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「そんな……兄貴が、ジンガの兄貴が……」
オライガから少し離れた森の中のやや開けた場所。その中にあってジンガ一党の生き残りは、各々に悲嘆に暮れていた。
ジンガの弟ボロはその様を見て”さすがにこの数で一斉に泣かれると鬱陶しいな”と思っていた。
今やジンガ一党はその数を大きく減らしていた。まずは先の戦いで戦って死んだ鬼がいる。次に敗走した時に追撃されて殺された鬼がいる。そしてジンガというカリスマを失った事により、居続ける理由を失って去った鬼がいる。
結果として今この場に残っているのは、ロダとその信望者であった鬼が多かった。撤退の際に最後までロダが体を張り殿として耐え抜いていた、追撃を耐え抜く事が出来た鬼が多かったという点も大きいだろう。
そしてそのロダが今、率先して泣いていた。怒るという感情表現を主にしていたロダだったが、ここに来てジンガの喪失感というのは大きすぎたのだろう。他の誰よりも大粒の涙を流しながらおいおいと泣いていた。
周囲にいるのはロダの信望者なのだから、その感情に引っ張られる。結果としてそこにはジンガの死を皆で泣き叫ぶという地獄絵図が展開されることになった。
その中にあってボロは一人、どこか冷めた目で一行を見ていた。勿論ボロとてジンガを失った事については悲しさを覚えて泣いた。が、ひとしきり感情に折り合いをつけて泣き止んでも、まだまだ泣いている周囲を見て却って冷静になってしまったのだ。
(こりゃ、話ができる状況じゃないな)
これからどうすべきか。そんな話をしようと思ったのだが、とても言いだせる雰囲気ではない。しばしの時間が必要だということはボロにも分かった。
(まぁ、ちょうどいいか。今の内に――)
そうして涙に暮れている鬼達の集団の中。ボロは一人、ゆっくりと輪から抜け出してどこかへ向かった。




