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第五話 胎動|優しささえも怖い
「うわっ……! なんだこれ、血だらけ……っ!」
少年の深紅の瞳が恐怖と痛ましさに揺れる。これほどの傷を負った同年代の子どもを目の当たりにして、彼は明らかに動揺していた。
「手当てをしないと……! このままじゃ死んじゃうよ!」
焦った様子で声を荒らげた少年は、何かを探すように視線を巡らせた後、乎鞠の体を気遣うようにそっと手を差し伸べた。
しかし、社で暴力や折檻ばかりを味わってきた乎鞠にとって、その温かい手すら恐怖の対象でしかなかった。
「はぅ……っ、はぅっ……!」
反射的にびくりと体を縮こまらせ、差し出された手から逃げるように洞穴の奥へ背中を押し付ける。
少年の手が触れる寸前、乎鞠は恐怖に満ちた瞳で首を横に大きく振った。手当てをしようと近づいてくるその善意すら、いつ牙を剥くか分からない恐怖に見えて、喉の奥から小さな怯えの声が漏れ続ける。
少年は、怯えきった乎鞠の様子を見てハッと動きを止めた




