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Brave seven 〜導かれる運命〜  作者: Yori Yori
第1章 旅立ち
5/10

#4 大事なこと

半年ぶりくらいの更新ですね。お待たせしました。

待ってねぇよと思ってらっしゃるかも知れませんがww


とにかく、リアルの都合が悪く執筆に割ける時間がなかった次第です。


次回更新分は、もう暫くお待たせするかと思います。


「ただいまー」


「「お帰り、カイン」」


家に入ると、父さんと母さんが迎えてくれた。


「父さん達帰ってたんだね。お帰り。

夕飯食べた? 一応作り置きしておいたから、温め直せば直ぐにでも食べれるよ」


俺は夕飯を促すと、両親は何やら渋い顔をしている。畑仕事サボったのバレたかな。


「ああ、夕飯はまだだよ。なぁカイン…食事の後に少し話しておきたい事があるんだ」


「なんだよ父さん、急に改まって。まぁでも丁度いいか。俺も話しておきたい事があるんだ」


食卓に着こうとしながら父さんと話し、リビングを見渡すと、メイリンの姿が無かったため居場所を聞くと。


「メイリンなら自分の部屋にいると思うわよ? 何か誰かに喋っているかの様に独り言を言っているのよ。少し気でも触れたかしら?」


ちゃっかり酷い事をスラスラと言う母さん。

メイリンが今のを聞いていたら、機嫌を悪くする事間違いなし。


「それじゃ少し様子を見て来るよ」

そう言って、座りかけていた椅子から離れる。


「流石カインね、妹思いの優しい子だこと」


「そうだよユイ、カインは妹が大好きだからね」


「確かにメイリンの事は好きだよっ! でも家族としての好きだから特別な思いなんてないよ! 」


俺は否定をするが2人の目はニヨニヨとしている。

いや、まて、これは強く否定をすると、その逆の意味として捉えられるってやつか?


「わかったわかった、メイリンを溺愛するのは良いが、甘やかすのはダメだぞ?」


父さんは冗談っぽく言っているのを背にメイリンの部屋へ向かう。ちなみに母さんは本気で、俺がメイリンの事を異性として好きだと思っているみたいだ。ほんと、母さんはバカなのか、家族間での恋仲になるとか世間体が悪いだろうに……はぁ……父さん、どうしてこんなアホな母さんを選んだの……

そんな事を思いながらため息をつく。そしてメイリンの部屋の前につく。


コンコン


「メイリン、俺だ、入ってもいいか?」


俺はメイリンの部屋に入る時は必ずノックをする様にしている。大分前にノックせずに入った時に酷い目に遭ったからだ。今思えばあの破壊力は武闘家にでもなれるのでは無いかとさえおもえる。

あれは昨年の今頃、朝にメイリンが起きているかを見に来た時だった。思い返せば、あの時は俺が悪かったと思うが、同時にメイリンも悪いと思う。

そしてノックをせずに扉を開けると、朝日の光に照らされて、普段でも綺麗な白い肌が、キラキラと光を反射し、彼女に神々しさを与える。そしてまだ発育途中の小ぶりであるが、美しい双丘を守る下着を着けている。そんな状況だった。俺は正直、見惚れて佇んでいた。俺の存在に気づいたメイリンは、顔を真っ赤にして怒鳴りながら俺に近づき、左脚を軸に右回転。その回転途中に右脚を腰の位置まで引き上げ、凄まじい速度で蹴りを放って来た。放たれた蹴りは俺の腹へ吸い込まれる様に当たる。直後、俺は後方の廊下の壁に吸い込まれる。腹の痛みと意識は衝撃のお陰で共に薄れる。

そして目覚めれば、そこは見慣れた天井だった。

とまぁ、あの見事な回し蹴りで天に召される事にならずに済んで良かったと思うが、同時になんとも神秘的な光景だったと思う。その日以降、二度と生死をさまよう様な思いはしたくなかったので、メイリンの部屋に入る時はノックを心掛けている。


