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第四話 微熱|怯え戸惑う二人
「誰…?」
聞こえてきたのは、冷徹なこの世界の空気とは似ても似つかない、どこかあどけない幼い少年の声だった。 おびえて身を固くしていた乎鞠が恐る恐る顔を上げると、そこにいたのは敵意どころか、純粋な戸惑いを浮かべた一人の少年だった。
漆黒の黒髪に、吸い込まれそうなほど美しい深紅の瞳。年齢は乎鞠と同じくらい――人間で言えば、まだ6歳ほどの子どもに見えた。
「はぅ…っ、はぅ……っ」
突然のことに気圧され、何か言おうとしたものの、恐怖と緊張で言葉が出てこない。うまく話せないときに出るお決まりの口癖が、か細く洞穴の中にこぼれた。
少年は乎鞠のその様子に驚いたのか、少しだけ目を丸くした。 そして、洞穴の入り口を隠すように生い茂っていた、乎鞠の血から芽吹いた奇妙な草花を手でそっとかき分ける。
「……っ!」
草花がどかされたことで、朝日が洞穴の奥まで差し込み、少年の視線が泥と血まみれになった乎鞠の全身をハッキリと捉えた。 ドロドロに血と泥で汚れた衣服、尋常ではない量の出血、そして不気味に変形して折れ曲がった左足。
少年の深紅の瞳が、驚愕に大きく見開かれる。




