ます様子は無いし、どう動けばいいのやら。


俺が1人で悩んでいると階段を駆け上る音が聞こえてくる。


—バタン‼︎—


「カイン! 大丈夫か?」

「うわっ! びっくりしたぁ!」


心臓に悪いなぁもう。上がってきたのはわかったけどさ、そんな勢い良く開けなくても良いじゃんか。 メイリンといい、俺の周りには驚かせて来る人ばっかりだな。


「まぁ大丈夫だけど、え? 何が?」

「いやねぇ、お告げがあったんだよ」

お告げかぁ、そういや父さんは確か精霊の声は聴こえるんだっけか。


「で、お告げはなんて?」

「それがね……『逃げて』の一言のみなんだよね」

そうだ父さんは聴こえても、単語のみだとか、曖昧な物が多いんだった。

ただ今回は特別だったらしく、はっきりと逃げてと聴こえてきた様だ。


「そうなると村長とかにも聴こえてるって感じだよね?」

「ああ、恐らく聴こえて居るだろうね。 まぁでも、村長は難聴ではあるけど、精霊の声って直接頭に響く感じだからね。 間違いなく聴こえているだろうさ」

俺がそう確認したのは、村長も確か精霊の言葉が聴こえるって言う噂を聞いた事があったからだ。 「難聴の村長、略して難長」少しふざけてしまったが、難儀だろうな。

俺は今日が初めて精霊という存在に出会ったため、ティアの様な奴がうじゃうじゃ居ると思ったがそうでは無く、普段はあまり人間や、他の種族への干渉はしない物だと、更に直接声を聞けるのは極一部の者しか聞けないと、確かそうティアも言っていたな。

ただ例外があるという事で、今回がその例外である緊急事態という事らしい。

だとすれば、この村で精霊の声が聴こえる人には間違いなく『逃げて』と聴こえていると考えてよさそうだ。


「それで、難長が『逃げて』と聞いていたならばどうなるの?」

父さんは“難長“の言葉を聞き、一瞬戸惑ったがすぐにクスッと笑っていた。

ダメだ、心の中に留めておくつもりが言葉にしてしまった様だ。


「ともかく、難長はどうするのかな?」

「恐らくだけど、難長が声を挙げる間もなく緊急会議が開かれると思うよ。 でも僕たちは会議の結果なんて待ちはしない、だから逃げる為の準備をするよ。 すぐにメイリンと母さんを呼んで来てくれるかい?」

父さんは早くも難長を使い始めた。 一家の主が言い始めて良いのかよと思ったが、言い出したのは俺だし、指摘するのは少し躊躇う。 でも、このまま放って置いたら面白い事になりそう。 という気持ちがあるのは内緒だ。


「わかったよ父さん。 父さんはどうするの?」

「ああ、僕は馬車が必要になるだろうから準備してくるよ」

「りょーかい!」

父さんの指示に首肯し、寝ているであろうメイリンと母さんを呼びにいく。

なんだか波乱の予感がするけども、主に母さんを呼びに行く時にね。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ソドン村の村長宅。そこでは暢気に睡眠をとっていた村長が叩き起こされ、村の緊急会議が開かれようとしていた。


「父さん起きて下さい! 緊急事態です!」

「うむ……」

村長は齢70を超えるかなりの長寿である、しかし村の掟で村長は没した後でないと継がれる事はない。その為ここ十数年前からは村長代理として、その息子が村の運営を任されるのは必然の事である。それが村民の意思であるならば尚更のことであろう。

村長は重たい腰を上げて、息子に連れられて村長宅の客間へと向かう。

客間には、精霊からのお告げ、もとい避難勧告を聴いた一部の人が集まっていた。


「今からソドン村の緊急会議を開きます。

議題は皆さんご存知のとおり、精霊様からのお告げについてです。 今回は緊急事態という事ですが、この場にお集まり頂いてありがとうございます。

そこで皆さんの意見をまずお聞かせ願います」

「代理! あっしらの答えは決まっとります!」

「あっしらは代理に任せます!」

「そうでやす、生きとれば何とかなるでしょう!」

「その通り、命よりも大切な物はないからな。

とにかく今は生き延びる為に行動すべき、というのが私達、村民の総意です」

会議に参加している、最年長の老人がそうまとめる。この男は村長の次に長寿であるが、それでも齢60を超す。 更にその風体は、禿頭と豊かな髭により、村長より村長さがあるため、村人達の纏め役となっている。


「分かりました。 それが村民の総意ならば、代理であっても長の血を継ぐ者の使命ですね。

皆さん! 直ちに村の広場に馬車を出来るだけ集めて下さい。その際に村人達への連絡も怠らないように! この村の全員誰一人欠ける事なく逃げましょう。 行き先はとりあえず隣町へ向かい、そこで領主様へ連絡を取って頂くことに致しましょう!

それでよろしですね、父さん?」


村長は会議の行く末を腕を組み、眼を閉じて静観していたが、カッっと目を開き一言。


「飯はまだか!!」


「………………」


絶句である。


会議に参加した人達は、静観していたと思っていたが、『ただ寝ていただけか』と落胆した。 中には難聴なんだから、高齢者なんだからと、仕方がないとすぐさま納得した者もいた。


「……ともかく、皆様その様に動いて下さい」

そんな中、村長代理は冷静に対応する。


これに会議は解散となり、皆動き始めた。

その場に2人を残して。


「ふむ……流石ワシの子じゃな。

さて、この際じゃ、息子を引き継がせる事にするかのう」

「……やはりそう言う魂胆でしたか、トライア村長」

そう言って村長の元に居たのは、顎に蓄えられた髭を触り不敵に笑う、村長に次いで長寿の男であった。

「む、気づいておったのか、カルロス」

「当たり前ですよ、何年貴方と一緒にいると思ってるんですか。 かれこれ50年程ですよ?」

「いや、63年じゃぞ」

「ぐ……そ、そんなことは良いんですよ。

それよりも、早く準備しましょう。

皆準備を終えたら直ぐに出発するんですから、最後の一仕事ですよ。」

「わかっとる、それよりも飯じゃ。

腹が減ってはなんとやらじゃしな」

「まぁ早く済ませて下さい。それでは私も準備があるのでここで失礼します」

そう言ってカルロスはその場を後にした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「さてさて、邪魔な木を排除出来ましたな。

さあ姫、行きましょうか」

「もう面倒くさいんだけどぉ。 後は任せた。

はいこれ上官命令ね」

「全く、先程も寝ていたというのにまだ眠るつもりですか? しかしまぁそれでも動いてしまう私も私なんでしょうか」

「…………」

「はぁ……すぐ終わらせますから、待っていてくださいませ。 この魔族7将軍が1人。アルバーグ・トリアスタが姫のお守りの為に!」


次回もお楽しみ下さい!


筆が進みにくければ約1ヶ月くらいかかるかもですが、お待ち下さい。


1話投稿につき約5000文字というクオリティを保つ為にご了承ください!


頑張ります!

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