「お兄ちゃん? 入っていいよー」


許可がもらえたので扉を開け中に入る。


「カイン様おかえりなさいませ!」

「おかえりお兄ちゃん。随分長かったんだね」


そう迎えてくれた2人に、「ただいま」 と言い大精霊から言われた事を伝えると


「えぇっ!? それが本当なら、御伽噺に出て来る勇者みたいじゃないっ! 凄いわっ!」

「いや〜そうだったんですねぇ。私もそうじゃないかと思ってたんですよぉ〜」


絶対に思っていないだろうティアは放って置くこととして。

メイリンは興奮気味だ。確か教会で英雄譚や御伽噺をよく読んでいたらしいな。小さい頃の夢は英雄のお嫁さんになるとか言ってて、凄く可愛かったなぁ。


「これは、まだ父さん達にも言っていない—」

「旅に出るんでしょ?」

メイリンが、俺の言葉に割って入る。


「まぁそうなんだけど、なんでわかった?」

「何年一緒にいると思ってんの? それぐらい分からないで何が兄妹よ、見くびってもらっちゃ困るわっ。お兄からしたら私はいつまで経っても可愛い妹だと思うけど、いつまでも守って貰う必要もないのよ。言っとくけど女は強いのよ?」


強気なメイリンの発言で、旅に出ると言う決意が更に固まり、また儀式の前日で、緊張していた心は解れた。確かに女は強いな。


「そうだったな。ありがとう」

そう言ってメイリンの頭を撫でる。「子供扱いしないでよねっ」とか言われるかと思ったが大丈夫だった。まだメイリンも甘えたい年頃なんだなと思うと余計に可愛く思えてしまう。本当にこの笑顔は守って行きたいと強く思う。


「メイリンそろそろご飯だから行こうか」

「そうなの? 分かった。ティアちゃんはどうする?」


メイリンの発言に加え、夕飯をティアの分も多めに作った事を言うと。


「私達精霊は食事による栄養補給と言う概念は無いので大丈夫ですが、食べてみたいとも思いますけど……お母様達は私を見ても大丈夫なのでしょうか?」

「まぁその辺はうちの両親は、大丈夫だと思うよ。なんというかまぁ、楽観的というかなんというか……とにかく受け入れてくれると思うから大丈夫だよ」


そう言うと、「それならお言葉に甘えて」と言うので、ティアも含めて食卓へ向かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


食卓へ向かうと温め直された料理が並んでいた。両親にティアを紹介したところ、両親は驚いていたが、すぐに納得したような態度になっていた。その後も特に質問責めに遭うような状況にはならずに済んだ。本当にウチの両親は無頓着というか楽観的なんだなぁと思う。


「さぁ、みんな揃った事だし、食べようか」

「そうね、ティアちゃんも遠慮しないでね」


父さんの一言の後に母さんが続く。

「それじゃぁ頂こう」

「「「「いただきます」」」」


「いただきます?」


俺はティアが不思議そうな顔をしているのを見て、そもそも食事と言う行為を必要としていないのだから、不思議に思うのも無理ないだろうと思い、『いただきます』の意味をティアに教えると、「なるほど、興味深いですね!」と感心していた。

そして皆は食事に手を付け、相変わらず俺の料理は美味いとみんなして褒めてくれる。因みに料理は、畑で採れたダーシャクイモ・ネーギ・丸ネーギ・ニンジノをミルクで煮込んだシチューだ。ティアは初めての食事に涙を流しながら食べていた。なんと大袈裟なことか。まさか泣かれるとは思わなかったため戸惑いはあるが、正直嬉しい。


食事は滞りなく進んでいたが、途中で俺の成人の儀式の話になり、その話は昨日も一昨日もその前の日もしてたし、今日もリョウの所でも話してたし聞き飽きていたけど、そんだけ両親は俺の事を好きなのかと思うと少し照れ臭いと思う所はある。でも、流石に毎日の様に同じ話題は返す言葉も無くなるからやめてほしい。


食事を終えた後、ティアとメイリンはメイリンの部屋へ、俺は食器の片付け、父さんと母さんは食卓の椅子でゆっくりとしている。

それよりティアは帰らなくて大丈夫なのかよと思いながら食器を洗い、片付ける。

俺は食器を片付け終わった後、両親の元へと移動する。


「で、話って何?」

「カインが成人の儀式を迎えるまでに、少し話しておきたい事があったんだよ」

「また成人の儀式の話かよっ、さっきしたじゃん」

俺は笑いながらそう答える。


そこで父さんの普段は柔和な表情が、厳かな表情になっている事に、大事な事であると察する。


「まぁとりあえず聞いてくれ。まず僕たちはカインに謝らなければならない」


謝られる事に思い当たりがないが、とりあえず謝罪を受けておく。


「カイン……今まで黙っていた事なんだけどね、実はカインは僕たちの子供では無いんだ……」


なんだ、そんな事か。


「……その事なら気づいていたよ。

だから黙っていたからって怒ったりしないし、謝らなくてもいいのに」

俺の返答に父さんは驚きを隠せない様子だ。


「ほらアレク! 言ったじゃない、カインはそんな事をあまり気にしていないんじゃないかなって!」

母さんは気にしてない様だけどね。


「ユ、ユイ! カインは君に似ているが、君とは考え方が違うだろうし、そんな事は分からないじゃないか!」

「ぶぅ、まぁそれもそうだけど。結局気にしてなかったんだから別にいいじゃない」


このやり取りを見ていると父さんは真面目で、しっかりと俺の気持ちを考えてくれていた。そして母さんはやっぱりテキトーな人だった。まぁそんな母さんが嫌いって訳じゃ無いんだけどね。


「でも、どうして気が付いたんだい?」

「それは簡単だよ。まず髪の毛の色が全然違う。父さんや母さん、それとメイリンは茶髪なのに、俺だけ赤髪なこと。あとは顔があまり似ていないって村の人達から言われることが多かったから、疑ってはいたよ。確信に変わったのは父さんが、夜中に1人でぶつぶつ呟いていたのを聞いてだよ。最初は驚きはしたけど、不思議と負の感情は湧かなかったんだよね、むしろありがとうの気持ちが強かったよ」

「……そうだったんだね、なんだか一人でモヤモヤしていたのが馬鹿みたいに思えるね」

「アレクったら本当一人で悩んで馬鹿よね、私達の息子なんだから堂々としていれば良かったのよ! そんな事を気にするように育てた覚えはないしね!」


えっへんとポーズをとる母さんに、ちゃんと育たなかった場合どうするんだよと、心の中で突っ込むが、例えそうなったとしても母さんは「ちゃんと育ってくれるだろう、これからに期待期待!」と言っているのが容易に想像できるのが悔しい。


「まぁでも、本当の両親の顔は見てみたい、とは思うけどね。だけど、ここまで父さんと母さんが育ててくれた。

だから俺の中の『父さん』『母さん』 は顔も覚えていない本当の両親よりも、『父さん』『母さん』 なんだよ」


この言葉を聞いた二人はキョトンととした顔を見せたかと思うと、お互い抱き合いながら泣いていた。「本当良い子に育ってくれて良かった」と言っていたので、少し照れ臭い。

二人は少し間を置いて、俺と最初に会った日の事を話してくれた。


両親がいつもの様に買い出しで、王都から少し離れた街デレンタまで遠出していた日の事。因みに、ここソドン村からデレンタまでは馬車で片道1日程かかる離れた場所にある。そして帰る時になって行きは通れたソドン村とデレンタを繋ぐ直通の街道で、魔物が暴れたとの情報があったそうだ。

そして父さん達は仕方なく迂回する道を選んだ。その迂回するルートは一度北へ向かい山の麓の町アマッシュに向かい、そこから南西の方へとソドンへ向かう街道なんだそうだ。

そのアマッシュからの街道を通っていると、赤ん坊の泣き声が聞こえて来たそうで、父さんが少し様子を見に行くと、腹部から血の跡があり今にも息を引き取りそうな女性と、女性の腕の中にタオルに包まれた赤ん坊がいたそうだ。

父さんをみた女性は即座に立ち上がり逃げようとしたが、大分身体が弱っていたのか、力も入れられずに立てなかったそうで、そうと分かると女性は赤ん坊を側に置き、父さんに対して警戒をあらわにした。

それに対し父さんは、自分は赤ん坊の声を聞いて様子を見に来ただけで、攻撃するつもりは無いと、更に助けてあげたい事を告げると、少し睨まれたが、警戒を解いたと同時に女性は横に倒れた。

そこで父さんは女性に駆け寄り、女性の口が微かに動いていたので、耳を近づけると「……カ……ィ…ン……ぉね…が……ぃ…し……」 と告げたあと、女性は息を引き取った。

父さんは一先ず、俺を母さんの所へ移動させた。母さんは俺を抱えた父さんを見たとき、攫ってきたと勘違いしたそうだ。

事情を説明した父さんは再び女性の元へいき、即席の墓標を作り女性に布を被せ、その上に土をかけた。そして近くに綺麗な青色の花が咲いていたので一輪だけ手折って墓に添えて帰ったそうだ。


ここまで父さんは話してくれ、俺の名前は本当の両親から付けられた名前だろうという事、俺を抱えていた女性、恐らく母親は最後まで俺の事を守ろうとしていた事。父親と思しき男性はその場にはおらず、母親が腹部から血が流れた跡があったことから、恐らく俺を守る為に身代わりとなってくれたんだろうと父さんは話していた。

その事を考えるととても目元が熱くなる。その後に感じる、頬を伝う一筋の熱さと冷たさが入り混じった、不思議な感覚。


こんな話の後に切り出すのはとても辛く感じるが、俺にも伝えなくてはならない事がある事を思い出す。


「父さん、母さん、本当の事を話してくれてありがとう。それと、今日は俺も話したい事があって。俺……成人の儀式が終われば旅に出ようと思うんだ」

その言葉を皮切りに、今日起きた出来事、植物の精霊ドリアード族の大精霊に会ってきた事、その大精霊から言われた使命の事を話した。


俺の両親の話から一転。父さん母さんの反応は、意外にも反対だった。その理由はただ単に寂しいからという、子離れ出来ない両親のわがままだった。

その理由を聞いた時は、なんじゃそりゃと呆れてしまった。今まで散々、放任主義で育てて来たくせに巣立つ時は囲うのかよと思ってしまったが、 ただそれも、あまり遊んだりしてやれなかった両親達の愛の照れ隠しだと分かったので、少し照れてしまう。

父さんは一呼吸おき、「まあ、自分で決めたのなら好きなようにしなさい。そしてやると決めたからには、絶対にやり遂げて帰って来い」と。

母さんは、「アレクはこうは言っているけど、本当はいつでも帰って来ても大丈夫だよって言っているのよ」と。


「父さん母さん、ありがとう、絶対にやり遂げてから帰ってくるよ」


「それにしても珍しくカインから話があると聞いて、何かと思って聞いてみたら、旅に出るとは驚いたよ。しかも成人になる時に使命を告げられるだなんて、まるで生まれた時から定められた運命みたいだね。それでもきっちり、自分で考えて旅に出ると決断したと聞いて安心したよ。

本当にカインはユイに似ているよ。結婚する時に実家を捨ててまで自給自足の生活をしてくれると決断してくれた時の目にね。まるで今のカインの様に自分の人生は自分で決めると言っている様なね」


「私は貴族の家柄やしきたりが嫌で、しかも許嫁が凄く気持ち悪かったから、それで逃げ出しただけよ?」

と笑いながら言い放つ母さん。そこまではっきり言うのは許嫁さんが可哀想だと思う。


「それでも君の瞳は目が座っていたよ。これからもずっとよろしくね、ユイ」

「あらやだアレク、そんな事言わなくても……」

と、照れる母さん、その後母さんは父さんにキスをする…………ちょちょちょ! まてまてっ!


「 息子の前でイチャイチャするはやめてくれぇ!!」


カインの叫びは虚しく家の中に響いただけであった。せめて2人の耳を響かせてくれよと、心から願うカインであった。


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